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チームスポーツ女性アスリートの消費エネルギー量 NCAA所属のバスケとラクロスで比較

女子バスケットボールとラクロスのアスリートでは、身体活動量や消費エネルギー量が大きく異なるというデータが報告された。いずれもバスケ選手の方が有意に高い値を示したという。全米大学スポーツ協会(NCAA)ディビジョンIIの学生アスリートを対象とする研究であり、試合日、トレーニング日、オフ日などによる日差変動も検討されている。

女性のチームスポーツ選手のエネルギー需要は十分なデータがない

スポーツアスリートの消費エネルギー量に関しては多くの研究がなされているが、女性チームスポーツアスリートでの研究は多くはなく、競技間での違いやシーズン間での違いは十分把握されていない。そこで本研究では、全米大学スポーツ協会(National Collegiate Athletic Association;NCAA)ディビジョンIIに所属する33名の女性チームスポーツアスリートを対象に、異なる5つのフェーズのそれぞれ連続4日間(週末の2日と平日の2日)、計20日間にわたり、加速度計と心拍数の測定によって活動量と消費エネルギー量の推移を把握し、比較検討した。

33名のうち13名はバスケットボール選手で年齢19.8±1.3歳、身長173.9±13.6cm、体重74.6±9.1kg、体脂肪率27.1±3.2%、除脂肪体重54.7±7.1kgであり、20名はラクロス選手で20.4±1.8歳、168.4±6.6cm、68.8±8.9kg、体脂肪率27.9±3%、除脂肪体重47.0±5.31kg。これらのうち、身長(p=0.004)と除脂肪体重(p=0.002)はバスケットボール選手の方が有意に高値だった。年齢、体重、体脂肪率には有意差はなかった。

総消費エネルギー量は、バスケ選手のほうが有意に高い

結果について、まず、1日あたりの総消費エネルギー量(total daily activity energy expenditure;TDEE)をみると、バスケットボール選手のTDEEはラクロス選手よりも高く、試合日やオフ日などの日差にかかわらず、競技種目間での有意な主効果が観察された(p=0.002)。ただし、体重や除脂肪体重で調整後には有意差はなかった。

交絡因子調整前のバスケ選手のTDEEを、試合日、練習日、コンディショニング日、オフ日ごとに比較すると、練習日とコンディショニング日は有意差がなく、試合日は他のいずれの日よりもTDEEが有意に高く、オフ日は試合日や練習日よりも有意に低かった。

その一方で、ラクロス選手のTDEEは、試合日と練習日はコンディショニング日とオフ日よりも有意に高いものの、試合日と練習日との間に有意差がなかった。また、コンディショニング日とオフ日との間にも有意差がなかった。

体重で調整後にも、活動による消費エネルギー量には有意差

前記のようにTDEEは、体重や除脂肪体重で調整後には競技種目間の有意差は消失したが、体重で調整後の活動による消費エネルギー量(activity energy expenditure;AEE)の群間差は引き続き有意だった。具体的には、バスケ選手の1日あたりのAEEは15.1±4.1/kgであるのに対して、ラクロス選手では12.7±2.3/kgだった(p<0.05)。

交絡因子調整前のバスケ選手のAEEを、試合日、練習日、コンディショニング日、オフ日ごとに比較すると、練習日とコンディショニング日は有意差がなく、試合日は他のいずれの日よりもAEEが有意に高く、オフ日は他のいずれの日よりも有意に低かった。その一方で、ラクロス選手のAEEは、試合日と練習日との間に有意差がなかった。

身体活動レベルも競技間に有意差

続いて身体活動レベル(physical activity level;PAL)を試合日、練習日、コンディショニング日、オフ日ごとに比較すると、バスケ選手の試合日のPALは他のいずれの日よりも有意に高く、練習日とコンディショニング日は有意差がなく、オフ日は他のいずれの日よりも有意に低かった。

その一方で、ラクロス選手のAEEは、試合日と練習日との間に有意差がなく、コンディショニング日は試合日や練習日よりAEEが有意に低く、オフ日は他のいずれの日よりも有意に低かった。

まとめると、NCAAディビジョンIIのバスケットボールとラクロスという女性チームスポーツアスリートでは、練習日とコンディショニング日、試合日、オフ日によって消費エネルギー量が異なり、双方の競技アスリートで試合日には消費エネルギー量が多く、オフ日には双方の競技アスリートで消費エネルギー量が少なかった。さらに、これらのスケジュールにかかわりなく、バスケットボール選手はラクロス選手よりも消費エネルギー量が多かった。

著者らは、複数の女性チームスポーツアスリートの総消費エネルギー量、活動に伴う消費エネルギー量、および身体活動レベルを同一条件で評価した研究はこれまでにないとし、「女性チームスポーツアスリートのエネルギー要件に対する新たな洞察を提供するもの」と述べている。また、このような知見によって、「それぞれの競技に参加するアスリートの日々のエネルギーバランスが負となるリスクを回避可能となり、成長やパフォーマンスの維持・最適化につながり、かつ、利用可能エネルギー不足(Low Energy Availability;LEA)やスポーツにおける相対的エネルギー不足(Relative Energy Deficiency in Sport;RED-S)のリスクにも利用可能」と、研究意義を強調している。

文献情報

原題のタイトルは、「Comparison of Energy Expenditure Observed between Scheduled Activities in Collegiate Team-Sport Female Athletes」。〔Sports (Basel). 2021 Apr 2;9(4):50〕
原文はこちら(MDP)

SNDJ特集「相対的エネルギー不足 REDs」

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