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摂食障害検査アンケート、簡易版でも十分な妥当性 28項目と7項目で高い相関

摂食障害検査アンケートの簡易版の信頼性に関する調査結果が発表された。簡易版であっても信頼性は十分高く、時間が限られている場面などでの代替法として使用可能という。ポルトガルからの報告。

28項目の完全版と、7項目、8項目、18項目の簡易版を比較

摂食障害検査アンケート(Eating Disorder Examination-Questionnaire;EDE-Q)の完全版「EDE-Q28」は28項目からなり、複数の言語に翻訳され広く利用されている。しかし全体量が多く冗長感があり、介入効果の判定に繰り返し利用する際や、時間が十分でない実臨床では、実施者/回答者ともに負担が大きく、回答者についてはアドヒアランスの低下も懸念される。

このようなEDE-Q28に対し、項目数を減らして簡便さを高めた簡易版がいくつか考案されている。しかしそれらの信頼性は十分に検討されていない。そこで著者らは、EDE-Q28と、7項目からなるEDE-Q7、8項目からなるEDE-Q8、18項目からなるEDE-Q18を同一対象に実施し、それぞれの結果を比較検討した。

研究対象の患者群と一般群の特性

この検討は、摂食障害の治療を受けている患者からなる2群と、医療とは関連のない1群を対象に行われた。

患者群の一つは、ポルトガルの摂食障害専門医療機関の外来通院中の女性患者175名(26.18±8.55歳、BMI20.57±6.31)。妊婦およびポルトガル語の理解不能者は除外した。これらの患者は米国精神医学会のDSM-5に即して診断されていた。神経性やせ症の摂食制限型が52名(29.7%)でそのBMIは15.63±1.78、過食/排出型が19名(10.9%)でBMIは16.46±1.84、神経性過食症が63名(36.0%)でBMIは22.92±3.90、過食性障害が18名(10.3%)でBMIは31.76±8.36、その他が23名(13.1%)でBMIは19.73±3.84。

別の患者群は感度分析に用いられた女性患者38名(27.81±7.72歳、BMI22.68±4.40)。神経性過食症が71.4%を占め、過食障害が21.4%、その他が7.1%。これらの患者は自助介入の有効性を検証する他の研究の参加者だった。

もう1群は、高校および大学の女子学生3,413名(高校生1,780名、大学生1,633名。18.89±4.03歳、BMI21.49±3.30)で、大半(94.7%)が独身者。高校生はポルトガル国内全域から募集され、大学生は同国内の異なる4カ所にある4大学(公立と私立が2大学ずつ)から募集された。

相関係数はすべて0.9以上

結果について、まず各アンケートのスコアをみると、患者群ではEDE-Q28が3.46±1.63、EDE-Q7が4.08±1.65、EDE-Q8が3.83±1.75、EDE-Q18が3.52±1.57で、一般群ではEDE-Q28が1.31±1.33、EDE-Q7が1.72±1.54、EDE-Q8が1.61±1.53、EDE-Q18が1.32±1.33だった。

それぞれの相関をみると、EDE-Q28はEDE-Q7とr=0.92、EDE-Q8とr=0.97、EDE-Q18とr=0.99であり、EDE-Q7はEDE-Q8とr=0.91、EDE-Q18とr=0.94であり、EDE-Q8はEDE-Q18とr=0.97であって、いずれも相関が高く、すべて有意だった。

各アンケートの妥当性については、EDE-Q28はAUC0.840、カットオフ値2.48で感度0.73、特異度0.82であり、EDE-Q7はAUC0.842、カットオフ値3.73で感度0.67、特異度0.88であり、EDE-Q8はAUC0.826、カットオフ値3.88で感度0.58、特異度0.90であり、EDE-Q18はAUC0.847、カットオフ値2.17で感度0.77、特異度0.78だった。

著者らは「この研究の結果は、臨床における治療変更や転帰研究などにおいて、EDE-Qの簡易版を使用できることを示している。簡易版は、摂食障害を短時間でスクリーニングしたり、治療モニタリングなどにおいて、時間をかけて詳細な検討をすることができない状況での利用可能な代替手段である」と結論付けている。

文献情報

原題のタイトルは、「Eating Disorder Examination - Questionnaire short forms: A comparison」。〔Int J Eat Disord. 2020 Apr 13〕
原文はこちら(John Wiley & Sons)

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