スポーツ栄養WEB 栄養で元気になる!

SNDJ志保子塾2023 ビジネスパーソンのためのスポーツ栄養セミナー
一般社団法人日本スポーツ栄養協会 SNDJ公式情報サイト
ニュース・トピックス

肉類の多い"西洋型食生活"で腎疾患リスク増大 食事パターンとCKDの関連のメタ解析

「西洋型の食事パターン」とされる肉類や精製された穀物などの摂取量が多い食生活が、慢性腎臓病のリスク増大と関連しているというメタ解析の結果が報告された。反対に、野菜や全粒穀物などを多く摂取する「健康的な食事パターン」はリスク低下と関連していた。また、アルコール摂取量が多いことも、リスク低下と関連がみられたという。

肉類の多い

計17件、対象者数15万人の報告をメタ解析

食事パターンと慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease;CKD)の関連を報告した研究は少なくないが、結果の一貫性に欠けていることから、本論文の著者らは、これまでの報告を対象とするシステマティックレビューとメタ解析を実施。対象は2020年5月9日までに公開された、英語または中国語で執筆されているヒトを対象とする観察研究の論文。文献検索にはMEDLINEとEBSCOを用い、「栄養」「食事」「食事パターン」「アルコール摂取」「慢性腎臓病」「腎臓病」「末期腎疾患」などのキーワードで検索した。

独立した2名の研究者がレビューし採否を判断。判定の不一致は3人目の研究者を含めた議論により決定した。

文献検索の結果、350件がヒットし、このうち17件が適格と判定された。研究対象者数の合計は14万9,958人だった。

三つの食事パターンで比較検討

食事パターンは三つのパターンで評価して、CKDリスクを比較検討した。

一つは一般的に「健康的な食事パターン」とされる食生活で、野菜や果物、全粒穀物、魚、オリーブオイル、大豆、抗酸化物質(ビタミンC、E、フラボノイド、カロテノイド等)、低脂肪乳製品などの豊富なパターンに近いか否かで評価した。

二つめは「西洋型の食事パターン」と呼ばれる、精製穀物、赤肉・加工肉、菓子、デザート、バター、ファストフード、ソフトドリンクなどの多いパターンで評価した。

三つめは、アルコール摂取量を指標として、ビールやワイン、蒸留酒の摂取量の多寡で評価した。エタノール換算で、男性は50g/日、女性は25g/日を上回る場合、「大量飲酒」と定義した。

健康的な食事パターンと飲酒者はCKDリスクが低く、西洋型食事パターンは高い

それでは結果について、前述の健康的な食事パターン、西洋型の食事パターン、および飲酒量とのCKDリスクとの関連の順にみていこう。

健康的な食事パターンではCKDリスクが有意に低い

健康的な食事パターンは、野菜、果物、魚、低脂肪乳、全粒穀物の摂取量が多いことを特徴とする。このような視点で食事パターンを評価した研究は11件存在した。

そのうち7件が、健康的な食事パターンでCKDリスクが有意に低いことを報告しており、他の4件は非有意だった。

メタ解析の結果、健康的な食事パターンの評価が最も低い群に比較し、評価が最も高い群のCKDリスクはオッズ比(OR)0.69(95%CI;0.57~0.84,p=0.0001)であり、有意に低リスクであることがわかった。

西洋型の食事パターンではCKDリスクが有意に高い

西洋型の食事パターンは、あらゆる種類の赤肉や加工肉、精製穀物、菓子、高脂肪乳製品、および高脂肪の肉汁の摂取量が多いことを特徴とする。このような視点で食事パターンを評価した研究は9件存在した。

そのうち7件が、西洋型の食事パターンでCKDリスクが有意に高いことを報告していた。反対に、西洋型の食事パターンでCKDリスクが有意に低いとの報告が1件存在した。他の1件は非有意だった。

メタ解析の結果、西洋型の食事パターンの評価が最も低い群に比較し、評価が最も高い群のCKDリスクはOR1.86(95%CI;1.21~2.86,p<0.00001)であり、有意に高リスクであることがわかった。

飲酒は腎保護的に働く可能性

飲酒パターンとの関連は、軽度から中等度の飲酒と大量飲酒に分けて検討された。

まず、軽度から中等度の飲酒については5件の研究報告がみられ、それらすべてが飲酒しない群に比較し飲酒する群で、CKDリスクが有意に低いことを報告していた。メタ解析の結果は、軽度から中等度の飲酒群のCKDリスクはOR0.76(95%CI;0.71~0.81,p<0.0001)だった。

大量飲酒については4件の研究報告がみられた。そのうち2件は、大量飲酒者もCKDリスクが低いこととの有意な関連を報告していた。他の2件は非有意だった。メタ解析の結果、大量飲酒者のCKDリスクはOR0.67(95%CI;0.56~0.80,p<0.0001)であり、有意に低リスクであることがわかった。

ただし、この点については、これまでの研究結果の不一致がみられ議論の余地があると、著者らは述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「Dietary patterns and chronic kidney disease risk: a systematic review and updated meta-analysis of observational studies」。〔Nutr J. 2021 Jan 8;20(1):4〕
原文はこちら(Springer Nature)

この記事のURLとタイトルをコピーする
志保子塾2024前期「ビジネスパーソンのためのスポーツ栄養セミナー」

関連記事

スポーツ栄養Web編集部
facebook
Twitter
LINE
ニュース・トピックス
SNDJクラブ会員登録
SNDJクラブ会員登録

スポーツ栄養の情報を得たい方、関心のある方はどなたでも無料でご登録いただけます。下記よりご登録ください!

SNDJメンバー登録
SNDJメンバー登録

公認スポーツ栄養士・管理栄養士・栄養士向けのスキルアップセミナーや交流会の開催、専門情報の共有、お仕事相談などを行います。下記よりご登録ください!

元気”いなり”プロジェクト
元気”いなり”プロジェクト
おすすめ記事
スポーツ栄養・栄養サポート関連書籍のデータベース
セミナー・イベント情報
このページのトップへ