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世界100万人の研究のメタ解析で、魚の摂取量と糖尿病リスクを検討 その結果は?

魚は一般的に健康的な食品とされることが多く、魚の摂取量と心血管疾患のリスクの低さに関連がみられることなどが報告されている。では、糖尿病はどうだろうか? 参加者数合計約96万人に及ぶ、世界各地で実施された28件の前向きコホート研究のメタ解析が行われた。結果は意外にも、男性は魚摂取量は糖尿病の発症リスクと関連がみられず、女性では魚摂取量が多いことがむしろ糖尿病発症リスクの増大と有意に関連しているというものだ。

世界100万人の研究のメタ解析で、魚の摂取量と糖尿病リスクを検討 その結果は?

魚のタイプ別の摂取量と2型糖尿病発症リスクとの関連を検討

2型糖尿病の有病率は世界的に増加しており、2045年までに推定7億人が罹患すると予測されている。一方、魚の摂取は一般集団、および糖尿病患者集団において、心血管代謝上のメリットを有することが示唆されている。ただし、2型糖尿病の発症予防のための魚摂取のメリットは、結論的なエビデンスを得られていない。

魚摂取のメリットに決定的なエビデンスが得られていない理由の一つに、これまでの研究では魚のタイプ(脂肪の多い魚か、赤身の魚か、甲殻類かなど)の区別がされていないことが関係していると想定される。そこで本研究では、魚のタイプ別に摂取量を把握し、2型糖尿病発症リスクとの関連を検討した。

前向き研究28件、計95万6,122人のデータをメタ解析

PubMedを用いた検索により、28件の前向きコホート研究が抽出された。研究参加者数は合計95万6,122人。28件中4件は女性のみのコホートであり、3件は男性のみのコホートだった。なお、日本からは、全国の複数の保健所と国立がん研究センターなどが中心となって行っている、「多目的コホートに基づくがん予防など健康の維持・増進に役立つエビデンスの構築に関する研究」(JPHC研究)のデータが解析対象とされた。

魚摂取量の評価は、24件のコホートでは食物摂取頻度質問票を使用し、3件は食歴インタビューを行い、1件は24時間思い出し法を用いていた。

それらのデータに基づき、すべての魚の摂取量の合計と、脂身の多い魚(肉の脂肪含有量が4%を超える魚)、赤身の魚、魚以外の魚介類(軟体動物および甲殻類)その他の種類の魚、および魚製品(揚げた魚、塩漬け、燻製、干物)の摂取量を把握した。また、淡水魚と海水魚でも分類した。

前記の調査にて把握した魚の摂取量は、1日あたりの摂取グラム数「g/日」に換算した。データからはグラム数がわからない場合は「1食分=120g」とみなした。

推定総魚摂取量は、イランで行われた研究の3.7g/日が最少で、最大はノルウェーの86.1g/日であり、極東(中国、日本)や北欧(スウェーデン、ノルウェー)、および地中海国(スペイン、イタリア)で多かった。種類のタイプ別にみると、赤身の魚は南北アメリカとヨーロッパでよく摂取されていて、貝類は中国、日本、スウェーデン、ノルウェー、スペインでよく摂取されていた。

交絡因子の調整

解析にあたり、2型糖尿病発症リスクに影響を及ぼし得る以下の因子を調整した。年齢、性別、教育歴、喫煙・飲酒・身体活動習慣、BMI、併存疾患(心筋梗塞、脳卒中、癌、高血圧)、摂取エネルギー量、食物繊維・赤身肉・加工肉・果物・野菜・加糖飲料摂取量、糖尿病の家族歴、ウエスト周囲長、魚油サプリメントの利用。

2型糖尿病の発症リスクは、魚摂取量が100g/週多いこととの関連を解析した。

女性は一部の地域で有意なリスク上昇、男性ではどの地域でも非有意

95万6,122人を4~25年間追跡し、4万8,084人が2型糖尿病を発症した。魚の摂取量と性別には有意な交互作用が存在したものの、年齢やBMIに関しては交互作用が非有意であったため、以下の解析は性別に行った。

男性では魚摂取量が100g/日多くてもIRR1.00

前記の交絡因子で調整後、男性の魚の摂取量と2型糖尿病発症リスクとの間に、有意な関連は認められなかった〔魚の摂取量が100g/日多いごとの発症率比〈IRR〉1.00〈95%CI;1.00~1.01〉〕。地域別に検討しても、魚の摂取量と2型糖尿病発症リスクとの間に、有意な関連が存在した地域はなかった。

女性は南北アメリカで魚摂取量が有意なリスクに

女性では、魚の摂取量が多いことが2型糖尿病の発症リスクの高さと有意に関連していた〔100g/日多いごとにIRR1.02〈95%CI;1.00~1.03〉〕。地域別にみると、南北アメリカで、魚の摂取量が多いことによる有意なリスク上昇が認められ〔100g/日多いごとにIRR1.02〈95%CI;1.01~1.03〉〕、その他の地域でも非有意ながらIRRは1を上回っていた。

魚のタイプ別に解析すると、赤身の魚と脂肪の多い魚の両方が、女性の2型糖尿病リスクと関連していた。揚げた魚、塩漬け、干物および燻製、海水魚、淡水魚、甲殻類というカテゴリーは、2型糖尿病リスクとの間に関連はなかった。

追跡期間が10年以上の研究と10年未満の研究で層別化した解析でも、結果に違いは認められなかった。

新たなエビデンスが得られるまでは、現行の推奨を変更すべきでない

要約すると、男性の魚摂取量と2型糖尿病の間には関連がみらなかった。女性では一部の地域と一部の魚の摂取量が2型糖尿病リスクと関連し、全体でも正の関連が認められた。

魚の摂取量が多い女性の2型糖尿病発症リスクが高いという結果について、著者らは「不明」と述べたうえで、いくつかの考察をしている。例えば、心血管疾患ハイリスク状態にある人が、魚を多く摂るようにアドバイスを受けた結果、魚摂取量が増えていたことによる因果の逆転の可能性、あるいは海洋環境汚染物質、とくに親油性汚染物質は体脂肪が相対的に多い女性により影響を及ぼすとの報告があり、その影響が現れている可能性、などが考えられるという。

結論として、「魚とともに摂取されることの多い食品や、全体的な食事パターンのより詳細な検討を含む、さらなる研究が必要。調理方法や環境汚染物質も同様」としたうえで、「さらなる研究からの新たな知見が示されるまでは、魚摂取に関する地域ごとの、または国際的なガイドラインは、魚の摂取を推奨すべきと強調することが重要」とまとめている。

文献情報

原題のタイトルは、「Heterogeneity of Associations between Total and Types of Fish Intake and the Incidence of Type 2 Diabetes: Federated Meta-Analysis of 28 Prospective Studies Including 956,122 Participants」。〔Nutrients. 2021 Apr 7;13(4):1223〕
原文はこちら(MDPI)

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