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サッカー選手の乱れた食行動の頻度、摂食障害のリスクは低いのか、高いのか?

アスリートは一般人口に比較して不規則な食事(disordered eating;DE)の頻度が高いと報告されている。その具体的な理由は完全には明らかになっていないが、DEが神経性食欲不振症や過食症といった摂食障害に進展した場合、アスリートの健康とパフォーマンスにマイナスとなる。

サッカー選手の乱れた食行動の頻度、摂食障害のリスクは低いのか、高いのか?

世界で最も人気の高いチームスポーツの摂食障害との関連が不明

体脂肪量が少ないほうが有利なスポーツ(サイクリング、体操、ランニングなど)のアスリートは、他のスポーツのアスリートよりもDEの頻度が高いことが報告されている。しかしその一方でサッカーやホッケー、バスケットボール、ラグビーなど、痩せていることがパフォーマンスにそれほど関係のないアスリートのDEの頻度は、あまり研究されていない。

ことにサッカーは、すべてのチームスポーツの中で最も人気があり、世界中で広くプレーされている。国際サッカー連盟(FIFA)によると、世界中で2億6千万人以上がサッカーをしているという。サッカー選手のDEの頻度は他のスポーツのアスリートより低いとみられるものの、サッカー人口の大きさを考えると研究が不十分と言える。

本論文の著者らは、エリートサッカー選手は、一般人口に比較してDEのスコアが高く、その背景に、アスリートのDEの最も強い媒介因子とされる完全主義が関連していると仮定し、英国のサッカー選手を対象に以下の検討を行った。

英国のエリートサッカー選手で調査

検討の対象は、イングランドとスコットランドのサッカーリーグに所属する18歳以上の選手。男性はフルタイム契約をしているプロ選手157人、女性はプロクラブがまだ少ないことから各国の上位リーグでプレーしている選手70人とした。また、プロとしてスポーツ活動をしておらず、かつ日常の身体活動量が中等度以上ではない人、男性41人、女性138人を比較対照群とした。

食行動は摂食態度調査(Eating Attitudes Test;EAT-26)を用いて評価し、20点以上をDEと判定した。完全主義については、臨床完全主義アンケート(Clinical Perfectionism Questionnaire;CPQ-12) で評価し、DEとの相関を検討した。

結果発表:男性と女性とで異なる傾向

では、性別に結果をみてみよう。なお、サッカー選手の所属リーグは80%以上が上位2リーグに集中していたため、上位/下位リーグで層別化した解析は行っていない。

男性での検討:完全主義がDEと有意に関連

まず年齢は、男性サッカー選手が21±5歳、対照群が25±6歳で、有意にアスリートのほうが若かった(p=0.001)。

EAT-26スコアはサッカー選手が10.4±9.9、対照群が6.8±6.7で、有意にアスリートのほうが高かった(p=0.001)。CPQ-12スコアも同様に、サッカー選手が24.6±5.3、対照群が22.1±5.7で、有意にアスリートのほうが高かった(p=0.004)。

EAT-26スコアが20点以上でDEと判定された割合は、サッカー選手が15%、対照群が5%で、サッカー選手で多い傾向があったが、群間差は有意に至らなかった(p=0.079)。

年齢、運動カテゴリー(アスリート群か対照群か)、CPQ-12スコアを独立変数、EAT-26スコアを従属変数とした回帰分析の結果、CPQ-12スコアのみがEAT-26スコアの有意な予測因子として抽出された。CPQ-12スコアは男性のDEのリスクの20%を説明した。

女性での検討:

女子サッカー選手の年齢は23±4歳、対照群は26±6歳で、有意にアスリートのほうが若かった(p=0.001)。

EAT-26スコアはサッカー選手が10.0±9.0、対照群が13.9±11.6で、男性とは逆に、有意に対照群のほうが高かった(p=0.027)。CPQ-12スコアは、サッカー選手が24.7±5.4、対照群が24.2±5.7で、有意差はなかった(p=0.510)。

EAT-26スコアが20点以上でDEと判定された割合は、サッカー選手が11%、対照群が25%で、対照群が有意に高かった(p=0.001)。 V男性での検討と同様の手法による回帰分析の結果、男性と同じくCPQ-12スコアのみがEAT-26スコアの有意な予測因子として抽出された。CPQ-12スコアは男性のDEのリスクの21%を説明した。

なお、男性と女性との比較では、EAT-26スコア(p=0.865)、CPQ-12スコア(p=0.978)、およびEAT-26が20点以上の割合(p=0.595)のいずれも有意差がなかった。

サッカー選手も完全主義が摂食行動に関連している

これらの結果を著者らは、以下の3点にまとめている。(1)女性の非アスリートは女性のサッカー選手よりもDEを発症するリスクが高い、(2)男性のサッカー選手は男性の非アスリートよりもEAT-26スコアが高い、(3)完全主義は男性と女性の双方でDEリスクの重要な予測因子である。

研究仮説どおり、完全主義を表すCPQ-12スコアとEAT-26に有意な関連が認められたことに関しては、「これはエリートサッカー選手における完全主義とDEリスクを評価した初めての研究であり、結果は他のスポーツのアスリートでの研究結果と一致する。完全主義はプロサッカー選手におけるDEリスクに関連する個人的特性であることが示唆される」と考察している。

文献情報

原題のタイトルは、「The prevalence of disordered eating in elite male and female soccer players」。〔Eat Weight Disord. 2020 Feb 27〕
原文はこちら(Springer Nature)

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