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エネルギーの消費量と摂取量の関係を考察 体重の増減をもたらす因子とは?

消費されるエネルギー量が増えると、それに対する適応として摂取エネルギー量が増加する。この代償反応が起こらないと体重は減少するし、不適切な代償では体重が増加する場合もある。この関係には、身体活動、気温、摂取する栄養素など多くの因子が影響を及ぼす。これらを総合的に考察したナラティブレビュー論文の要旨を紹介する。

エネルギーの消費量と摂取量の関係を考察 体重の増減をもたらす因子とは?

運動によるエネルギー消費が摂取エネルギー量に及ぼす影響

運動中の炭水化物の酸化は運動後の摂取エネルギー量と正相関し、運動後の代償性の食事はグリコーゲン回復を促進する適応応答として機能する。より高強度の運動の後は、食欲調節ホルモンの好ましい変化が見られ、食欲抑制シグナルが強く抑制される。

エネルギー摂取によるエネルギー消費の補填の乖離を利用して体重をコントロールしようとするとき、負のエネルギーバランスへ誘導することになるが、その際には、短期的なエネルギー摂取には代償性の低下がみられないことに注意が求められる。つまり、消費エネルギー量が減少しても、引き続き同じ量を摂取することになる可能性が高い。実際、最近の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックに伴う地域住民の体重増加が、複数報告されている。

気温による影響

恒温生物は環境温度が下がると代謝が亢進し、熱発生の需要の増加に対応する。よって、環境温度と食物摂取量は負の相関関係がある。直腸温の低下が、食物摂取量の増加と相関するとの報告もある。寒冷暴露とは対照的に、暖かい気温は消費エネルギー量を減少させる。ただしこれらの変化に伴う摂取エネルギー量の変化は、主として体温の上昇に関連するものであり、消費エネルギー量の変化に伴う摂取エネルギー量の変化は二次的なものと言える。

健康な男性を対象とする検討で、環境温度が20℃および10℃の場合に比較し、30℃の場合、任意の摂取エネルギー量が有意に低下することを示した研究結果が報告されている。この検討では、条件により摂取エネルギー量が-1,188kJ(-284kcal)となったという。一方、環境温度40℃(相対湿度25%)や50℃(50%)という熱ストレス環境下では、は安静時消費エネルギー量がそれぞれ35%、48%増加したと報告されている。この熱ストレスにより生じる消費エネルギー量の増加が、摂取エネルギー量にどのような影響を及ぼすのかは十分明らかになっていない。

周辺温度との関連では、スポーツの競技種別による食欲や摂取エネルギー量の差異も研究されている。例えば、水泳選手は他の種目のアスリートに比較して、食欲と摂取エネルギー量が高いことを示唆する報告がみられる。これは、単に筋肉運動によるエネルギーの消費だけでは説明できず、冷水への浸漬による熱損失の増加が原因である可能性もある。

水中で泳いでいる間、深部体温は主に末梢血管収縮によって維持されているが、水から出た後にこの作用は終了して末梢の冷たい血液が体幹深部に至り、深部体温が遅れて低下する。この現象がプールから上がった後の震えのメカニズムとして説明される。

まとめると、熱曝露は体重減少に有利に働くが、低温曝露による消費エネルギー量の増加は、過剰摂取に寄与する可能性をもっている。

エネルギーの消費量と摂取量の関係を考察 体重の増減をもたらす因子とは?

加齢、季節、体重変動、運動のタイミングなどとの関連

高齢男性は若年男性に比べて(70.0±7.0 vs 23.7±1.1歳)は、体重減少後にも体重が元のレベルに戻りやすく、その後も消費エネルギー量に見合ったレベルに、摂取エネルギー量を減らすことができないことが多いとの報告がある。また、体重の季節変動が身体活動量の変動との関連することも知られている。

健康で身体的に活動的な成人は痩せていることが多いが、非活動的でない人に比較して、日々の身体活動量の変動が大きいことも報告され、身体活動量の個人内変動はBMIや体脂肪率と逆相関しているという。非活動的な集団の中での検討でも、身体活動量の日差変動が大きい人ほど、BMIが低い。これらの知見は、身体活動量の大きな変動が、体重増加の抑制に役立つ可能性を示唆している。

なお、運動を実施するタイミングは、座位行動の多い過体重/肥満者を対象とする検討から、摂取エネルギー量や体脂肪の変化に影響を与えないとの報告がある。

睡眠時間の影響

睡眠時間を制限すると、覚醒時間帯のエネルギーコストの増大によって、わずかに消費エネルギー量が増加する。ただしその研究の一部の被験者は、自発的身体活動量の低下、睡眠不足の補填として生じる座位行動時間の増大により、その効果が相殺されていた。

また、観察研究をレビューした報告は、睡眠不足は正のエネルギーバランスにつながることを示している。さらに、短時間睡眠は過体重/肥満リスクと関連していた。一方で、睡眠時間喪失後の睡眠時間の確保によって、エネルギー摂取量の減少(とくに脂質と炭水化物の摂取量低下)につながり、わずかな体重減少がみられたという報告もある。

タンパク質摂取量の影響

タンパク質摂取量と消費エネルギー量の間にはU字型の関連があり、タンパク質の利用可能性が低い場合と高い場合で増加する。さらに、タンパク質摂取量と摂取エネルギー量は逆相関する。そのため、エネルギーバランスはタンパク質の利用に影響を与える。

このほかに論文中では、成長や体組成の変化によるエネルギー必要量、摂取エネルギー量への影響なども考察している。結論としては、「消費エネルギー量に影響を及ぼすさまざまな因子による代謝の一時的な変化は、その後の食欲や摂取エネルギー量の適切な適応によって補償されない場合、体重増加のリスク因子であるように思われる」とまとめられている。

文献情報

原題のタイトルは、「What Is the Impact of Energy Expenditure on Energy Intake?」。〔Nutrients. 2021 Oct 5;13(10), 3508〕
原文はこちら(MDPI)

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