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米国陸海空軍・海兵隊員の約半数がスポーツ系サプリメントを利用 自己報告による有害事象は2.0%

米国の陸海空軍と海兵隊の兵員や士官を対象に行われた、スポーツサプリメントの使用状況とそれによる有害事象の調査結果が、国際スポーツ栄養学会の「Journal of the International Society of Sports Nutrition」に掲載された。対象の約半数が定期的にスポーツサプリメントを摂取しており、有害事象の報告は2%と少数だった。

米国陸海空軍および海兵隊員のほぼ半数がスポーツサプリを利用 自己報告による有害事象は2.0%

米軍の兵員・士官2万7,000人が調査に回答

この調査は、米国の陸軍、海軍、空軍および海兵隊員、計20万人に対し、郵送にて行われた。20万人中14万6,365人(73%)に対しては連絡が完了し(郵便物が返送されず)、そのうち2万6,681人(18.2%)が調査協力のインフォームドコンセントに署名し、調査に回答した。性別は男性2万3,038人(86.3%)、女性3,642人(13.7%)。所属は陸軍7,935人、海軍5,763人、空軍9,789人、海兵隊3,194人。

なお、本調査ではスポーツサプリメント(sport-related nutritional supplements;SRNSs)の利用状況を調べている。米国でSRNSsは食品医薬品局(food and drug administration;FDA)の規制管理下にあって、規制が緩やかな栄養補助食品(dietary supplements;DSs)と扱われ方が異なっている。

スポーツサプリ利用率は44.6%

過去6カ月以内に、週に1回以上、スポーツサプリを摂取したとの回答が、44.6%だった。製品の形状で、スポーツドリンク、スポーツバー、スポーツジェルに分類すると、それぞれ32.3%、26.3%、3.43%の利用率であり、大半のサプリユーザーは、いずれか一つの形状のサプリのみを利用していた。

以下、利用率を属性別に比較した結果を示す。

女性より男性のほうが利用率が高い
男性の利用率は46.1%で女性の35.0%より有意に高かった(p<0.01)。
年齢とともに利用率が低下するが、スポーツジェルは逆

18~24歳(4,660人)の利用率は50.8%で最も高く、以下、25~29歳(5,580人)は46.2%、30~39歳(1万1,031人)は43.7%、40歳以上(5,275人)は39.8%であり、年齢が高いほど利用率が低下していた(傾向性p<0.01)。

利用しているサプリの数、および、製品の形状のうちスポーツドリンクとスポーツバーの利用率は、年齢が高いほど低下していた。ただし、スポーツジェルのみは、年齢が高いほど利用率が高かった(いずれも傾向性p<0.01)。

また、教育歴が長いほど利用率が低下するが、スポーツバーとジェルについては、教育歴が長い人のほうが利用率が高いこともわかった(いずれも傾向性p<0.01)。
未婚者より既婚者のほうが利用率が高いが、スポーツドリンクは逆
未婚者(6,471人)の利用率は43.2%、既婚者(1万7,686人)は48.8%で、後者のほうが高かった。ただしスポーツドリンクのみは、未婚者(37.3%)のほうが既婚者(30.5%)より利用率が高かった。なお、別居・離婚・死別者(2,145人)の利用率は43.5%だった。
トレーニング量が多いほど利用率が高い
有酸素運動時間が90分/週以下(7,287人)では利用率38.9%、91~180分/週(7,285人)では43.9%、181~300分/週(5,869人)では46.7%、300分/週超(6,240人)では50.0%だった。またレジスタンストレーニング時間が45分/週以下(7,776人)では34.9%、46~135分/週(6,257人)では43.9%、136~300分/週(6,582人)では49.8%、300分/週超(6,066人)では52.1%であり、いずれもトレーニング時間が長いほどサプリ利用率が高かった(いずれもp<0.01)。
喫煙者は利用率が高い
喫煙習慣については、非喫煙者(1万6,706人)42.7%、前喫煙者(4,767人)46.1%、現喫煙者(4,512人)51.4%の順にサプリ利用率が高く群間に有意差があった(p<0.01)。また無煙タバコについても同様の結果だった。
飲酒量が多いほど利用率が高い
飲酒量については、0mL/週(8,372人)は37.3%、0.23~24.85mL/週(6,132人)は41.3%、24.86~71.69mL/週(6,108人)は49.5%、71.70mL/週以上(6,068人)では53.0%と、飲酒量が多いほどサプリ利用率が高かった(傾向性p<0.01)。
海軍と海兵隊は利用率が高い
軍の所属別では、陸軍は45.1%、海軍は44.0%、空軍は41.3%、海兵隊は54.3%であり、空軍での利用率が最も低く、その空軍に比較し海兵隊は有意に利用率が高かった(ともにp<0.01)。
戦闘員は支援要員より利用率が高い
軍内の配置別では、戦闘員(6,451人)は50.3%、戦闘支援(1万424人)43.9%、後方支援(9,133人)41.9%の順に利用率が低く群間に有意差があった(p<0.01)。
BMIとは有意な関連なし
BMI25.0未満の普通体重(7,856人)の利用率は44.0%、25.0~29.9の米国における過体重(1万3,898人)は45.2%、30.0以上の米国における肥満(4,424人)は44.3%であり、利用率の群間差は有意でなかった。

有害事象の報告は2.0%

1件以上の有害事象を報告したのは、スポーツサプリメント利用者の2.0%だった。製品の形状別にみると、スポーツジェルで最も多く2.8%、次いでスポーツバー1.6%で、スポーツドリンクが最も少なく1.3%だった。

これらの製品の形状のうち、1種類のみを利用している人で、1件以上の有害事象を報告したのは1.8%だった。3種類を利用している人で、1件以上の有害事象を報告したのは1.9%だった。3種類すべての形状のサプリを利用している人で、1件以上の有害事象を報告したのは3.8%だった(p<0.01)。

これら、自己申告による有害事象の発現率は、既報の研究に比較し全般的に低かった。そのようななかでも発現率が比較的高い症状として、スポーツジェルでは腹痛(0.8%)、動悸(0.7%)、下痢(0.4%)、睡眠障害・不眠症(0.4%)など、スポーツバーでは下痢(0.5%)、腹痛(0.4%)などが報告されていた。

以上より著者は結論として、「米軍の兵員・士官を対象としたこの大規模な研究の結果、対象のほぼ半数が毎週スポーツサプリメントを摂取しており、自己申告による有害事象は比較的少ないことがわかった。有害事象発現率は、一般的な栄養補助食品での報告よりはるかに低かった。これはおそらく、スポーツサプリメントの管理が栄養補助食品よりも厳格なためと考えられる」とまとめている。

文献情報

原題のタイトルは、「Prevalence, factors associated with use, and adverse effects of sport-related nutritional supplements (sport drinks, sport bars, sport gels): the US military dietary supplement use study」。〔J Int Soc Sports Nutr . 2021 Aug 25;18(1):59〕
原文はこちら(Springer Nature)

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