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小学校のスポーツクラスと一般クラス、児童の摂食行動と体力を比較 ポーランドの研究

新型コロナウイルスによる休校・休園・外出自粛が子どもの生活と外遊びに及ぼす影響

ポーランドの小学校には、一般クラスよりも体育授業に比重を置いたスポーツクラスがある。このスポーツクラスに通う生徒のBMIや摂食行動、体力テストの結果を一般クラスの生徒と比較したデータが発表された。著者は研究開始時点で、スポーツクラスの生徒のほうが、好ましい摂食パターンであるという仮説を立てていた。早速、結果をみてみよう。

スポーツクラスは体育授業が週に10時間

この研究の対象は、ポーランドの小学4年生の285名(平均年齢10.8±0.41歳)を対象に行われた。そのうち147名が一般クラス、138名がスポーツクラスに通っていた。一般クラスの体育授業は週に4時間なのに対し、スポーツクラスは週に10時間行われていた。

解析に必要なデータの欠落がなかったのは272名で、一般クラスの139名は女子62人、男子77名、スポーツクラスの133名は女子63名、男子70名だった。なお、保護者の同意の得られなかった生徒、研究日に欠席した生徒、健康状態が不良の生徒は対象から除外した。

BMI、摂食行動、課外活動、体力テストの群間差

BMIの分布:スポーツクラスのほうが低めに分布

結果について、まずBMIをみてみると、一般クラスの生徒は18.96±3.79、スポーツクラスの生徒は18.21±2.90で、スポーツクラスの生徒の方が低かったが、その差は統計的有意水準にはやや至らなかった(p=0.061)。

ポーランドの小児の年齢別BMIの分布をもとに、10パーセンタイル以下を低位体重、10~85パーセンタイルを普通体重、85~95パーセンタイルを過体重、95パーセンタイル以上を肥満と定義し、それぞれに該当する割合をみると、一般クラスでは、同順に9.88%、64.88%、19.73%、5.51%であり、スポーツクラスでは12.85%、68.97%、14.37%、3.80%だった。スポーツクラスにおいて普通体重と低体重が多く、過体重や肥満は少ない傾向がみられるが、有意差はなかった。ただしスポーツクラスにおける低体重の割合を性別に比較すると、女子の方が多かった(p=0.019)。

摂食行動:スポーツクラスのほうが健康的摂食行動だが、自己評価は逆

摂食行動は、牛乳・乳製品、肉やハム、魚介類、白パン、全粒粉パン、米、果物、野菜、ファストフードなどの摂取頻度をもとに、非常に良い(5点)、良い(4点)、適当(3点)、悪い(2点)、非常に悪い(1点)と、5段階にスコア化した。その結果、一般クラスは、同順に33.65%、19.68%、20.76%、13.15%、12.69%、スポーツクラスでは36.78%、20.57%、20.40%、12.51%、9.72となり、スポーツクラスの方が、5点や4点の割合が若干高かった。

より細かく質問ごとに比較した場合に有意差のみられた項目として、スポーツクラスは間食が少なく、牛乳・乳製品、野菜、全粒穀物・パン、魚介類の摂取量が多く、赤身肉の摂取量が少ないという違いがみられた。一方、食事の回数、果物、白パン、家禽肉、ファストフードの摂取量は有意差がなかった。

これらの結果は、一般クラスの生徒よりもスポーツクラスの生徒のほうが、健康的な食事をしていることを表している。ところが、子どもたち自身に「自分の食生活が健康的だと思うか」と尋ねた質問に対し、「健康的だと思う」と回答した割合は一般クラスが64.03%であるのに対し、スポーツクラスでは58.65%だった。対照的に「不健康だと思う」との回答は同順に、35.97%、41.45%であり、スポーツクラスの生徒のほうが食行動に対する自己評価が低く、有意差が認められた(p=0.03)。

課外活動:スポーツクラスのほうが積極的

課外活動の参加頻度は、「毎日」との回答が一般クラス56.83%、スポーツクラス73.68%で、週に4~6回は同順に12.23%、7.52%、週に2~3回は17.27%、11.28%、週に1回は13.67%、7.52%であり、スポーツクラスの生徒のほうが参加回数が多かった(p=0.05)。

反対に、テレビを見るなどの受動的な行動を好む生徒の割合は、一般クラス20.86%、スポーツクラス13.53%で、前者で多かった(p=0.011)。

体力テスト:スポーツクラスのほうがすべてにおいて優れる

体力テストは、10m×5シャトルラン、立ち幅跳び、腹筋運動の3項目を評価した。結果はすべてにおいて、スポーツクラスの生徒のほうが有意に優れていた。

具体的には、10m×5シャトルランは一般クラス、スポーツクラスの順に、23.02±2.70 vs 21.62±2.24秒(p=0.000)、立ち幅跳びは135.02±22.93 vs 141.03±19.85cm(p=0.022)、腹筋運動は20.05±4.00 vs 22.58±2.72回/30秒(p=0.000)だった。

以上から、小学校の生徒が所属するクラスのタイプが、BMI、食事行動、体力レベルに影響を与えることが示された。著者らは「子どものスポーツ活動レベルを増やすことが、健康面で望ましい効果をもたらすことが確認された」と述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「Eating Behaviour and Physical Fitness in 10-Year-Old Children Attending General Education and Sports Classes」。〔Int J Environ Res Public Health. 2020 Sep 5;17(18):E6467〕
原文はこちら(MDPI)

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