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摂取エネルギー量・栄養成分・摂取時間帯を把握するウェアラブル機器の可能性

摂取エネルギー量や摂取栄養素の把握には、食事記録法、24時間思い出し法、摂取頻度調査など、いくつかの手法があるが、いずれも正確性や煩雑さなどの難点を伴う。また最近、食事摂取はそのエネルギー量や栄養成分のみではなく、それをいつ摂取するかが、体組成や健康、アスリートのパフォーマンスに影響を及ぼすことが明らかになり、栄養指導にあたっては摂取タイミングの把握も必要とされるようになった。

摂取エネルギー量・栄養成分・摂取時間帯を把握するウェアラブル機器の可能性

このような現状に対して近年、目覚ましい進歩を遂げているウェアラブルセンサー技術を活用し、個人の食事摂取状況をどこまで把握できるか明らかにし、解決されるべき課題はなにかを検討したレビュー論文が報告された。要旨を紹介する。

食べた食品の種類と量を把握する技術

食品の種類とサイズを客観的に識別するために、最も一般的な手法は画像ベースの解析である。高所得国のほとんどの成人がカメラ機能付き携帯電話を用いており、食事評価のために食品写真を撮影することができる。ただし、この方法を用いるには利用者が、口にするすべての食品を撮影しなければならない。視野の画像を自動記録するウェアラブルカメラシステムは、この問題の解決に近づくテクノロジーだ。

ウェアラブルシステム

当初のウェアラブルカメラシステムは、約30秒ごとに自動的に写真を撮影するが、デバイスを首の周りに装着せねばならず、体動によってレンズの向きがかわってしまうこともあった。より小さい、胸部に装着するウェアラブルカメラシステムも開発された。ただし、生産はオーダーメイドであり、コストやテクニカルサポートに関する課題が生じた。

もう一つの問題は、1日中画像をキャプチャーするカメラデバイスを使用する場合、約10秒ごとに自動撮影するとして、1週間に昼間だけで約3万枚の画像をキャプチャーすることになり、その中に食事関連の写真は恐らく5〜10%しか含まれていないことから、食品関連の写真を抽出することが最初のステップになる。この点に関しては、人工知能を使用することで、理想的な条件で撮影された写真であれば98.7%の精度で抽出可能であると報告されている。ただし、ウェアラブルカメラで撮影した写真は、照明や焦点のずれが生じやすく、食事中の写真で95%、軽食や飲み物の場合は50%程度の精度になる。

クラウドソーシング

食事の画像の抽出に続くステップは、食品の内容とサイズを特定する工程である。現在これは訓練を受けた栄養士が行うことが一般的であり、時間とコスト(1画像あたり10ドル以上)が問題となる。機械学習による自動判定の現在の精度は、限られた食品群でのみ利用できるレベルで、実用にはかなりの課題が残っている。

一方、人間は誰でも食品を視覚的に分析するという経験をしてきており、クラウドソーシングを用いて、訓練を受けていない人々が安い単価で行うというアプローチも考えられる。このアプローチを採用した食事評価アプリケーションも開発されている。これを用いると、1画像あたりのコストは5ドルに抑えられる。現時点でその精度は、専門家による評価が9%の過大評価であるのに比較し、15%過小評価するという。クラウドソーシングのアルゴリズムの改良により、今後より重要な役割を果たすことも可能になるだろう。

センサーテクノロジー

画像ベースの方法に加えて、ウェアラブルセンサーのテクノロジーの進歩にも期待が集まる。

例えば、唾液中の化学物質の変化を測定する歯牙に装着した小型センサーで、塩分やアルコールの摂取をリアルタイムで検出することができる。同様に、皮膚に装着したセンサーからは、発汗を検出し食事に関連するさまざまな代謝産物を測定可能だ。

今日まで、口腔センサーと表皮センサーは主に実験室で研究されてきており、広く普及するには至っていない。将来的には、高血圧患者の塩分摂取量や糖尿病患者の糖分摂取量を測定するといった利用が考えられる。ただし、これらのセンサーのみでは精度は不十分であり、画像ベースの技術との併用が必要になるだろう。

いつ食べたかを把握する技術

食事の影響を正確に把握するには、何を食べたかだけでなく、いつ食べたかについても客観的な評価が必要だ。これに関しても、いくつかのアプローチが考案されている。

一つは咀嚼音をウェアラブルマイクで記録する方法だ。ただし頭と首の周りにデバイスを装着する必要があり、日常的に使用する場合はかなりのストレスが生じる。

摂食の時間だけでなく摂食速度も把握可能

このストレスを解消する方法として、既に人々が日常的に着用しているアイテムを利用するアプローチがある。検討された一つの方法は、眼鏡の利用だ。眼鏡のフレームに圧電センサーを取り付ける手法などが提案されている。さらに、モーションセンサーを備えた手首に装着したデバイスを使用して、食事している時間帯を記録する方法も考案された。これらのセンサー技術の進歩により、食事の時間帯だけでなく、摂食速度も計測可能となりつつある。

血糖変動で食事の時間を把握する

現在、1型糖尿病患者が血糖変動を最も素早く知る方法は、連続グルコースモニター(CGM)だが、間質液のグルコース濃度の上昇を検出しているため、摂食開始直後の変動の把握は困難な場合がある。それでもCGMを使用した食事検出モデルは改良が進み、平均遅延時間は45分から25分に減少した。将来的には、糖尿病のない人での研究が必要とされる。

また、静脈血の反射光の変化を検出するフォトプレチスモグラフィー(Photoplethysmography;PPG)と呼ばれる技術を用いることで、心拍数を測定可能だ。そればかりでなく、血糖値を計測可能なデバイスの開発も進められている。これにより、理論的には近い将来、食事の開始時間と終了時間を記録可能になる。

テクノロジーの統合

本論文では、これらの技術の紹介に続き、一つ一つの技術をシステムとして統合する方法を解説。結果として、より正確かつ効率よく、個人の食行動を把握できるようになると述べている。その効果は、「例えば栄養指導において、食事評価に費やす時間が必要なくなり、行動変容を促す指導により多くの時間をあてることができる、といったことが挙げられる」という。

文献情報

原題のタイトルは、「Future Directions for Integrative Objective Assessment of Eating Using Wearable Sensing Technology」。〔Front Nutr. 2020 Jul 2;7:80〕
原文はこちら(Frontiers Media)

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