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スーパーの商品レイアウトを変更することで、利用者の食生活を健康的に変えられる

2022年02月14日

スーパーの商品レイアウトを変更することによって、地域住民の食生活を改善させ得ることを示した研究結果が報告された。女性客の野菜や果物の購入が増え、食事の質が向上する可能性も示されたという。菓子の購入は、介入から3カ月は減少するが、6カ月後には有意差が消失したとのことだ。英国の貧困率の高い地域で行われた研究。

スーパーの商品レイアウトを変更することで、利用者の食生活を健康的に変えられる

6店舗を2群にクラスター化し、6カ月追跡

研究参加店舗の特徴

この研究は、店舗ベースのクラスター前向き介入試験として実施された。対象の店舗は、英国内で重複剥奪指標(index of multiple deprivation;IMD)の十分位数に該当する、社会経済的に最も恵まれていない地域にある、ディスカウントスーパー6店舗。このディスカウントスーパーは英国内で900店舗以上を展開しており、同国の食料品市場の約2%のシェアを占めている。

3店舗ずつの2群に分け、1群を介入群、他の1群を対照群とした。介入群の店舗は、野菜や果物を店舗内の目立つ位置に配置し、反対に菓子類は最も目立たない、通路の奥のほうに移動した。また、レジ待ちの列の周辺への不健康な食品の配置を禁止。ベースライン時、および3カ月後と6カ月後に、売上高の変化を検討した。

研究参加者の特徴

一方、この研究に参加する商品の購入者は、研究開始前の12週間の調査で、これらの店舗を利用していることが確認された、18~45歳。ただし、購入履歴を確認する必要があるため、ポイントカードを持っていない人は除外した。研究参加者には、購入を促す目的で10ポンドの金券を3枚提供した。なお、2016年の英国における25歳以上の労働者の最低賃金は7.20ポンドとのことだ。

参加協力の得られた人については、購入記録の分析のほかに、食物摂取頻度質問票(food frequency questionnaire;FFQ)を用いて、本人、および幼児がいる場合は幼児の食事の質を評価した。

研究参加者は6店舗で計150人で、年齢中央値36.2歳(四分位範囲31.4~41.1)、既婚者43%、教育歴16年未満の割合59%、有職者46%であり、44%は日常的に当該のスーパーで食料品を購入していた。これらの特徴について、介入群の店舗利用者と対照群の店舗利用者との間に有意差はなかった。また、121人は18歳未満の子どもが同居しており、72人は2~6歳の子どもの食事に関するデータも提供した。

店舗の売上高への影響

介入群の店舗で野菜・果物の売上が増加し、6カ月後も有意差

では結果だが、介入開始とともに、新鮮な野菜・果物の売上高に有意な群間差が生じ、介入群のほうが高かった(効果量〈ES〉1.04〈95%CI;0.53~1.55〉,p<0.001)。介入後3カ月(ES1.71〈95%CI;0.45~2.96〉,p=0.01)、および介入後6カ月(ES2.42 SD〈95%CI;0.22~4.62〉,p=0.03)も同様に、有意差が維持されていた。

これらの変化は1店舗1週間あたり、3カ月時点で6,170ポンド、6カ月時点では9,820ポンドの野菜・果物の売上増に相当した。

一方、冷凍野菜については介入開示時点から6カ月後にかけて、有意な群間差は観察されなかった。

菓子の売上は介入群で減少するも、6カ月後には有意差なし

菓子類の売上高については、介入開始とともに減少し、対照群との間に有意差が発生した(ES-0.74(95%CI;-1.13~-0.35),p<0.001)。また、介入後3カ月も同様に、有意差が維持されていた(ES-1.05〈95%CI;-1.98~-0.12〉,p=0.03)。ただし、6カ月後には有意差が消失していた(ES-1.37(95%CI;-2.95~0.22),p=0.09)。

これらの変化は1店舗1週間あたり、3カ月時点で1,359ポンド、6カ月時点では1,575ポンドの菓子類の売上減に相当した。

店舗の売上全体への影響はなし

店舗の全体の売上高への影響は、ほとんどみられなかった。具体的に、介入開始時点でED-0.01(95%CI;-1.22~1.21,p=0.99)、介入3カ月時点でED-0.04(95%CI;-1.21~1.14,p=0.95)、介入後6カ月時点でES0.21(95%CI;-1.79~2.21,p=0.84)であり、いずれも非有意だった。

研究参加者の食事の質への影響

次に、研究参加者の食事の質の変化をみてみよう。

食品を購入する女性本人は食事スコアが短期的に改善する

まず、調整因子を重複剥奪指標IMDのみで解析した結果は、介入3カ月後に対照群に対して有意にスコアが高く、食事の質が向上したことが確認された(β=0.29〈95%CI;0.01~0.57〉,p=0.04)。この違いは、1週間にグリーンサラダを約6回追加することに相当するという。ただし、6カ月後にこの差は有意でなくなっていた(β=0.10〈95%CI;-0.17~0.37〉,p=0.48)。

また、調整因子としてIMDのほかに、年齢、食料品費の購入費、教育歴、同居する子どもの有無を加えた解析では、介入3カ月時点の群間差もわずかに有意水準に達しなかった(β=0.26〈95%CI;-0.01~0.54〉),p=0.06)。

子どもの食事の質に関しては、IMDのみを調整因子とした解析においても、3カ月時点と6カ月時点のともに、対照群との有意な群間差は認められなかった。

文献情報

原題のタイトルは、「Altering product placement to create a healthier layout in supermarkets: Outcomes on store sales, customer purchasing, and diet in a prospective matched controlled cluster study」。〔PLoS Med. 2021 Sep 7;18(9):e1003729〕
原文はこちら(PLOS)

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