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運動する子は勉強もできる？　身体活動と学業成績の関連を探るアンブレラレビュー

2020年09月18日

子どもと大人の違いはいくつもあるが、生活スタイルの大きな相違の一つとして、大人が毎日仕事や家事をしている間、子どもは学校に行くという違いがある。子どもが学校に行く主目的の一つは、言うまでもないながら学業を修めることだが、健康的な発育のためには身体活動も欠かせない。

子どもの身体活動はしばしば学業と対比される傾向があり、身体活動のために座学の時間を削ることが成績に影響するのではないかとの懸念をもたれることがある。その一方で身体活動には、成人・小児を問わず、身体的健康や精神的健康にも良い影響をもたらす。成人であれば学業成績を気にする必要は少なく身体活動量を増やせるが、子どもの場合は両者のバランスが気になることもあるだろう。つまり、身体活動のプラス効果を得るために勉強時間を削って運動をした結果、テストの成績が下がってしまうのではないかという心配だ。

しかし、身体活動と学業成績は本当に二律背反なのだろうか。

システマティックレビューやメタ解析を対象としたアンブレラレビュー

今回紹介する論文の著者らは、この疑問の答を探るために、身体活動と学業成績について検討した過去の研究のシステマティックレビューやメタ解析を対象とする、アンブレラレビューを行った。

Pubmed、Cochrane Library、Web of Science、Scopusなどの文献データベースを用い、2名の独立したレビュアーが文献を検索。検索キーワードとして、身体活動、運動、体育、ウォーキング、サイクリング、ランニング、トレーニング、スポーツ、学校、認知、パフォーマンスなどを設定。6～18歳を対象とする研究のシステマティックレビューまたはメタ解析を適格条件として、2020年5月までに発表された論文を検索した。

1回目の検索で2,314件の論文がヒットし、重複等を除外後、適格条件を満たす41件の論文が抽出された。

抽出された論文の特徴

41件の論文は、2003～2020年に報告されていた。スペイン語で報告されていた1本を除き、すべて英語で発表されていた。すべてがシステマティックレビューを行い、15件はメタ解析を施行していた。

身体活動のタイプは、2件の研究は自宅から学校の通学に焦点をあて、ヨガによる介入、学校での園芸活動を取り上げていたものが各1件あり、その他は体育の授業や課外活動での身体活動を研究対象としていた。学業成績は、標準化されたテストの点数、学校の成績評価、および各科目固有のテスト（例えば、数学、読書、書きとり等）などで評価していた。