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幼児期に果物や野菜の摂取量が多い男児は、小学校入学時の身長が高い

幼児期の果物や野菜の摂取量が多い男児は、小学校入学時点の身長が高いというデータが、デンマークから報告された。女児については、果物や野菜の摂取量と慎重の間に関連がみられないという。

幼児期に果物や野菜の摂取量が多い男児は、小学校入学時の身長が高い

身長の発育に幼児期の野菜・果物摂取量は関連あるか?

身長を規定する因子として、遺伝のほかに栄養状態の影響が大きいことが知られている。身長の伸びに関連する栄養指標として、摂取エネルギー量がまず挙げられ、その他、タンパク質や乳製品などとの関連が、主として学童から思春期に該当する子どもたちを対象とした研究から示されている。

他方、果物や野菜に含まれるカリウムとマグネシウム、亜鉛、ビタミンKなどは骨の代謝と成長に寄与し、またアルカリ性食品であり酸塩基平衡を整えることも骨の健康にメリットをもたらす可能性がある。しかし、幼児期の果物や野菜摂取量と身長の発育との関連性は詳しく研究されていない。そこで本研究では、就学前(6歳未満)の野菜・果物の摂取量と就学時の身長との関連の有無が検討された。

デンマークの幼児対象コホート研究の一環で行われた研究

この研究は、デンマークの子どもたちを前向きに追跡したコホート研究「The Healthy Start」プロジェクトの一環として行われた。The Healthy Startは、2004~2007年にコペンハーゲンで生まれた子どものうち、以下のいずれかに該当し肥満になりやすい素因があると考えられる子どもが登録された。肥満になりやすい素因とは、出生時体重が4,000g以上、母親の妊娠前のBMIが28以上であること、および一部の自治体からは母親の教育歴が10年未満の場合も登録された。

計5,902人の子どもがこれらの基準を満たし、追跡中に移住した家族や児童養護施設で生活している子どもを除外し、3,058人の子どもの親に研究参加を呼び掛けたところ、635人が参加に同意した。このうちベースライン時(4.0±1.1歳)のデータ欠落のない553人が研究登録され、就学時の追跡調査の対象は511人だった。

野菜や果物の摂取量を三分位で3群に分け、身長との関連を検討

野菜や果物の摂取量は、ある週の水曜日から土曜日まで4日間の食事摂取状況を親に記録してもらい、その記録から推定。男児、女児ごとに三分位で3群に分け、ベースライン時の身長、および就学時の身長との関連を検討した。

前述のように、ベースライン時の年齢は4.0±1.1歳であり、その他、身長は104.4±9.2cm、体重は17.9±3.2kg、BMIのZスコアは0.4±0.9、摂取エネルギー量は4.8±1.0MJ/日(1,147±239kcal)、野菜摂取量は97.9±60.7g/日、果物摂取量は94.8±58.4g/日、野菜と果物の合計では192.7±90.4g/日だった。

野菜摂取量、果物摂取量、および両者合計の値で三分位に分けた場合の各群の摂取量は以下のとおり。

野菜摂取量
第1三分位群40.1±17.9g/日、第2三分位群88.6±13.4/日g、第3三分位群164.4±52.4g/日
果物摂取量
第1三分位群37.6±17.0g/日、第2三分位群85.6±13.5/日g、第3三分位群160.8±45.7g/日
野菜と果物の合計摂取量
第1三分位群101.8±33.1g/日、第2三分位群179.3±20.9/日g、第3三分位群295.9±63.7g/日

男児では野菜・果物の摂取量が多いことが身長が高いことと関連

野菜や果物の摂取量と身長の関連は、影響を及ぼし得る因子を調整しない検討、および、年齢、BMIのZスコア、摂取エネルギー量で調整した「モデル1」、モデル1に親の身長と教育歴を加えた「モデル2」という3通りで検討している。

第1三分位群を基準に比較した場合に、いくつかの条件で統計的有意差が認められた。

ベースライン時の横断的解析

まず、ベースライン時点の横断的解析の結果をみると、モデル1で、男児の野菜・果物の合計摂取量の第2三分位群と第3三分位群が、第1三分位群に比較しいずれも1.3(95%CI;0.3~2.3)cm、有意に高身長だった。調整因子に親の身長と教育歴を加えたモデル2でも、第2三分位群は第1三分位群に比較し1.4(95%CI;0.2~2.7)cm、有意に高かったが、第3三分位群は有意性が消失した。

女児に関しては、未調整モデルで野菜摂取量の第3三分位群が第1三分位群に比較し4.5(95%CI;1.6~7.5)cm高身長だったが、モデル1では有意でなかった。

就学時の身長との関連

次に、就学時点の身長との関連をみると、男児に関しては未調整モデルおよびモデル1で、野菜と果物の合計摂取量の第2三分位群と第3三分位群は、第1三分位群に比較し有意に身長が高かった(モデル1で第2三分位群が2.4〈95%CI;0.8~3.9〉cm、第3三分位群が1.8〈95%CI;0.2~3.4〉cm)。モデル2では第3三分位群の有意性は失われ、第2三分位群は引き続き有意に高身長だった(1.8〈95%CI;0.03~3.6〉cm)。

女児に関しては、ベースライン時の野菜・果物摂取量と就学時点の身長との間に有意な関連は認められなかった。なお、ベースライン時の野菜・果物摂取量と身長との関連に、男児と女児とで有意な交互作用が確認された。

これらの結果を著者らは、「幼児期の野菜と果物の摂取量が中程度から高い男児は、年齢、BMIのZスコア、摂取エネルギー量の違いを調整した後も、就学前および就学時の身長の高さと関連していた。さらに野菜と果物の摂取量が中程度の男児は、親の身長や教育歴を調整因子に加えた場合も引き続き有意に高身長だった」とまとめている。

また、「公衆衛生の観点から、適切な野菜と果物の摂取量が確保されるような介入プログラムを開発し、幼児の身長の発達を追跡する必要がある」と述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「Longitudinal Associations between Intake of Fruit and Vegetables and Height Attainment from Preschool to School Entry」。〔Int J Environ Res Public Health. 2021 Jun 5;18(11):6106〕
原文はこちら(MDPI)

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