食品ロスが5年連続で減少し過去最少に それでも現状は1人1日お茶碗1杯ぶんを廃棄
農林水産省と環境省は、令和2年度の食品ロスの推計値を公表した。この統計をとり始めた平成24年度以降で最小の、522万トン(前年度比8%減少)だった。それでも国民1人あたり1日に約113gのロスを出しており、これはお茶碗1杯分に相当するとのことだ。
「食品ロス」とは、本来食べられるにもかかわらず、捨てられている食品のこと。我が国では、食品ロスを含む食品廃棄物等の発生抑制と再生利用等を推進するため、「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)」に基づく行政と事業者等による取り組み、および、「食品ロスの削減の推進に関する法律(食品ロス削減推進法)」に基づき、国民運動としての食品ロス削減の取り組みが進められている。
令和2年度の食品ロス量について、事業系食品ロスについては食品リサイクル法に基づく事業者からの報告等をもとに、家庭系食品ロスについては市町村に対する実態調査等をもとに計算。その結果、約522万トンと推計された。これは前年度より48万トン減少し、推計を開始した平成24年度以降で最少となった。
図 食品ロス量の推移(平成24年度〜令和2年度)
過去最少になったとはいうものの、約522万トンというロスを国民1人ひとりに換算すると、年間約41kg、1日に約113gを、食べられるにもかかわらず廃棄していることになる。
図 日本の食品ロスの状況(令和2年度)
食品ロスに関しては、平成27年9月25日に国際連合で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」で定められている「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals;SDGs)のターゲットの一つとして、2030年までに世界全体の1人当たりの食料の廃棄を半減させることが盛り込まれている。
国内では、第4次循環型社会形成推進基本計画および食品リサイクル法の基本方針において、家庭系および事業系の食品ロスを2030年度までに2000年度比で半減するとの目標が定められている。
環境省の取り込み
環境省では、それぞれの主体が食品ロスに関する、正確で分かりやすい情報を得ることができるよう、食品ロスに関する情報を集約した「食品ロスポータルサイト」を作成・更新している。
同省の主な取り組みとして、(1)モデル事業の支援、(2)「フードドライブ実施の手引き」の公表、(3)「自治体職員向け食品ロス削減のための取組マニュアル」の公開が挙げられるという。
(1)モデル事業の支援
食品ロス削減と食品リサイクルを実効的に推進するための先進的事例を創出し、広く情報発信・横展開を図ることを目的として、モデルとなる事業の募集・支援を行っている。本年度は「食品廃棄ゼロエリア創出モデル事業」、「学校給食における食品リサイクル推進・食品ロス削減モデル事業」など計9件の事業を採択した。
(2)「フードドライブ実施の手引き」の公表
全国の自治体が自らフードドライブを実施する、もしくは地域の団体等がフードドライブを実施する際に参考としてもらうことを目的に、「フードドライブ実施の手引き」を作成した。
(3)「自治体職員向け食品ロス削減のための取組マニュアル」の公開
自治体における食品ロス削減の一層の推進のために、全国の自治体で進められている食品ロスの削減に向けた取り組みの中から先進的な20事例の実施の流れ・ポイントを取りまとめ、前記の「食品ロスポータルサイト」で公開している。
関連情報
我が国の食品ロスの発生量の推計値(令和2年度)の公表について(環境省)
食品ロス量が推計開始以来、最少になりました(農林水産省)