暮らしにゆとりがあると朝食欠食率が減る 農水省「若い世代の食事習慣に関する調査」
朝食の欠食率を下げるには、時間的・経済的な暮らしのゆとりが必要らしい――そう示唆する調査結果が、農林水産省から発表された。起床から外出までの時間が1時間未満の人の約3割が朝食を「ほとんど食べない」と回答していたほか、朝食の摂取状況と経済状況の間に関連もみられたという。
若い世代の朝食欠食率の高さの背景にあるもの
農林水産省はこのほど「若い世代の食事習慣に関する調査」の結果を発表した。この調査は、若い世代の食生活の現状を明らかにする目的で、令和元年11月に18~39歳の2,000人を対象にウェブを用いて行われたアンケート調査。
食育基本法に基づく「第3次食育推進基本計画」の重点課題の一つに「若い世代を中心とした食育の推進」が掲げられているが、若い世代は朝食欠食者が多い。例えば厚生労働省の「平成29年 国民健康・栄養調査」によると、男性の朝食欠食率は平均15.0%だが20歳代は30.6%と2倍以上、女性も平均10.2%に対し20歳代は23.6%と報告されている。今回の調査では、まず、朝食欠食の背景にある因子を探った。
時間的なゆとりのなさ
まず、朝食欠食率の現状をみてみると、朝食を「ほとんど毎日食べる」と回答した人が過半数を占めたものの、その一方で「ほとんど食べない」と回答した人が2割を超えていた。
朝食の摂取状況
起床から外出までの時間との関係をみると、その時間が1時間未満の人の3割以上が朝食を「ほとんど食べない」と回答しており、1時間以上ある人におけるその割合(17~18%)との差が認められた。時間的な余裕のなさが朝食欠食の一因の可能性を示唆する結果と言える。
朝食摂取状況と起床から外出までの時間との関連
経済的なゆとりのなさ
また、時間的なゆとりのなさだけでなく、経済的なゆとりのなさも朝食欠食と関係しているようだ。経済的に「ゆとりがある」と回答した人で朝食を「ほとんど食べない」のは2割足らずだったのに対し、「生活が苦しく、非常に心配」と回答した人の4割近くが朝食を「ほとんど食べない」という結果だった。
朝食摂取状況と経済状況との関連
経済的にゆとりがないことは、朝食欠食率だけでなく、バランスの良い食生活を送ることの支障にもなっているようだ。主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日2回以上食べる頻度を質問した結果、「生活が苦しく、非常に心配」と回答した人の約半数が、その頻度が「ほとんどない」と回答し、「ゆとりがある」と回答した人と比較し2倍以上多かった。
主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日2回以上食べる頻度と経済状況との関連
若い世代向けの啓発資材を作成
この調査の結果を踏まえて同省では、若い世代向けの啓発資材「考える やってみる みんなで広げる ちょうどよいバランスの食生活」を作成し、Web公開した。栄養バランスの整え方や食べる量と体重の関係など、基本的な情報をイラスト主体にわかりやすく解説している。
また、栄養面からのアドバイスのみでなく、前記調査で明らかになった時間的・経済的なゆとりのなさによる食生活への負の影響を抑える対策も述べている。例えば、朝食を作る時間がない場合には、バナナ+ヨーグルトで80円、シリアル+牛乳で80円などのメニューを紹介。また、生野菜の値段が高い時には冷凍野菜を使うといったアイデアも掲載されている。
計10ページにわたり、食事の栄養バランス、食生活と家計のバランス、ライフスタイルとのバランス、生活リズムとのバランスという四つの切り口から、若い世代に食事の大切さを伝える実用的な内容。
関連情報
若い世代の食事習慣に関する調査結果(農林水産省)
若い世代向けの啓発資材(農林水産省)