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アスリートの口腔衛生問題 水泳とサッカー選手は、より注意が必要

歯学雑誌「Dentistry journal」に、アスリートの口腔衛生とトレーニングの関係をまとめたレビュー論文が掲載された。アスリートの口腔衛生状態は不良である傾向がみられ、それによって生じる種々の疾患が、トレーニングと競技双方のパフォーマンスを制限するように作用する可能性があるという。論文では、アスリートの口腔に生じる主な疾患の解説と、マウスガードの適用などについて概説している。ここでは要旨を抜粋して紹介する。

アスリートの口腔衛生問題 水泳とサッカー選手は、より注意が必要

スポーツと口腔衛生

口腔環境は、ライフスタイル、食生活、衛生状態、およびスポーツ活動に影響される。スポーツ歯科領域で長年にわたって行われてきた数多くの研究により、唾液のpHと流量、微生物、分泌型免疫グロブリンA(secretory immunoglobulin A;S-IgA)レベルなど、口腔生態系の調節に関連する知識が拡大した。

アスリートの口腔内で高頻度にみられる疾患として、虫歯、びらん、歯周病が挙げられる。これらの疾患の有病率は、虫歯は15~70%、智歯周囲炎(親知らずの歯周炎)は5~39%、歯周病は15%以上に存在すると報告されている。不十分な口腔衛生とスポーツ活動中に発生する生理学的変化は、口腔および全身性疾患発症のリスクとなり、例えば口腔細菌と心血管疾患(アテローム性病変)や関節リウマチなどはよく知られている。

そして、数ある競技種目の中でも特に、サッカーと水泳はより高い口腔衛生の危険にさらされているという。

サッカー選手と口腔衛生

サッカーについては例えば、FCバルセロナの選手を対象とする調査で、虫歯や歯周病の有病率や重症度などを評価し、歯垢の付着状態を表すプラークインデックスや、歯周ポケットの深さが、筋損傷と統計的に有意な相関があることが報告されている。また、若年のサッカー選手では、スポーツを行っていない若年者と比較して、唾液中の微生物負荷が有意に高いという報告や、サッカー選手は歯の変色の程度が強く、毎日のブラッシングの頻度が低いという報告もみられる。

また、トレーニング時間が長くなるにつれて、S-IgAの産生が減少し、病原性細菌の口腔内増殖が増加することも示されている。激しい身体活動は乳酸を生成し血中pHを低下させる。トレーニング後の唾液レベルでもpHが低下することが知られている。

水泳選手と口腔衛生

水泳選手では、長時間プール内でトレーニングするに際して、プールの水の消毒剤の影響を考慮する必要があると言われる。水泳や水球の選手は、非細菌性による硬組織の侵食が進行することがあり、これはプール水のpH値が低い(2.8~4.5の範囲)、またはプール水の塩素処理が不十分であることに関連している。

アスリートの食習慣と酸蝕症

このような、酸蝕症(細菌が関与しない歯のダメージ)はアスリートによく見られる病状であり、特に若年者では食べ物や飲み物の大量摂取が消費と相関している可能性がある。スポーツ活動中に、pHの低い(多くの場合3未満)のエネルギードリンクを多飲することがその一因である可能性も指摘されている。

スポーツマウスガードは、歯科医・歯科技工士によるカスタムメイドを使う

マウスガードを用いると、口蓋と歯の咬合面が覆われ、外傷リスクが軽減される。この外傷予防がスポーツマウスガードの主たる機能だが、心理的および肉体的なサポートにもなり、パフォーマンスの向上につながる可能性もある。

例えばマウスガードを使用することで、有酸素運動と無酸素運動双方で身体能力が向上するという研究結果がある。多くの利点を考慮し、歯科医や歯科技工士によりカスタムメイドされたマウスガードの使用を、すべてのスアスリートが検討すべきかもしれない。

お手入れも大切なポイント

一方、マウスガードの使用で生じることのある問題にも注意が求められる。例えば、不適切に設計され作られたマウスガードは、角質増殖、紅斑、潰瘍などを生じさせることがある。マウスガード表面に存在する微生物の血流への侵入により、全身感染症(例えば、心内膜炎、心膜炎、肺炎など)を引き起こす可能性を指摘した論文もみられる。

マウスガードには、細菌や唾液、食べ物の残渣が蓄積しやすいため、頻繁にクリーニングする必要がある。しかし、アスリートはその手入れを怠りやすいことを示した研究もある。例えば22名のラグビー選手を対象に調査した結果、スポーツ歯科医による指導を順守しマウスガードを消毒していたのは、2人のみだったと報告されている。

将来的には、口腔衛生を支えるための栄養介入が必要

口腔疾患はときにスポーツパフォーマンス向上の妨げとなることがあるが、口腔健診と唾液分析、および口腔衛生増進プログラムによってサポートすることが可能だ。パーソナライズされた唾液分析を通じて、個人に最適な食事療法とトレーニングプログラムを提供し、アスリートの怪我を防ぎ、最高のパフォーマンス達成に導くことが求められる。

文献情報

原題のタイトルは、「The Impact of Sport Training on Oral Health in Athletes」。〔Dent J (Basel). 2021 May 3;9(5):51〕
原文はこちら(MDPI)

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