食品購入のポイントは低価格と国産、主食は朝がパン・夜はご飯がトップ 農水省「食生活・ライフスタイル調査」
農林水産省の「食生活・ライフスタイル調査」の結果が報告された。消費者が重視することのトップは、「できるだけ安いこと」で、「できるだけ日本産であること」がそれに続いた。1週間の食事調査から把握したカロリーベースの食料自給率は40%であり、前年度の37%を若干上回った。
調査の目的と方法
農水省では、食と環境を支える農業・農村への国民の理解を醸成するため、令和3年度より、食と農のつながりの深化に着目した新たな国民運動「食から日本を考える。ニッポンフードシフト」を展開している。「食生活・ライフスタイル調査」はその運動の一環として、消費者の日常の消費行動や、食や農に対する意識、普段の食事の実態等を把握することを目的として実施された。
定量調査と写真調査の二つのパートに大別され、定量調査は全国の15~74歳、4,000人(性別、年代、居住エリアは人口構成比にマッチさせてサンプリング)を対象として、消費者がどのように情報を入手し、どのような意識で食品を購入しているか、また、食や農に対してどのような意識を持っているかを調査。写真調査は全国の30名を対象として、1週間の食事の写真を撮影し、食事時間やメニューの傾向を把握し、また食料自給率などを推計した。
定量調査の主な結果
情報入手経路の1位はネット・SNS、消費行動では価格重視
情報の入手経路は、インターネット・SNSが82.6%であり、テレビの73.3%を上回った。
「ふだん買物をする際に重視していること」を複数回答可で選択肢から選んでもらった結果は、「同じような商品であれば出来るだけ価格が安いこと」が45.8%と半数弱が選択し、トップだった。2位は37.0%が選択した「できるだけ日本産の商品であること」。
Q. ふだん買物をする際に重視していることを以下からすべてお答えください
「できるだけ日本産の商品であること」は、男女とも年代差が大きく、高齢層で多く選択され、若年層では低かった。
ふだんの食材や食品・飲料の購入場所は、食品スーパーが8割以上と最も多く、大型スーパー、ドラッグストア、コンビニが4割前後であった。インターネットでの購入も2割強を占めた。
Q. ふだん食材や食品・飲料などを買物している場所をすべてお答えください
生鮮品は国産を選択購入する割合が高く、男女ともに高齢者でより高い
「米、野菜、精肉、鮮魚などの生鮮品はできるだけ国産品を選ぶ」に対し、「非常にあてはまる」としたのが約3割、「まああてはまる」が3割強であり、あわせると6割以上であった。一方、生鮮品以外の加工品での国産品を選択するとの回答はやや減って、「非常にあてはまる」は2割強、「まああてはまる」は3割強であり、あわせて約6割であった。年齢別では男女ともに高齢層で、国産品を選択するとの回答が高かった。
Q. 以下のそれぞれの食品や食材を実際に選ぶ際について、あなたの気持ちに最も近いと思うものをお答えください
ローリングストックの認知・実施状況
災害に備えて、ふだんの食品を少し多めに買い置きしておき、賞味期限を考えて古いものから消費し、消費した分を買い足すことで、つねに一定量の食品が家庭に備蓄されている状態を保つ「ローリングストック」という手法について、「考え方を知っており、実践している」は21.9%、「そのようなことを実践している」が15.5%であり、あわせて37.4%であった。
一方、「実践していない」が16.4%、「よくわからない」が19.8%で、あわせると36.2%と全体の3分の1以上であった。
Q. 「ローリングストック」という考え方を知っていましたか。以下の説明を読みお答えください
現在の日本の農業の課題の認知
現在の日本の農業の課題としては、「食品ロスの削減」、「農業従事者の減少・高齢化」、「食料自給率の低下」の認知度が高く、「農業の生産現場における労働力不足」、「少子高齢化・人口減少等による国内市場の縮小」、「耕作放棄地の拡大」なども一定程度、認知されていた。
Q. 現在の日本の農業の課題として、あなたが知っているものを以下からすべてお答えください
おいしいものを食べると感謝の念が湧く
食に対して感謝の気持ちを感じるのは、「おいしい食材や料理を食べたとき」が全体の約5割と最も多く、「旬の食材や季節を感じる料理を食べたとき」が4割弱で2番目であった。
Q. 「食に対して感謝の気持ち」を感じるのは、どのようなときですか
食料自給率、食料自給力、食料国産率の認知
食料自給率、食料自給力、食料国産率それぞれの説明を呈示したうえで(説明内容はグラフの下に転載)、その認知度を問う質問から、「詳しい内容を知っている」はいずれも5%前後であった。「おおよその内容は知っている」は食料自給率については36.6%、食料自給力は28.6%、食料国産率は20.4%。食料国産率については「聞いたことがない」と「よくわからない」の合計が半数近くであり、認知度は最も低かった。
Q. 「食料自給率」「食料自給力」「食料国産率」について、どの程度知っていますか。以下の説明をお読みになりお答えください
ニッポンフードシフトの認知度
農水省が、食と農のつながりの深化に着目し、官民協働の新たな国民運動として推進している「食から日本を考える。ニッポンフードシフト」の説明を呈示したうえで(説明はグラフの下に転載)、その認知度を問うと、「知っていた」は5.9%、「名前を聞いたことがある程度」は16.2%、「知らなかった」は77.9%となった。
Q. 以下の「ニッポンフードシフト」についての説明をお読みください。あなたはこの運動についてどの程度知っていましたか
写真調査の主な結果
全国の30名の1週間の食事の写真の分析から、主食に関して以下の傾向が浮かび上がった。
3食の合計では米食が主食である割合が4割強と最も多く、次いでパン食18.7%、麺類(14.1%、その他10.3%であった。食事別では、以下に図示するとおり、朝食はパン食が多く、夕食は米食が多くを占めた。
食事別の主食の構成比(全体)
性別では、男性はパン食と麺食が多く、女性は米食が多い傾向があった。
3食(計)の主食の構成比(対象者全体、男女、年代別)
また、この食事記録から算出した食料自給率は、40%であり、令和2年度調査の37%からやや上昇した。性別では男性の食事の食料自給率がやや高かった。
食料自給率と予測の7日間平均(対象者全体、男女別、年代別)
関連情報
「食生活・ライフスタイル調査~令和3年度~」の結果公表について(農林水産省)