十代若年者のスポーツ参加の有無とボディイメージ、摂食障害の傾向 リトアニアの横断研究
千数百人の十代の若年者を対象に、食習慣や自分の身体に関する評価、摂食障害の頻度等を横断的に調査した結果が報告された。スポーツを行っている人は身体に対する自己評価が高く、自尊心を確立していること、摂食障害の頻度はスポーツの実施/非実施では差はないが、体重がパフォーマンスに影響を及ぼす可能性のある競技を行っている場合、頻度が高いことなどが明らかになった。
平均17歳のボディイメージなどを調査
この研究は、リトアニアの26都市において、中等教育学校に対して協力を要請し実施された。無作為に選択された41校が調査に参加し、各学校の11年次生のすべて、1,492名が参加した。回答に不備があった者などを除き、1,412名が解析対象となった。
対象者の年齢は15〜18歳で92.4%は17歳、59.8%が女子。BMIは14.0〜41.7の範囲に分布し、女子の平均は21.0±3.0、男子は22.0±3.1だった。
評価した項目は、身体評価スケール2(Body Appreciation Scale-2;BAS-2)、ローゼンバーグ自尊心スケール(Rosenberg Self-Esteem Scale;RSES)、摂食障害インベントリー3(Eating Disorder Inventory-3;EDI-3)、自己対象化質問票(Self-Objectification Questionnaire;SOQ)、摂食障害診断質問票6.0(Eating Disorder Examination Questionnaire 6.0;EDE-Q 6.0)、外観に関する社会文化的態度質問票4(Sociocultural Attitudes Towards Appearance Questionnaire-4;SATAQ-4)、筋力行動スケール(Drive for Muscularity Scale;DMS)、余暇の身体活動質問票(Leisure-time Physical Activity Questionnaire;LTEQ)、自覚体力(Perceived physical fitness;PPF)など。
なお、競技スポーツへの参加については、「競技スポーツに積極的に参加し、プロスポーツにつながる競技会に参加しているか」という質問の回答で判定し、余暇スポーツへの参加については、「競技スポーツには参加するつもりはないが、余暇スポーツはしているか」という質問の回答で判定した。
主な結果
女子はスポーツを行っていない割合が男子より高かった(男子16.5 vs 女子29.9%)。競技スポーツ群は普通体重者が多く(競技スポーツ群83.1 vs 余暇スポーツ群76.3 vs スポーツ非参加群66.7%)、スポーツを行っていない群は過体重・肥満が多かった。
女子は、ボディイメージへの関心と摂食障害関連の行動の頻度が高かったのに対し、自己認識による体力は男子と比較し低かった。競技スポーツ群では、体重がパフォーマンスに関連する競技ではそうでない競技に比較し、身体不満スコアが有意に高かった。
摂食障害関連の結果
スポーツに参加している群と参加していない群との間で、摂食障害の頻度に大きな違いはみられなかった。しかし、体重にセンシティブなスポーツに参加している者は、摂食障害の頻度が高く、身体に対する自己認識が低かった。
なお、余暇スポーツと競技スポーツに参加している群において、自身の体重に敏感なグループとそれほど敏感でないグループの間で、摂食障害の頻度は差がなかった。
文献情報
原題のタイトルは、「Examining Body Appreciation and Disordered Eating In Adolescents of Different Sports Practice: Cross-Sectional Study」。〔Int J Environ Res Public Health. 2020 Jun 5;17(11):E4044〕
原文はこちら(MDPI)