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親の食行動は子どもの食習慣にどんな影響を与えるかを調査 ナラティブレビュー

子どもの食習慣に対する親の食行動の影響に関するナラティブレビュー論文が発表された。2000年以降に報告された論文を検索し、家庭の職環境、子育てのスタイルなど多角的な視点で考察を加えた内容だ。

親の食行動は子どもの食習慣にどんな影響を与えるか? ナラティブレビュー

2000年以降発表論文を収集

小児期に身についた食習慣は成人期へ続く可能性があり、それが非健康的なものである場合には肥満や2型糖尿病などのリスクが上昇する。食習慣の早期の修正、とくに小児期の食生活の改善は、健康増進につながりその後の人生での疾患リスクを軽減する可能性が示されている。

一方、性別や年齢、社会経済的因子、人口統計学的特性にかかわりなく、親の食習慣が子どもの食行動に大きな影響を与えることが、多くの研究から明らかになってきた。ただし、両者の関連を結び付けるメカニズムについては、不明な部分が多く残されている。

本論文の著者らは、PubMed、Scopus、Education Resources Information Center (ERIC)、Science Direct、Google Scholarという文献データベースを用い、親の食行動と子どもの食習慣に関する研究報告を検索した。キーワードは、「食習慣」「子ども」「家族の食事」「朝食」「軽食習慣」「食品の選択」「役割モデル」「糖尿病」「子育てのスタイル」などを用いた。

検索対象は2000年から2020年に発表され論文とし、原著論文に加えレビュー論文も含め、未就学児 (2~5歳) または学齢期 (6~13歳) の子どもを含む研究で、英語で執筆されているものとした。キーワード検索でヒットした2,590件から508件の重複を除外後、タイトルのレビューにより455件に絞り込み、より詳細な検討により9件の論文を抽出した。

9件中6件は米国から、2件はオーストラリアから、1件はニュージーランドからの報告であり、5件は縦断的、4件は横断的な検討だった。

以下、論文では、「定義」「子どもの食習慣」「家庭の食環境」「子育てのスタイルと食習慣」「子どもの食習慣に影響する親の食行動」「家族の食事」「朝食」「間食の習慣」という切り口で考察している。それぞれの項目について、要旨を紹介する。

定 義

「食習慣」とは、人が意識的かつ反復的に食べる方法と定義することができ、これは文化的および社会的な影響を受け、摂取する食品の傾向、摂取量、摂取タイミングという要素が含まれる。一方、「食行動」には、いわゆる食品の咀嚼から、食品の購入、調理、意思決定に至る一連の行動と言える。

子どもの食習慣

子どもから成人に至るまでの食習慣は、健康の観点から非常に重要。生後1年の間に既に親の影響は生じる。母乳育児の終了するころには子どもは自分で食事をすることを学び始め、家族の食事パターンに従うことになる。

11カ国の調査から、出生から2年までの子どもの栄養状態は、食事の多様性と正の関連があることが示された。120人の2歳児とその両親を9年間追跡した研究からは、約25%の子どもが、新しい食べ物を口にするのをためらい、親しみのある食品にこだわるなどの問題を抱えていることが報告された。親は子どもに対し、あきらめずに新しい食品を何度も教えることが推奨される。

家庭の食環境

家庭の食環境は、食料の入手しやすさ、外食の頻度、および親の食費に対する認識などが決定要因となる。学齢期になると地域社会の影響を受ける可能性があるが、それをコントロールできる範囲は限られたものである可能性が報告されている。

1,492人の子どもを対象とした発達に関する縦断研究では、家庭環境が良好、つまり家族の食事へのプレッシャーが少ない子どもは、ソフトドリンクの摂取量が少ないことがわかった。低所得世帯では健康的な食品の購入頻度が低く、一方でファストフードの利用が多い。また外食の頻度も家庭環境に最も影響を受ける要因の一つである。

子育てのスタイルと食習慣

子育てのスタイルは、権威的なものから寛容なものまで数タイプに分類されることが多い。権威主義的なスタイルは要求が高く子どもの反応が鈍いのに対し、寛容なスタイルには要求が高くなく子どもの反応は良い。ただし、このような子育てスタイルが子どもの食行動に直接的な役割を果たしていることを調査した研究は限られている。

最近のエビデンスをレビューした報告は、相互の信頼関係が確立されている家庭で育てられた子どものBMIは良好であり、健康的な食事をとる傾向があると結論付けている。しかし、その影響は一般的に弱いものであった。

子どもの食習慣に影響する親の食行動

食事の好みは、遺伝的要因と慣れ親しんだ環境要因が複雑に絡み合って形成される。しかし、そうではあっても両親は子どもの食行動をモデル化するうえで、それをコントロールできるように見受けられる。

例えば生後1年の間に子どもの食事パターンは急速に進化するが、これは子どもが親の行動や食習慣をまねるからにほかならない。多くの横断調査がこの関連性を示唆している。ただし、これらの横断研究は因果関係の証明には用いることができない。とは言え、これまでの研究から、親の影響力はとくに親がロールモデルである幼児期に、最も強いと考えられる。

家族の食事

家族での食事の頻度と子どもの心理社会的影響に焦点を当てた系統的レビューでは、家族での食事の回数が多いほど、子どもの摂食障害、暴力的行動、うつ病が少ないという負の相関があると結論付けている。また家族での食事の回数が多いほど、子どもの自尊心が高まるという。

別のメタ解析では、週に3回以上家族で食事をした場合に、子どもが適正体重である確率が高くなるとしている。また、12 歳の子どものいる160家族を対象とした無作為化比較試験で約5年間追跡したところ、健康的な家族の食事の共有を促すことで、過体重を減らすことができたと報告している。

朝 食

定期的な朝食は、子どもと青年の認知機能の健康、栄養状態の改善、血清脂質の低下に関連していることが報告されている。これは、インドネシアの4つの小学校、126人の子どもを対象に実施された横断研究の結果から裏付けられている。またその研究では、子どもの朝食の習慣は、親の朝食の習慣と有意に関連していることがわかった。

研究対象者が最も多様である研究は、世界保健機関(WHO)欧州支部の報告で、2009/2010年にヨーロッパの39の州で11~1 歳および15歳の20万人を超える男女の学童を対象に健康行動調査を実施した。全体として、13歳では61%が学校のある日に朝食を食べていたが、15歳では55%に低下していた。また、社会経済的レベルが低い家庭ほど朝食をとる学童が少なかった。

朝食を抜く親の子どもは、朝食を抜く傾向が高く、エネルギー密度が高く栄養価の低い食品をより多く摂取し、肥満しがちであることも報告されている。このような調査結果は、介入計画において親の習慣とその子どもの習慣を同時に対処することの重要性を強調している。

間食の習慣

低品質の菓子類の摂取は、子どもの過体重の有病率の増加と関連している。いくつかの調査研究では、子どもの間食摂取習慣に対する親の影響は、子どもの年齢によって異なることを報告している。具体的には、思春期への移行期に親の影響力が低下する。ただし、親と子どもの菓子類の摂取量に正の相関があることも示されている。両親が1日を通してより多くの菓子を食べる場合、子どもはより多くの菓子を摂取する傾向がある。

日本の小学生1,632 人を対象とした横断研究によると、子どもの間食摂取習慣は父親の食生活の影響を受けていた。子どもの間食行動を防ぐためには、家族全員を対象とした教育的介入が推奨される。

文献情報

原題のタイトルは、「The Influence of Parental Dietary Behaviors and Practices on Children’s Eating Habits」。〔Nutrients. 2021 Mar 30;13(4):1138〕
原文はこちら(MDPI)

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