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30日間のケトン食がセミプロサッカー選手に与える影響を調査 イタリアからの報告

セミプロの男性サッカー選手を対象とするランダム化前向き試験の結果、30日間のケトン食の実践で筋量や筋力を落とさずに体組成が改善したというイタリアの研究者らの報告が、国際スポーツ栄養学会の「Journal of the International Society of Sports Nutrition」に掲載された。著者らは、短期間での減量を目指す際にケトン食の実践を選択肢として考慮する必要があると述べている。

30日間のケトン食がセミプロサッカー選手に与える影響を調査 イタリアからの報告

ケトダイエットはアスリートに適用可能か?

サッカー王国と呼ばれるイタリアには、エリートレベルのサッカー選手は2,500人以上存在しているが、セミプロレベルの選手の数はそれよりはるかに多く、約37万7,000人に上るという。エリートサッカー選手は優れた体組成であるのに対して、セミプロサッカー選手はそうとは限らず、そのことがスピードやパワー、ドリブル、ボールコントロールに悪影響を及ぼしていることが少なくない。体組成を改善する最も優れた方法は食事療法であるが、セミプロ選手はしばしばオフシーズンに体重と体脂肪の増加を来し、シーズン前の減量が必要となる。

減量のための食事療法の一つは摂取エネルギー量の制限であり、それとは別にケトン食が挙げられる。近年、適切な摂取エネルギー量が確保された状態でのケトン食によるケトーシスを「生理学的ケトーシス」と呼び、糖尿病などによる「病理学的ケトーシス」と区別する考え方が提案されている。しかし、スポーツアスリートへのケトン食の適用を検討した研究の結果は一貫性がなく、悪影響があると指摘する報告も存在する。

このような背景から本研究は、30日間のケトン食による食事療法(ケトダイエット)が筋肉量やパフォーマンスに悪影響を与えることなく、体脂肪を減らすことができるとの仮説のもとで実施された。

ケトン食群では毎日の採尿等により遵守状況をモニタリング

研究参加者は、ベネチアのカテゴリーIのチームに所属するセミプロ男子サッカー選手。除外基準は、体脂肪率が32%を超過、前月の体重変化±2Kgを超過、何らかの特別な食事療法の実践、マルチビタミン・ミネラルを除くサプリメントの利用、ポジションがゴールキーパー、心血管・呼吸器・消化器・甲状腺疾患および代謝性疾患患者、脂質低下薬・血糖降下薬の処方を受けている場合とし、16名が採用された。年齢は25.5±2.8歳で、身長179.0±9.2cm、体重77.2±11.88kg。

無作為に8名ずつの2群に分け、1群には西洋型の食事、他の1群はケトン食を30日間続けてもらった。ケトン食群に割り当てられた選手には、摂取すべきでない食品リスト、毎日のレシピを提供するとともに、毎日1~2回、定められた時間に採尿して尿ケトンレベルを測定し、必要に応じてカウンセリングや栄養指導が実施された。さらに、専用アプリケーションによって遵守状況がモニタリングされた。

このほか両群ともに、トレーニング前後の適切な水分摂取が奨励されたほか、睡眠前に摂取するカゼインタンパク30~40g/日を提供した。また、介入期間中は通常のトレーニング(8時間/週)を維持するように求めた。

介入前・介入中の摂取エネルギー量と摂取タンパク質量に有意差なし

ベースライン時の栄養素摂取量、年齢、体脂肪量・率、BMIに群間差はなかった。

30日間の介入期間中、ケトン食群の炭水化物摂取量は著減し脂質摂取量が著増していた。摂取エネルギー量に有意差はなかった。また、タンパク質摂取量も群間差がなかったことを、著者らは本研究の重要な点として指摘している。具体的な摂取量は以下のとおり。

ケトン食群西洋食群介入効果の
群間差
介入前介入中介入前介入中
摂取エネルギー量
(kcal/日)
2,356±4501,984±4302,146±2301,752±320有意差なし
炭水化物
エネルギー比(%)
49±69±351±4051±4p<0.0001
タンパク質
摂取量(g/kg/日)
1.37±0.51.85±0.31.59±0.41.83±0.2有意差なし
タンパク質
エネルギー比(%)
15±328±414±6028±3有意差なし
脂質
エネルギー比(%)
35±464±333±220±8p<0.0001
飽和脂肪酸
摂取量(g/日)
35±1045±1236±415±3p<0.0001
一価不飽和脂肪酸
摂取量(g/日)
28±649±1627±59±5p<0.0001
多価不飽和脂肪酸
摂取量(摂取量g/日)
16±321±516±95±2p=0.0003
コレステロール
摂取量(mg/日)
304±101720±4187303±98167±65p<0.0001
食物繊維
摂取量(g/日)
13±210±311±915±4有意差なし

30日間の介入によりケトン食群で体組成などが改善し群間に有意差

30日間の介入後、ケトン食群は西洋食群に比較して、体脂肪量、内臓脂肪量が有意に低値となっていた。介入後の筋肉量や筋力には有意差がみられなかった。パフォーマンス指標として測定されたYo-Yoテストとカウンタームーブメントジャンプは、両群ともに介入期間中に向上し、介入後の群間差は有意でなかった。主な指標の変化は以下のとおり。

ケトン食群西洋食群介入効果の
群間差
介入前介入後介入前介入後
体重
(Kg)
78.19±11.7473.98±9.4076.15±12.0373.76±10.13有意差なし
体脂肪量
(kg)
19.47±4.0717.92±3.8118.88±6.6717.96±6.30p=0.036
内臓脂肪量
(g)
388±66325±54355±104328±101p=0.0018
大腿四頭筋
横断面積
(cm2)
71.83±8.3272.20±6.5371.05±9.8871.29±9.247有意差なし
大腿四頭筋
随意最大筋力
(N)
628.9±163.3617.3±150.2621.3±99.11596.0±95.56有意差なし
呼吸交換率0.87±0.080.74±0.040.85±0.040.83±0.03p=0.0008
安静時
代謝量
(kcal/日)
1,940±138.91,939±1371,916±140.81,917±136.3有意差なし
Yo-Yoテスト
(m)
880.4±244.81,123±266683.0±388.1911.1±378.5有意差なし
カウンター
ムーブメント
ジャンプ(cm)
40.4±6.543.6±637.3±2.938.6±04.1有意差なし

急速な減量が目的であるなら、ケトン食が選択肢になり得る

これらの結果をもとに著者らは、「ケトダイエットはサッカーのようなチームスポーツで求められる体力、パワー、筋肉量を損なうことなく、短期間に脂肪量を減らすための安全で実行可能な戦略である可能性が示された。短期間で減量を要するとき、ケトダイエットが選択肢の一つとして考慮に値する」とまとめている。

また、従来のケトン食による介入効果を検討した研究の結果が一貫性を欠いていたり、悪影響を報告しているものがあるのに対して、本研究では減量というメリットが示され、悪影響は観察されなかったことについて、介入期間の適切さ、適切な電解質バランスの維持、適切な水分摂取と、タンパク質の摂取量や質、摂取タイミングが適切であったことで説明可能と述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「Effects of 30 days of ketogenic diet on body composition, muscle strength, muscle area, metabolism, and performance in semi-professional soccer players」。〔J Int Soc Sports Nutr. 2021 Sep 16;18(1):62〕
原文はこちら(Springer Nature)

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