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ランニングと腰痛の関連を文献からひも解く ランナーは腰痛が少ない?

2020年07月13日

腰痛は、一般人口においてもアスリートにおいても最も一般的な筋骨格障害の一つと言える。一方、ランニングは世界で最も人気のあるスポーツの一つだが、ランナーの腰痛有病率や罹患率、あるいは発症危険因子などはよくわかっていない。そこで本論文の著者らは、システマティックレビューによって、それらを明らかにすることを試みた。結果は、どうやらランニングは腰痛に対して保護的に働くようだという。

ランニングと腰痛の関連を文献からひも解く ランナーは腰痛が少ない?

腰痛に関する報告を網羅的に検討

文献検索には、PubMed、CINAHL、Google Scholar、Ovid、PsycINFO、PSYNDEX、Embase、SPORTDiscus、Scientific Electronic Library Online、Cochrane Library、Web of Scienceが用いられた。ランナーの腰痛に関する研究は、研究対象年齢や研究デザイン(横断研究、症例対照研究、前向きまたは後ろ向きコホート研究等)にかかわらず、2019年7月末までに公開された論文をスクリーニング対象とした。

腰痛は、少なくとも24時間はランニングを行えなくなる程度のものであり、少なくとも一カ所の解剖学的領域について言及しているものと定義した。症例報告、および英語またはイタリア語以外の言語で書かれた論文は除外した。

ヒットした論文は1万4,575件(3,952件は重複)で、2人の研究者により適格条件にマッチするものが選択され、最終的に19件が解析対象とされた。横断研究が6件、後ろ向き研究が3件、前向き研究が10件で、対象者数は40~4,380人と幅があった。ジョアンナブリッグス研究所の批判的吟味ツールにより、ほとんどの評価項目のバイアスは低リスクと判定された。

結果概要

有病率と罹患率

有病率に関する報告は、一時点の有病率に関しては最小値が0.7%、最大値が13.6%だった。また生涯有病率は最小値3.2%、最大値20.2%だった。

腰痛の罹患率は、最小値が6週間あたり0.35%、最大値は1年あたり22%だった。

危険因子

腰痛の有意な危険因子として、6年以上のランニング経験(オッズ比5.4857)、BMIが24以上(女性のオッズ比1.263、男性のオッズ比1.122)、女性における股関節屈曲角度(オッズ比3.0488)のほか、高身長、脚の長さの不一致、シューズのかかとの摩耗の左右差、エアロビクス活動を行っていないこと、運動前に柔軟性運動をルーチンでしていないことなどが抽出された。

これらの結果をもとに著者は、本研究から導かれるポイントを以下のようにまとめている。

ランナー間の腰痛の有病率と発生率は、一般人口や他のスポーツ活動実践者と比較すると、概して低いとみられる。ランニングは、控えめに判断しても腰椎の保護因子とみなすことができる。腰痛発症の危険因子は、一般に身体的な因子またはトレーニング方法に関連する因子であり、臨床現場で部分的に変更および管理可能と考えられる。ランナーの腰痛の発生や危険因子の検討に利用可能な報告が少なく、さらなる研究が求められる。

文献情報

原題のタイトルは、「Prevalence and incidence of low back pain among runners: a systematic review」。〔BMC Musculoskelet Disord. 2020 Jun 3;21(1):343〕
原文はこちら(Springer Nature)

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