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カフェイン利用者の7人に1人が安全限界を超えた量を摂取 ニュージーランドの報告

カフェインはスポーツパフォーマンスの向上という目的だけでなく、幅広い年齢層にさまざまな目的で摂取されている。その摂取量に関してニュージーランドから新たなデータが発表された。カフェイン常用者の約7人に1人に相当する14.3%は、妊婦等を除く一般成人の安全限界量とされる400mg/日を超えて摂取しており、約4人に1人に相当する25.7%は有害事象を経験し、しかも有害事象を経験したことのある人の大半が摂取量を減らしていないという。

カフェイン利用者の7人に1人が安全限界を超えた量を摂取 ニュージーランドの報告

日本人とほぼ同量のカフェインを摂取しているニュージーランドでの調査

世界中の人のおそらく80%がカフェインを習慣的に摂取しているとされている。この研究結果が報告されたニュージーランドでは約73%が毎日カフェインを摂取し、その摂取量は3.6mg/kg/日という。この値は米国(2.4mg/kg/日)より高く、デンマーク(6.7mg/kg/日)より低く、アルゼンチン(4.3mg/kg/日)や英国(4.1mg/kg/日)、および日本(3.7mg/kg/日)とほぼ等しい量だ。

カフェインには眠気を払ったり、疲労感を抑制したり、スポーツパフォーマンスを高めたりといったメリットがある一方、過剰摂取により、不安、吐き気、動悸、胃のむかつき、頭痛、不眠、呼吸器や肝臓・心臓の障害、ときに発作から死に至る副作用が発生し得る。そのため、国際的には1日のカフェイン摂取量の安全性上の上限は400mg/日とされている(妊婦や授乳中の人を除く)。また同国でも、食品のカフェイン含有量は145mg/L以下、エナジードリンクは145~320mg/Lという規制がある。ただし、スポーツサプリメントやカフェインタブレットに関しては規制がないという。

エナジードリンクのカフェインによる有害事象の報告

エナジードリンクの摂取に関連する救急科の受診は、米国において2007~2011年の間に2倍(1万68件が2万783件)になったとの報告がある。またオーストラリアでは、2004~2010年の間に297件の事故が発生し、このうち43%が入院に至っている。これらのデータはエナジードリンク関連の有害事象であるため、カフェイン摂取のデメリットを過少評価している可能性がある。

カフェイン摂取のメリットと副作用は用量依存性であるため、ある集団のリスクを知るにはその集団のカフェイン摂取量を知ることから始まる。そこで本研究では、ニュージーランドの高等教育機関の学生、主として20歳代の若年者のカフェイン摂取習慣と、それに伴う有害事象の経験などを調査した。

カフェイン摂取の全体的傾向:中央値は146.73mg/日、2.25mg/kg/日

この研究には、2015年に開発され妥当性が検証済みの質問票「CaffCo(caffeine consumption habits)」とよばれる質問票が用いられた。CaffCoでは、茶、コーヒー、チョコレート、コーラ、エナジードリンクなど、カフェインを含む34種の製品の摂取量と摂取頻度に関する詳細な情報を収集する。オンライン上にこのCaffCoを公開し、新聞やポスター、および口コミを利用して回答を呼びかけた。

回答参加条件は16歳以上であることで、317名から有効回答を得た。回答者の内訳は以下のとおり。性別は女性が53.3%、年齢は19~30歳が74.4%と多くを占め、16~18歳が16.0%、31歳以上が9.5%。BMIは中央値22.9(四分位範囲20.8~25.1)であり、喫煙者が15.5%含まれていた。

回答者のほぼ全員がカフェインを習慣的に摂取

結果について、まず全体的な傾向をみると、回答者のほぼ全員にあたる99.1%が、カフェインを含む食品や飲料を習慣的に摂取していると回答した。総カフェイン摂取量は中央値146.73mg/日で、体重あたりに換算すると(n=281)、中央値2.25mg/kg/日(四分位範囲1.01~4.31mg/kg/日)、最大値は1,988.14mg/日(23.51mg/kg/日)だった。

カフェインの総摂取量にはコーヒー摂取が最も強く寄与しており(61.4%)、続いて茶(14.4%)、エナジードリンク(8%)、チョコレート(7.3%)、コーラ(5.3%)、カフェイン含有スポーツサプリメント(2.4)だった。

過剰摂取の実態は?

続いて過剰摂取の状況をみていこう。

副作用発現レベル、安全限界量を超えた摂取の頻度と、その関連因子

既報によると、カフェイン摂取により副作用が発現する摂取量は、3mg/kg/日とされている。回答者の3分の1以上(34.4%)がこれを超過した量を摂取していた。

回答者の背景別に検討すると、喫煙者は非喫煙者より3.34倍、このレベルを超えて摂取し(p<0.001)、16~18歳に比較し19~30歳は2.94倍(p=0.006)、31~50歳は5.88倍(p=0.002)このレベルを超えて摂取していた。

また、カフェインタブレットを摂取している人がこれに該当する割合は、摂取していない人の9.38倍(p=0.001)に及んだ。同様に、コーヒーを摂取している人では8.38倍(p<0.001)だった。

次に、国際的に安全限界量とされる400mg/日を超えて摂取している人の割合については、前述のように14.3%だった。背景別にみると、喫煙者はこれに該当する割合が3.58倍高く(p=0.001)、コーヒー摂取者は16.29倍高かった(p<0.001)。

有害事象の自覚とその対応、依存および離脱症状

回答者の84.7%がカフェイン摂取後に少なくとも1回以上、有害事象を経験していた。最も多い有害事象は頻尿(42.5%)で、続いて不眠(38.0%)、興奮(37.4%)だった。

有害事象を1回以上経験した人の4人に1人(25.7%)は、それにより社会生活に悪影響が及んだと報告していた。それにもかかわらず、有害事象経験者の77.3%、社会生活への悪影響を来した人の76.9%が、引き続き習慣的にカフェインを摂取していた。

習慣的にカフェインを摂取している人の64.2%が、少なくとも1回、依存状態になったことを報告した。依存状態になった人のカフェイン源はコーヒー(59.3%)が最も多く、続いてエナジードリンク(32.8%)だった。

カフェイン摂取者の半数以上(52.5%)は、カフェインの摂取を中断しても離脱症状はないと回答したが、残りの半数近く(48.4%)は、少なくとも1回以上、離脱症状を経験しており、さらに4分の1以上(27.6%)は複数回の離脱症状の経験を報告した。最も多い離脱症状は、「著しい倦怠感または眠気」(31.2%)で、続いて「集中力低下」(26.8%)、「気分の変化」(22.9%)、「頭痛」(21.3%)、「インフルエンザ様症状」(7.0%)だった。これらの離脱症状のために社会生活に影響が及んだとの回答が、ほぼ半数(44.7%)を占めた。

著者らはこの調査の結果のポイントを、「回答者の約15%が安全限界値を超えてカフェインを摂取し、副作用が生じ得るレベルを34%が超えて摂取していた。これは公衆衛生上の問題であると言える」とまとめ、「カフェイン関連のリスクを軽減するための消費者への啓発や規制強化が必要とされる」と提言している。

文献情報

原題のタイトルは、「Caffeine Consumption Habits of New Zealand Tertiary Students」。〔Nutrients. 2021 Apr 28;13(5)〕
原文はこちら(MDPI)

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