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地中海食は男子の体組成や身体機能を向上する可能性 スペインでの横断研究

子どもの肥満の増加傾向が世界的な問題となるなか、地中海式食事スタイルの子どもへの有益性を横断的に検討した結果がスペインから報告された。男子では、地中海式食事スタイルにマッチした食習慣であるほど、体力が高いという関係が認められた。

地中海食は男子の体組成や身体機能を向上する可能性 スペインでの横断研究

6~17歳のスポーツ学校の男女を対象とする横断研究

この研究は、スペイン中部のカスティーリャ・ラ・マンチャ州に存在するスポーツスクールに通い、週に2日、1時間以上スポーツ活動をしている子ども1,676人を対象に行われた。対象者の年齢は6〜17歳(平均11.11±2.62歳)、体重44.48±15.25kg、身長147.51±15.85cm。

性別と思春期ステージ(思春期前と思春期)で全体を四つのサブグループに分けた場合のそれぞれの該当者数は以下のとおり。思春期前の男子774人(46.18%)、思春期の男子432人(25.78%)、思春期前の女子335人(19.99%)、思春期の女子135人(8.05%)。

また、体重カテゴリーは、WHOの年齢・性別BMIのZスコアを基に、普通体重、過体重、肥満の3群に分類。それぞれの該当者数は、普通体重が947人(56.6%)、過体重が445人(26.6%)、肥満が284人(16.9%)。

地中海式食事の実践状況は、既報で有効性が検証済みの質問票を用いて評価し、アドヒアランスが、'低'、'中'、'高'の3群に分類。それぞれの該当者数は、'低'が112人(6.7%)、'中'が966人(57.6%)、'高'が598人(35.7%)。

体力は、20mシャトルラン(初速8.5km/時、毎分0.5km/時増加)、握力、腕を動かせる状態でのカウンタームーブメントジャンプ(CMJ)で評価した。

体重カテゴリーと体力の関係

普通体重群はシャトルランやCMJが優れ、過体重・肥満は握力が強い

普通体重群は20mシャトルランの結果が、過体重群(p<0.05,効果量0.50〜0.67)、および肥満群(p<0.001,効果量1.42〜1.75)に比べ有意に優れていた。また、過体重群は思春期の女子を除くすべてのカテゴリーで、肥満群より優れたパフォーマンスを示した(p<0.001,効果量0.82〜1.03)。

一方、過体重の男子は握力が普通体重群よりも有意に高かった(p<0.01,効果量0.31〜0.53)。また、肥満群の思春期前男子の握力は、普通体重群よりも有意に高かった(p<0.01,効果量0.37〜0.59)。思春期前の女子も体重カテゴリーと握力の関連が認められ、過体重群は普通体重群より有意に高かった(p<0.01,効果量0.43〜0.52)。ただし、思春期の女子では有意差はみられなかった。

CMJに関しては、男子では普通体重群と過体重群が肥満群より優れていた(p<0.05,効果量0.58〜1.10)。一方、思春期前の女子は、普通体重群と過体重群が肥満群に優れ(p<0.05,効果量0.64〜1.23)、かつ、普通体重群は過体重群より優れていた(p<0.05,効果量0.35~0.55)。思春期の女子では、肥満群に対する普通体重群のみ有意差が認められた(p<0.001,効果量0.95)。

地中海式食事アドヒアランスと体重、体組成の関係

思春期前の男子では、地中海式食事のアドヒアランスが高い群が低い群よりも体重が重かった(p<0.001,効果量0.47)。さらに、思春期前の男子において、高アドヒアランス群はその他の群より、除脂肪体重が重かった(p<0.05,効果量0.21〜0.52)。

思春期の男子、思春期前および思春期の女子に関しては、地中海式食事のアドヒアランスと体重や体組成との有意な関連はみられなかった。

地中海式食事アドヒアランスと体力の関係

思春期前の男子では、地中海式食事のアドヒアランスが高い群、および中の群は、アドヒアランスか低い群に比し、20mシャトルランが有意に優れていた(p<0.05,効果量0.39〜0.51)。また思春期の男子においても、地中海式食事のアドヒアランスが高い群は、アドヒアランス中の群よりも優れていた(p=0.002,効果量0.35)。一方、女子については、思春期前、思春期のいずれでも、有意差はみられなかった。

男子は握力についても、思春期前の高アドヒアランス群が中および低アドヒアランス群よりも高い値を示した(p<0.05,効果量0.21~0.56)。思春期の男子でも、高アドヒアランス群は、中アドヒアランス群よりも握力が高かった(p<0.01,効果量0.31〜0.33)。一方、女子については、思春期前、思春期のいずれでも、有意差はみられなかった。

CMJに関しては、群間に有意な差は認められなかった。

体組成、BMI、体力、および地中海式食事アドヒアランスの関係

20mシャトルランは、BMIおよび脂肪量と負の関係にあった(p<0.01)。ただし、握力とCMJはBMIと正の関係にあり、脂肪量と負の関係にあった(p<0.05)。

以上一連の結果は、アクティブな子どもたちの集団において、普通体重であることは過体重や肥満の状態よりも、体組成と体力のパラメータが良好であることを示している。また、地中海式食事スタイルの習慣が強いことは、体力と体組成パラメータが優れていた。

ただし女子に関しては、地中海式食事スタイルの習慣の有無は、あまり重要でなかった。

文献情報

原題のタイトルは、「Weight Status, Adherence to the Mediterranean Diet, and Physical Fitness in Spanish Children and Adolescents: The Active Health Study」。〔Nutrients. 2020 Jun 4;12(6):E1680〕
原文はこちら(MDPI)

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