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第17回国際スポーツ栄養学会(ISSN)の発表演題の中からピックアップして紹介

今回は、国際スポーツ栄養学会(International Society of Sports Nutrition;ISSN)の第17回学会(ISSN2020)抄録集(J Int Soc Sports Nutr. 2020 Nov〈Suppl 2〉)から、いくつかの研究発表をピックアップして紹介する。

減量、摂取エネルギー制限関連の研究発表

第17回国際スポーツ栄養学会(ISSN) 減量、摂取エネルギー制限関連の研究発表

2週間の摂取エネルギー制限と筋力トレーニングによる安静時代謝への影響

摂取エネルギー制限の悪影響の一つとして、安静時代謝量(Resting Metabolic Rate;RMR)の低下が挙げられ、これが減量効果の妨げとなる。このRMRの低下は、摂取エネルギー量の不足の程度と相関するとの報告がある。RMR低下抑制のためにとられる戦略として、筋力トレーニングと高蛋白食があるが、筋力トレーニングを継続しながら短期間摂取エネルギーを制限し、高蛋白食とした場合の代謝への影響は、十分に明らかになっていない。

研究の対象は、筋力トレーニングを行っているアスリート20名(年齢25.2±7.8歳。男性5名、女性15名。身長167.2±7.9cm、体重66.6±11.2kg。)。2週間の摂取エネルギー制限により、摂取量は37.5%減少した。減量期間中は蛋白質を2.2g/kg摂取し、通常の筋力トレーニングを継続した。

2週間後、RMRは1,602±211kcalから1,508±241kcalへと有意に低下し(-5.9%。p=0.001)、高蛋白食と筋力トレーニングは、この低下を緩和しなかった。

断続的な摂取エネルギー制限による女性アスリートの体組成・安静時代謝への影響

中程度の断続的エネルギー制限(moderate Intermittent Energy Restriction;mIER)は、肥満の男性を対象とした研究で脂肪減少効率を改善し、摂取エネルギー制限により生じる代謝適応反応を抑制する可能性が示されている。ただし他の集団では研究されていない。

筋力トレーニングを行っている女性38名(22.3±4.2歳)を、mIER群20名と、対照としてエネルギー制限を連続する群18名に、無作為に二分。対照群は摂取エネルギー量を継続的に25%抑制し6週間、INT群は25%の摂取を2週間行うごとに1週間はメンテナンスレベルの摂取エネルギー量とし計8週間繰り返す介入を行った。介入中は蛋白質1.8g/kgを摂取するように指示し、週3回の筋力トレーニングセッションに参加することとした。

介入前後で全被験者の体重は62.7±9kgから61.5±9.2kgに減少(p=0.0002)、体脂肪率は25±4.4%から23.6±4.8%に低下(p<0.0001)、脂肪量は15.9±4.6kgから14.7±4.6kgに減少(p<0.0001)した。一方、除脂肪体重(Fat Free Mass;FFM)は介入前46.8±5.2kg、介入後46.8±5.7kg(p=0.90)、および安静時代謝量(RMR)は同順に1,422±193kcal、1,434±190kcal(p=0.48)で、有意な変化はなかった。

そして、これら体重および体組成に、群間差はみられなかった。筋力トレーニングを行っている女性では、mIERは脂肪減少の効率を改善せず、FFMとRMRに影響を与えないことから、脂肪量の減少効果が減弱することを危惧せずにmIERを行える。

断続的な摂取エネルギー制限による女性アスリートの摂食行動への影響

上記の研究と同じグループによる、同一対象で同様の介入を行った検討(対象や介入法については前項参照)。

本検討では、空腹感、脱抑制(摂取量の制御の喪失)のレベルを評価する51項目の摂食質問票を用いて摂食行動への影響を検討した。結果は介入前後で全被験者の空腹感は変化せず(p=0.66)、脱抑制レベルも有意な変化がなく(p=0.39)、さらに群間差も有意でなかった(それぞれp=0.2、p=0.21)。

ただし、交互作用には有意性が認められた(p=0.03)。脱抑制レベルが対照群は介入前5.17±2.07から介入後に5.83±1.79へと上昇したのに対し(p=0.52)、INT群は同順に6.85±3.76から6.00±3.58へと低下した(p=0.26)。

結論として、mIERは摂取エネルギー制限による空腹感や食事制限の変化に影響を与えないと考えられるが、脱抑制への影響を軽減して長期的な摂取制限の遵守に役立つ可能性がある。

クレアチン関連の研究発表

第17回国際スポーツ栄養学会(ISSN) クレアチン関連の研究発表

クレアチン摂取による認知機能への影響

クレアチンの4週間連日摂取がトレーニングを行っている男性アスリートの認知機能へ影響を与えるかを検討した。

被検者は23人(年齢22±7歳、体重78±11kg、身長1.8±0.1m)の男性。クレアチンを5g/日摂取する群(16名)と、サプリメントを摂取しない対照群(7名)に、無作為に群分けして介入。3種類の認知機能テストで変化を評価した。

3種類のテストのうち2種類は両群ともに有意な変化はみられなかったが、カード分類テストに関しては、クレアチン群で有意な向上が認められた。具体的には、クレアチン群が介入前103.6±12.9、介入後116.1±13.4(p=0.0017)であり、対照群は同順に117.9±12.8、120.1±8.4(p=0.6494)だった。

ベースラインにおいて年齢調整したスコアは、対照群では既に高値であった点に留意が必要ではあるが、クレアチン摂取はベースライン時点でのこのテストのスコアが低い群においては有益である可能性が示唆された。

クレアチン摂取は体液量を変化させるか?

上記と同じグループによる研究報告。クレアチン5g/日を6週間連続で摂取した場合に、体内の水分量に影響が現れるか否かを検討した結果。

被検者は、健康でレクリエーションレベルの運動を行っている38名(21±5歳)。全体を無作為に2群に分け、1群をクレアチン群(女性9名、男性10名、計19名)、他の1群はサプリメントなしの対照群(女性10名、男性9名、計19名)とした。介入期間中に被験者は、運動や食生活を変えないように指示された。

評価された体重、脂肪量、体脂肪率、除脂肪体重、骨塩量、総水分量について、介入前後および群間のいずれにも有意差はなく、クレアチン摂取は全身の水分量に影響を与えなかった。

クレアチンの認知機能への影響は、運動の頻度で異なる可能性

クレアチンは、高強度運動や暑熱環境でのパフォーマンスを維持・向上するとされ、利用するアスリートが少なくない。近年では認知機能へのメリットも報告されている。

49名の学生を、クレアチン5g/日を6週間摂取する群(25名)と、対照群(24名)に分類。6週間の介入の前と後に、作業記憶、持続的注意、反応速度、心の迷走(Mind Wandering)を測定した。統計解析は、運動頻度が高いこと(週に3回以上)を報告した者(16名)と、運動頻度が少ないこと(週に3回未満な)を報告した者(32名)に分けて行った。

頻繁に運動していることを報告した者では、認知機能に関して介入前後で、クレアチン群および対照群のいずれも有意な違いは認められなかった。その一方、運動頻度がまれと報告した者のクレアチン群では、認知機能テストの多くの指標に有意な影響(持続的注意の向上、反応速度の短縮、心の迷走の低下)が観察された。他方、運動頻度がまれと報告した者でもクレアチンを摂取しなかった対照群では、有意な違いは認められなかった。

この結果は、クレアチンの補給が若い健康な成人の持続的な注意力を改善し、心の迷走を減らす可能性を示唆している。ただしその変化は、定期的な運動を行っていない人に起こるようである。今後は運動のタイプがこれらの所見をどのように変える可能性があるのかを検討する必要がある。

栄養教育関連、その他の研究発表

第17回国際スポーツ栄養学会(ISSN) 栄養教育関連、その他の研究発表

メジャーリーグラグビーチームでの栄養教育介入の効果

メジャーリーグラグビーのアスリートへの栄養介入の効果を単一コホート研究で検証した。研究参加を希望した選手19人を対象に、4週間の介入を実施。ただし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの影響によって介入中の脱落があり、最終的な解析は11名で行われた。評価内容は、介入前後での栄養関連スキルの自己効力感、および栄養関連行動の変化。

栄養知識の平均スコアは、介入前が5点中3点、介入後は3.18点であり、やや上昇したが、この変化は有意でなかった。栄養関連スキルの6つのカテゴリーへの自己効力感も介入前から介入後に上昇していた。

例えば「栄養表示を見る際のスキルにどの程度自信があるか?」の問に、「かなり自信がある」または「非常に自信がある」と回答した者の割合は、介入前が45%から介入後には73%に上昇し、同様に「健康食品を購入する際のスキルへの自信」は、91%が100%になった。ただしこれらの変化は統計的に有意でなかった。介入セッションの数と栄養知識スコアの間に弱い正の相関が存在したが(r=0.123)、非有意だった。

その一方で、介入終了時に参加者の63.64%が栄養知識と行動の双方について改善したことを自己報告し、参加者の81.82%が新たな栄養関連行動をとっていた。

アスリートへの栄養教育介入は、主観的な成功に関係していると考えられた。

水やプロテイン飲料の摂取は体組成の測定結果に影響を与えるか?

この研究の目的は、0.6Lの水または同量のプロテインシェイク(160kcal、脂質3g、炭水化物4g、蛋白質30g)を摂取した場合の体組成への影響を検証することだった。

レクリエーションレベルの運動を行っている42名(男性13名、女性29名。年齢22±5歳、身長168±10cm、体重69.8±11.2kg)を無作為に2群に分け、水またはプロテインシェイクを摂取してもらった。体組成は、摂取前、摂取直後、摂取30分、60分後に、生体インピーダンス法で測定した。ベースライン時において、両群間に、体重、除脂肪体重、脂肪量の有意差はなかった。

両群ともに、体重、脂肪量に、摂取前から摂取60分後にわたり有意な変化はみられなかった。それに対して体脂肪率は両群ともに、摂取直後から摂取60分後まで以下のように、有意に測定値が上昇した(両群ともすべての時点でp<0.0001)。

水摂取群の体脂肪率(%):
摂取前24.6±8.9、摂取直後25.5±8.8、摂取30分後25.3±8.9、60分後25.6±9.0。
プロテインシェイクの体脂肪率(%):
摂取前24.5±9.1、摂取直後25.2±9.0、摂30分後取25.3±9.1、60分後25.1±9.1。

文献情報

原題のタイトルは、「Proceedings of the Seventeenth International Society of Sports Nutrition (ISSN) Conference and Expo」。〔J Int Soc Sports Nutr. 2020 Nov 30;17(Suppl 2):59〕
原文はこちら(Springer Nature)

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