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野菜ジュースは絞り方で栄養価が変化する 一番いい作り方は?

2021年04月13日

健康のために野菜ジュースを飲んでみようと、常々かんがえている人は少なくないだろう。大型家電量販店に行くと、さまざまなデザインで、さまざまな価格のブレンダーやジューサーが並んでいる。デザインや価格帯で選ぶのも良いが、それを使って絞ったジュースの栄養価も、少し考慮してみたほうがよいかもしれない。どのタイプの機種を使うかで、できる野菜ジュースの栄養価が異なることを明らかにした研究結果が、米国化学会雑誌に論文掲載されるととともに、同学会のサイトにニュースリリースが掲載された。

野菜ジュースは絞り方で栄養価が変化する 一番いい作り方は?

ミキサーと高速ジューサー、低速ジューサーの違い

この研究では、1万3,000回転のブレンダー(国内ではミキサーと呼ばれることが多い)と、1万2,000回転の高速遠心ジューサー、80回転の低速ジューサーという3種の機種を使い、ニンジンやカリフラワー、ビート、ケールなど19種類の野菜ジュースを作り、栄養価を検討した。

これら三つの機種にはそれぞれ特徴があり、例えばブレンダーは高速で回転するブレードで野菜を粉砕し、その結果、得られるジュースは通常、果肉と食物繊維が多く、濃厚。対照的に高速遠心ジューサーは野菜を素早く粉砕し、果肉と繊維を分離して、薄めのジュースに仕上がる。低速ジューサーは、野菜を低速で回転させるため、これら三つの方法の中で最も熱産生が少ない。ジュースを絞る時に発生する熱は、生野菜の栄養組成や植物性化学物質、抗酸化物質のレベルを変えてしまうため、低速ジューサーはこの点で有利と考えられる。

この研究で評価した栄養素や代謝物は全部で85項目に及ぶ。得られた果汁の量(重さ)を野菜の初期重量で除し、収量(パーセント)を計算した上で、それら85項目の含有量を比較し、また抗酸化作用などを比較検討した。

三者三様の特徴がある

その結果、例外はあるものの、一般に低速ジューサーで作った野菜ジュースには、有益な化合物が最も多く含まれていた。その一方、ブレンダーで作った野菜ジュースはα-アミラーゼ阻害活性が最も高かった。これは恐らく、食物繊維の含有量が多いためと推測される。α-アミラーゼ阻害活性が高いことは、食事後の高血糖の抑制に役立つ可能性がある。

全般的に低速ジューサーで作った野菜ジュースには、他の2つの方法よりも多様な成分が含まれている傾向が見られたが、用いる野菜によっても異なり、あるタイプが最も優れていると特定することは困難だった。

抗酸化物資での比較

例として、食後血糖の抑制にはブレンダーがよさそうであることは前述のとおりだが、野菜摂取に期待される別の機能性である抗酸化作用について、抗酸化物質であるアスコルビン酸(ビタミンC)の含有量を比較した結果をみてみよう。

検討された19種類の野菜のうち、カリフラワーやケールなど14種類の野菜については、低速ジューサーで作った野菜ジュースの含有量が最も多かった。高速遠心ジューサーで作った野菜ジュースのアスコルビン酸含有量が最も多かったのは、レッドビートなど5種類の野菜だった。

抗酸化活性で比較した場合、ABTS活性という指標では、高速遠心ジューサーで作った有機レッドビートルート、DPPH活性という指標では、低速ジューサーで作った有機グリーンケールが最も高値だった。反対に最も抗酸化活性が低いのは、ABTS活性についてはブレンダーで作ったホワイトカリフラワー、DPPH活性については同じくブレンダーで作った大根のジュースだった。

結論として著者らは、同学会発行のニュースリリースの中で、「三つの搾汁方法を比較したとき、栄養素の相対的な量は野菜の種類によって異なった。このことから、野菜の種類と搾汁方法の組み合わせによって、それぞれ独自の健康上のメリットを生み出す可能性があると言える」と述べている。

関連情報

Juicing technique could influence healthfulness of fresh-squeezed juice(米国化学会)

文献情報

原題のタイトルは、「Untargeted Chemometrics Evaluation of the Effect of Juicing Technique on Phytochemical Profiles and Antioxidant Activities in Common Vegetables」。〔ACS Food Sci. Technol. 2021, 1, 1, 77–87〕
原文はこちら(American Chemical Society)

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