「日本食品標準成分表」2020年版(八訂)が公開 5年ぶりの全面改訂で炭水化物を細分化、調理済み食品がより充実
文部科学省は12月25日、「日本食品標準成分表」2020年版(八訂)を公表した。5年ぶりの全面改訂。今般の改訂では、調理済み食品の情報の充実、エネルギー計算方法の変更などが行われ、収載食品数は2,478食品となった。
改訂の背景と改訂のポイント
「日本食品標準成分表」は、日常的に摂取する食品の標準的な成分値を示す唯一の公的データ集として、昭和25年以来、時々の食の状況や栄養学の知見の変化等に合わせ改訂されている。今般の改訂のポイントは、主に以下の三点。
調理済み食品に関する情報を充実
個人の食生活や施設給食の変化から需要が増大している、冷凍、チルド、レトルトの状態で流通している食品について、「調理済み流通食品」の食品群を設け、大手事業者の原材料配合割合から算出した成分値を収載するとともに、素材からの重量や成分の変化についての情報を収載した。
収載した調理済み食品は、例えば和風料理では、和え物(青菜の白和え、いんげんのごま和え、わかめとねぎの酢みそ和え)、豚汁、煮物(卯の花炒り、親子丼の具、牛飯の具、切り干し大根の煮物、きんぴらごぼう、筑前煮、肉じゃが、ひじきの炒め煮)など、洋風料理では、カレー(チキンカレー、ビーフカレー、ポークカレー)、コロッケ(かにクリームコロッケ、コーンクリームコロッケ、ポテトコロッケ)、スープ(かぼちゃのクリームスープ、コーンクリームスープ)、ハンバーグステーキ(合びきハンバーグ、チキンハンバーグ、豆腐ハンバーグ)、フライ(いかフライ、えびフライ、メンチカツ)など、中国料理では、点心(ぎょうざ、しゅうまい、中華ちまき)、酢豚、八宝菜、麻婆豆腐など、韓国料理では、もやしのナムルなど。
炭水化物の細分化とエネルギーの算出方法の変更
糖質やエネルギー(カロリー)による食事管理に対応するため、従来の炭水化物を「利用可能炭水化物(でん粉と単糖・二糖類)」と「食物繊維・糖アルコール」に分けた。
また、「食品成分表2010年版」から進めている、アミノ酸、脂肪酸組成とともに、利用可能炭水化物、食物繊維等の成分値に基づくエネルギー計算を行い、食品のエネルギー値の確からしさを向上した。
七訂追補(2016~2019)の検討結果を全体に反映
2016年以降の「追補」による原材料的食品等の成分値変更について、成分値を計算で求める他の収載食品に反映させ、整合を図った。これにより収載食品数は2,191食品から2,478食品に増加した。
また、ナイアシン当量、難消化性オリゴ糖等を含む食物繊維の成分を表示した。
加えて、収載食品の解説、例えば調理に関する諸表を充実させた。
アミノ酸、脂肪酸、単糖類、二糖類、でん粉等からの算出に変更
上記3点の改訂ポイントのうち、2番目のポイントについて、より詳しくは以下のとおり。
これまでの「食品成分表」の炭水化物は、ヒトにおける消化性が低い食物繊維や糖アルコールから、消化性が高いでんぷん、単糖類、二糖類までの多様な成分を含んでいた。しかし、糖類の摂取量・摂取エネルギーを正しく把握するためには食品ごとの炭水化物の内訳を示すことが重要。そのため、「食品成分表2020年版」では、これまで炭水化物に含まれていた「でん粉と糖類(利用可能炭水化物)」と「食物繊維総量」、「糖アルコール」等を本表に収載した。
また、「食品成分表2010 年版」以降、アミノ酸、脂肪酸等の実測できるエネルギー産生成分について、分析による成分値の蓄積を推進してきたが、「食品成分表2020年版」では、エネルギー産生成分の実態をより正確に捉えることが可能な、組成成分をエネルギー算出の基礎とする方式を採用した。
成分表2020年版(八訂)におけるエネルギー産生成分の変更
なお、これらの変更は「食品成分表」の科学的な確からしさの向上を目指すものであり、従来の簡易なエネルギー計算方法を否定するものではないとしている。
関連情報
日本食品標準成分表2020年版(八訂)-文部科学省
改訂点等について-文部科学省(PDF)