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お気に入りの音楽にはエルゴジェニック効果がある NCAAディビジョンⅠの女性アスリートで検証

音楽を聞きながらスプリントを行うとパフォーマンスが向上することが、米国の女子学生アスリートを対象とする研究でわかった。ただし、聞く音楽によって結果が異なり、自分が好きな音楽を聞いた時に、嫌いな曲を聞いた時よりもエルゴジェニック効果が有意に高いことが明らかになった。

お気に入りの音楽にはエルゴジェニック効果がある NCAAディビジョンⅠの女性アスリートで検証

5つの音楽ジャンルから、最も好きな曲と嫌いな曲で比較

音楽にスポーツパフォーマンスを高めるエルゴジェニック効果があることは、これまでにも複数の研究で示唆されてきている。しかし、それらの研究の一部には矛盾した結果がみられる。どのような条件の違いが結果の相違を生むのかは明らかになっていない。

今回紹介する研究の対象は、全米大学体育協会(National Collegiate Athletic Association;NCAA)のビジョンIに所属しているハイレベルな女子学生アスリート14名。年齢は19.9±1.3歳、身長174.1±10.7cm、体重67.2±11.1kg。行っている競技は、サッカーとバレーボール各7名だった。

後述の運動テストの事前にインタビューを行い、ラップ/ヒップホップ、カントリー、ポップ、エレクトロニック・ダンス・ミュージック、ロックンロールという5つの異なるジャンルから、最も好きなものと最も嫌いなものを聞き取り調査。最も好きなジャンルの中からテンポが120bpm以上の曲を選んでもらった。一方、参加者が指定した最も嫌いなジャンルの中から、研究者が運動テストのテンポにあった曲を選んだ。音楽は運動試験中、ヘッドホンを用い同一の音量で聞いてもらった。

ウィンゲート嫌気性テストで効果を比較検討

参加者は、好きな音楽または嫌いな音楽を聞きながら、50wで3分間の標準化されたサイクリングウォームアップを完了。それに続いて3×15秒のウィンゲート嫌気性テストを試行。平均パワー、総仕事量、自覚的運動強度(rating of perceived exertion;RPE)、およびモチベーションを評価した。なお、3回の試行の間に各2分のアクティブな回復期間を設け、また、2条件の試行の間には48時間の回復期間を設定した。

参加者は、テスト試行24時間前から激しい運動を控えることが求められ、12時間前からはアルコール、カフェイン、ニコチンの摂取が禁止された。

ウォーミングアップ中は好きな音楽を聞こう!

嫌気性パフォーマンスは好きな音楽を聞いた時のほうが高い

では結果だが、まず嫌気性パフォーマンスについてみると、3回目のウィンゲート試行後において、音楽のタイプにかかわらず(好きな音楽を聞く条件と嫌いな音楽を聞く条件ともに)、1回目のウィンゲート試行後に比べて平均パワーが有意に低下した(効果量d=0.23,p=0.016)。そして条件間の比較では、好きな音楽を聞く条件のほうが嫌いな音楽を聞く条件よりも、平均パワーが有意に高かった(d=0.91,p=0.044)。

総仕事量についても同様に、3回目のウィンゲート試行後において、音楽のタイプにかかわらず1回目のウィンゲート試行後に比べて有意に低下した(d=0.28,p=0.016)。そして条件間の比較では、好きな音楽を聞く条件のほうが嫌いな音楽を聞く条件よりも、平均パワーが有意に高かった(d=0.78,p=0.045)。

モチベーションは好きな音楽を聞いた時のほうが向上

次に、モチベーションについては、1~3回目のウィンゲート試行後はウォームアップ後より、音楽のタイプにかかわらず有意にモチベーションが低かった(1回目はd=0.76,p=0.022、2回目はd=1.30,p=0.021、3回目はd=1.56,p=0.002)。また、3回目のウィンゲート試行後は、1回目(d=0.80,p=0.007)や2回目(d=0.42,p=0.002)に対しても、モチベーションが有意に低かった。

そして条件間の比較では、ウォームアップ後(d=1.98,p=0.034)、1回目のウィンゲート試行後(d=1.85,p=0.022)、2回目のウィンゲート試行後(d=1.42,p=0.041)に、好きな音楽を聞く条件で有意にモチベーションが高かった。さらにモチベーションの平均も、好きな音楽を聞く条件のほうが有意に高かった(d=1.55,p<0.001)。

自覚的運動強度(RPE)は条件間の有意差なし

自覚的運動強度(RPE)については、1回目のウィンゲート試行後に比べて、2回目(d=0.89,p<0.001)および3回目(d=1.55,p<0.001)の試行後には、RPEが有意に高かった。また、3回目のウィンゲート試行後は、2回目に対しても、RPEが有意に高かった(d=0.80,p=0.044)。

一方、条件間の比較では、RPEに有意差は認められなかった。

著者らはこの研究結果から、「アスリートはパフォーマンス最適化のために、ウォーミングアップ中に好みの音楽を聞くことで恩恵を受ける可能性がある」とまとめている。ただし、本研究の検討対象がNCAAディビジョンIの女子学生であったことから、高強度トレーニングを行っていない集団、シニア、男性などにも外挿可能かは不明としている。

文献情報

原題のタイトルは、「Influence of Warm-Up Music Preference on Anaerobic Exercise Performance in Division I NCAA Female Athletes」。〔J Funct Morphol Kinesiol. 2021 Jul 23;6(3):64〕
原文はこちら(MDPI)

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