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運動直後の糖質一括摂取は筋グリコーゲン、分割摂取は肝グリコーゲンの回復促進 マウスでの検討

運動後にブドウ糖を一括摂取する場合と、数回に分けて摂取する場合とで、グリコーゲン再合成が異なるかを動物実験で検討した結果が報告された。前者では筋グリコーゲンの回復、後者では肝グリコーゲンの回復が促進されるという。東京大学大学院総合文化研究科身体運動科学研究室の松永裕氏らの研究によるもので、国際スポーツ栄養学会(ISSN)の「Journal of the International Society of Sports Nutrition」に論文が掲載された。

運動直後の糖質一括摂取は筋グリコーゲン、分割摂取は肝グリコーゲンの回復促進 マウスでの検討

短時間の筋グリコーゲン再合成に適した糖質摂取方法は?

運動によって消費したグリコーゲンの再合成を促すため、運動後に適切な量とタイミングで糖質を摂取する必要がある。これまでの研究で、運動直後に糖質を摂取したほうが、時間がたってから摂取するよりも筋グリコーゲン再合成を促進させることが示されている(Ivy et al. 1988)。その一方で24時間単位でみた場合、摂取する糖質の量が同じであれば必ずしも運動直後ではなく、分割して摂取しても筋グリコーゲン合成量は異ならないというデータも報告されている(Burke et al. 1996)。

ところで、これらの知見をアスリートの回復戦略に生かそうとするときには、アスリートのタイムスケジュールの実態を考慮する必要がある。アスリートは大会参加日には1日に複数回試合が行われることがある。また日ごろは朝~夜にかけ数回に分けてトレーニングすることが多い。つまり、短時間でのグリコーゲン再合成を繰り返すようなケースが少なくないと考えられる。このような条件下でも運動直後の大量摂取が有効なのか、もしくは少量分割摂取でも効果は同等なのかは、よくわかっていない。松永氏らはこの疑問を明らかにするため、マウスを用いた以下の検討を行った。

グリコーゲン量を低下させた後、1~2時間での回復を比較

実験には6週齢のオスマウスを用いた。

120分間の絶食後、トレッドミルを用いて20 m/分の速度で60分間のランニングを負荷し、グリコーゲン量を低下させた。運動直後にブドウ糖1.2 mg/g BWを単回摂取させる「ボーラス摂取群」と、0.3 mg/g BWを15分ごとに4回、45分かけて摂取させる「パルス摂取群」に分け、血中グルコース濃度や血漿インスリン濃度の推移を比較した。

また、足底筋やヒラメ筋、および肝臓のグリコーゲン量を、運動終了後(回復開始後)60分時点と120分時点で比較検討した。(120分後にも評価した理由は、60分後ではパルス群の場合、最後のブドウ糖摂取から15分しか経過しておらず、ブドウ糖摂取の影響が十分反映されていない可能性があるため。)

回復60分時点と120分時点で、筋/肝グリコーゲン量に有意差

インスリン分泌はボーラス摂取群のほうが有意に亢進

まず、血中グルコース濃度の変動をみると、ブドウ糖摂取後60分にかけて両群ともに上昇し、かつ60分後の血中グルコース濃度はパルス摂取群のほうがボーラス群と比較して有意に高値を示した。ただし上昇曲線下面積(AUC)には有意差がなかった。

インスリン分泌はブドウ糖摂取とともに上昇し、15分後時点でボーラス群のほうが高く有意差があった。また、AUCにも有意差があり、ボーラス群のほうが大きかった。

回復60分後の足底筋グリコーゲン量はボーラス群が高値

次にグリコーゲン量をみると、運動を負荷する前は、ヒラメ筋は5.3±0.4mg/g、足底筋は6.0±0.4 mg/g、および肝臓は49.4±1.8 mg/gであり、運動負荷後は同順に1.4±0.1 mg/g、3.4±0.2 mg/g、9.2±3.7 mg/gであって、グリコーゲン量の低下が確認された。

運動終了60分後(回復開始後60分)時点のグリコーゲン量は、ヒラメ筋ではボーラス群がパルス群より16.2%高かったが統計的な有意差はなかった。一方で足底筋についてはボーラス群のほうが25.3%高く、群間差が有意だった。

肝グリコーゲン量はほぼ同等だった。また門脈内の血中グルコース濃度も群間差がなかった。

回復120分後の肝グリコーゲン量はパルス群が高値

運動終了120分後(回復開始後120分)時点の筋グリコーゲン量は、ヒラメ筋と足底筋ともに、群間差がみられなかった。対照的に肝グリコーゲン量は、ボーラス群よりもパルス群のほうが有意に高かった。

また、血中グルコース濃度もボーラス群よりもパルス群のほうが有意に高く、血中グルコース濃度と肝グリコーゲン量との間に有意な正の相関が観察された。

瞬発系はボーラス摂取、持久系はパルス摂取が適している可能性

このほか、グルコース安定同位体呼気試験により、摂取したブドウ糖の利用に差はないことがわかった。

結果をまとめると、運動後にブドウ糖を一括摂取させたボーラス群のほうが、短時間で足底筋グリコーゲンが再合成されていた。対照的に、運動後にブドウ糖を分割摂取させたパルス群では、2時間後の肝グリコーゲン量が高値だった。

著者らは、短時間の高強度運動を行うアスリートには糖質のボーラス摂取、長時間の低強度運動を行うアスリートには糖質のパルス摂取が推奨されるのではないか、との考察を述べている。一方で、本研究は動物実験によって得られた結果であり、ヒトにおいてそのまま適用できるのか、また摂取量などの実験条件を変えた場合に同様の結果が得られるのかについては、慎重な議論が必要としている。そのため、今後の研究でさらなる検証や詳細なメカニズム解明の必要性を指摘している。

文献情報

原題のタイトルは、「Effects of glucose ingestion at different frequencies on glycogen recovery in mice during the early hours post exercise」。〔J Int Soc Sports Nutr. 2021 Nov 7;18(1):69〕
原文はこちら(Springer Nature)

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