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時間制限食による減量効果は、摂取量・栄養素組成が同じなら時間制限がない場合と同じ

1日のうち、食べ物を口にする時間帯を制限する「時間制限食」の減量効果が注目されている。しかし、摂取エネルギー量が同等であれば、時間制限をしてもしなくても効果は同じだとする研究結果が、米国心臓協会(American Heart Association;AHA)の2020年Web会議で報告され、AHAのサイトにニュースリリースが掲載された。

時間制限食による減量効果は、摂取量・栄養素組成が同じなら時間制限がない場合と同じ

ニュースリリースの中で発表者は、「時間制限食に関するこれまでの研究の多くは摂取エネルギー量を評価していなかった。そのため、時間制限食で効果がみられたという報告も、その効果が、摂取時間を制限したことによる結果なのか否かは判断できなかった」と、研究の背景を語っている。それに対して今回発表された研究は、「群間の差は、食事の時間帯だけであった」と述べている。

研究開始時の仮説は「時間制限食は減量効果がより大きい」

断続的断食と呼ばれることもある時間制限食は、減量とともに心血管代謝アウトカムを改善する可能性が報告されている。しかし、ヒトを対象とした時間制限食のこれまでの研究は、無作為化されていない、サンプル数が少ない、摂取エネルギー量が管理されていないといった点で質が高いとは言えず、結果の解釈が制限されていた。

しかし、それら既報をもとに、本研究に際しても研究者らは、「時間制限食は通常の摂食パターンよりも、介入後の体重減少幅が大きい」という仮説を立てていた。

摂取エネルギーを同一にし、12週間介入

この研究の対象は41名で、平均年齢は59歳、90%以上が黒人女性で、BMIは30~49.9であり、HbA1cが5.7~6.9%と軽度の糖代謝異常がある肥満成人。

無作為に2群に分け、1群は毎日、午後1時までに1日の摂取エネルギー量の80%を摂取する時間制限食群(21名)とした。他の1群は、毎日、午後5時以降に1日の摂取エネルギー量の50%を摂取する通常食群(20名)とした。

摂取エネルギー量は、各人のベースライン時の体重に基づき個別に設定した。また、栄養素エネルギー比率は全者統一した。介入期間中の飲食物はすべて研究者が用意し、試験参加者は提供されたもののみを摂食した。なお、ベースラインにおいて、体重と収縮期血圧が、時間制限食群より通常食群のほうが高かったが(後述)、その他の人口統計学的指標に有意差はなかった。

介入期間は12週間で、主要評価項目は体重であり、血圧も評価された。

体重と血圧の変化に有意な群間差はなし

すべての参加者が介入を終了した。介入により、両群ともに体重と血圧が低下した。

多因子で調整後、両群の体重と血圧の変化に有意な群間差はなかった。研究者らは、ニュースリリースに「時間制限食群はもっと体重が減ると思ったが、そのような現象は起こらなかった。カロリーの大部分を1日のうちの早い時間帯に食べた人と、遅い時間にも分けて食べた人の体重減少に違いはなく、血圧への影響もみられなかった」と記している。

両群の体重と血圧の具体的な変化は以下のとおり。

体重の変化(kg) ※括弧内は95%信頼区間

ベースライン時
時間制限食群95.6(89.6~101.6)、通常食群103.7(95.3~112.0)
12週間の変化量
時間制限食群-2.3(-3.6~-0.9)、通常食群-2.6(―3.5~―1.1)
変化量の群間差
0.3(-1.3~1.9)

収縮期血圧(mmHg) ※括弧内は95%信頼区間

ベースライン時
時間制限食群121(115~127)、通常食群126(117~134)
12週間の変化量
時間制限食群-4(-11~2)、通常食群-10(―17~―3)
変化量の群間差
3(-4~10)

拡張期血圧(mmHg) ※括弧内は95%信頼区間

ベースライン時
時間制限食群75(70~79)、通常食群74(70~79)
12週間の変化量
時間制限食群-2(-5~2)、通常食群-5(―10~0)
変化量の群間差
4(0~8)

血糖やインスリン値などの変化も解析中

本発表の研究者らは現在、24時間にわたって記録された血圧に関するより詳細な情報を収集し、あわせて血糖値やインスリン、その他のホルモンに対する時間制限食の影響を解析しているという。それにより、「心血管代謝の健康に時間制限食が及ぼす影響を、より詳細に把握できるだろう」と述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「The Effect of Time-restricted Feeding on Weight: A Randomized Feeding Trial」。〔AHA Scientific Session 2020(P805)〕
原文はこちら(AHA Scientific Session 2020アブストラクト)

関連情報

米国心臓協会ニュースリリース

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