スポーツ栄養WEB 栄養で元気になる!

SNDJクラブ会員募集中! 詳細はこちら
一般社団法人日本スポーツ栄養協会 SNDJ公式情報サイト
ニュース・トピックス

ケトン食では腎結石に要注意 メタ解析の結果、推定発生率が4年で8%に及ぶ可能性

ケトン食は古くからてんかんの治療に用いられ、近年では成人の減量手段としても広まっており、またエビデンスはまだ十分とは言えないものの、スポーツパフォーマンス向上を狙ってケトン食を採り入れるアスリートも存在する。そのようなケトン食の注意点として、腎結石のリスクに着目したメタ解析の結果が報告された。平均4年弱の追跡期間中に、成人では7.9%の確率で腎結石が発生する可能性があるといい、これは一般人口の腎結石発生率の報告(年率で男性0.3%、女性0.25%)よりはるかに高い。

ケトン食では腎結石に要注意 メタ解析の結果、推定発生率が4年で8%に及ぶ可能性

ケトン食の副作用のうち、腎結石については理解が不足している

超低炭水化物食、ケトジェニック食と呼ばれる食事療法に関するメリットとデメリットの研究が近年積極的に行われている。このうちデメリットについては、開始初期の消化器症状、脂質異常症、骨量減少、腎機能低下などの面は比較的多くの知見が蓄積されてきているが、腎結石については十分に理解されていない。これを背景として本論文の著者らは、システマティックレビューとメタ解析により、その実態の把握を試みた。

文献検索では、Ovid MEDLINE(1946年から2020年4月までに公開されたもの)、EMBASE(1988年から2020年4月まで)、およびコクランレビュー(データベースの開始から2020年4月まで)を対象として、検索キーワードとして「ケトジェニックダイエット」「ケトダイエット」「アトキンスダイエット」「低炭水化物ダイエット」「腎結石」「腎臓結石」などを設定した。論文の言語や研究対象者数、研究期間に制限は設けなかった。

221件の報告がヒットし、2名の独立した研究者が採否を検討。意見の不一致は3人目の研究者とともに検討し判断された。最終的に、総計2,795人を対象とする36件の研究をメタ解析の対象として抽出した。なお、これら一連の作業は、システマティックレビューとメタ解析に関する優先報告項目 (Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-analyses; PRISMA)に準拠して行われた。

ケトン食実施中の腎結石の発生率は一般成人の7~8倍の可能性

36件の報告のうち35件は、ケトン食による腎結石発生率の有意な上昇を報告していた。腎結石の発生率の上昇が有意でないとしていた研究は、36件中1件のみだった。それでは、メタ解説の結果をみていこう。

36件の研究の平均追跡期間は3.7±2.9年だった。その間の腎結石の発生率は5.9%(95%CI;4.6~7.6%)で、異質性(I2)は47%だった。年齢によるサブグループ解析から、小児では5.8%(95%CI;4.4~7.5%,I2=49%)、成人では7.9%(95%CI;2.8~20.1%,I2=29%)であることが示された。

一般成人の腎結石の発生率は、既報によると男性0.3%/年、女性0.25%/年とされている。単純に計算するとケトン食療法実践者が腎結石を発症する頻度は、一般成人の7~8倍に上るとも言える。

次に、ケトン食実施中に発生した腎臓結石の種類についてみると、尿酸結石が48.7% (95%CI;33.2~64.6%)とほぼ半数を占め、カルシウムベースの結石が36.5%(95%CI;10.6~73.6%)、両者の混合結石が27.8%(95%CI;12.1~51.9%)だった。

最後に出版バイアスの検討(Egger回帰テスト)の結果をみると、すべての解析について有意な出版バイアスがないことが示されていた。

ケトン食に伴う腎結石の予防と対策

以上の検討から著者氏らは結論を、「ケトン食療法を行っている人の腎結石の推定発生率は 5.6%だった。結石の性状としては、尿酸結石が最も多くみられ、カルシウムベースの結石がそれに続いた。これらの知見は、ケトン食療法実践者にみられる腎結石の予防と管理に役立つと考えられる」とまとめている。

一方、本研究の限界点として、メタ解析の対象研究でケトン食の定義が一定でないこと、腎結石リスクに影響を及ぼし得る家族歴、身体活動、ケトン体などが考慮されていないこと、初発か再発か区別されていないこと、腎機能が評価されていないこと、小児に比較し成人のサンプル数が少ないこと、高齢者があまり含まれていないことなどを挙げている。

ハイリスク者の同定、植物性タンパクの摂取、水分摂取

なお、ケトン食に伴う腎結石のリスクを抑制する方法として、今回の検討で尿酸結石が多いことが明らかになったことから、プリン体の摂取を抑えるため、タンパク源を動物性から植物性に変えることを提案している。また、十分な水分摂取を推奨するとともに、家族歴がある等のハイリスク状態を把握しそれに該当する場合には、ケトン食開始にあたりスクリーニングを行うことや、腎臓専門医の定期的な受診を促すなどの対策が必要としている。

文献情報

原題のタイトルは、「Incidence and Characteristics of Kidney Stones in Patients on Ketogenic Diet: A Systematic Review and Meta-Analysis」。〔Diseases. 2021 May 25;9(2):39〕
原文はこちら(MDPI)

この記事のURLとタイトルをコピーする
志保子塾2021前期「ビジネスパーソンのためのスポーツ栄養セミナー」

関連記事

スポーツ栄養Web編集部
facebook
Twitter
LINE
ニュース・トピックス
スポーツ栄養”見える”化プロジェクト
スポーツ栄養”見える”化✕選手育成プロジェクト「中井彩子 フランス・ロードバイク日記」
元気”いなり”プロジェクト
元気”いなり”プロジェクト
SNDJクラブ会員登録
SNDJクラブ会員登録

スポーツ栄養の情報を得たい方、関心のある方はどなたでも無料でご登録いただけます。下記よりご登録ください!

SNDJメンバー登録
SNDJメンバー登録

公認スポーツ栄養士・管理栄養士・栄養士向けのスキルアップセミナーや交流会の開催、専門情報の共有、お仕事相談などを行います。下記よりご登録ください!

おすすめ記事
セミナー・イベント情報
このページのトップへ