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競技中の炭水化物摂取量120g/時の有用性を示唆するデータ 山岳マラソンでの検討

超持久系スポーツの最中に炭水化物を1時間あたり120gという高用量摂取することの有用性が報告された。世界チャンピオンを含むトップアスリートを対象とする山岳マラソンにおける検討結果だ。スペインの研究者らの報告。

競技中の炭水化物摂取量120g/時の有用性を示唆するデータ 山岳マラソンでの検討

60g/時 vs 90g/時 vs 120g/時で検討

競技時間が長時間に及ぶ持久系スポーツにおいては、パフォーマンス維持のために競技中60g/時程度の炭水化物摂取が推奨されている。この値は忍容性がある場合は90g/時までの増量も目安となるとされる。しかし、運動負荷が高く競技時間がより長い場合、より高用量の炭水化物摂取が有用な可能性もある。そこで本研究では、山岳マラソン中に炭水化物を、60g/時、90g/時、120g/時摂取するという3群で、運動誘発性筋損傷(Exercise Induced Muscle Damage;EIMD)のマーカーの相違をランダム化比較試験で検討した。

事前に腸管トレーニングを実施

少なくともウルトラトレイルの経験が5年ある31名の男性アスリートがリクルートされた。このうち2名は世界一位の経験者。全員が栄養士から個別の指導を受け、炭水化物への耐性と吸収を高める目的で、腸管のトレーニング(大会前の4週間に少なくとも週2日以上は炭水化物を90g/時を摂取する)を実施した。

また、大会48時間前からは、炭水化物は9g/kg/日、蛋白質は1.5g/kg/日、脂質は最大0.5g/kg/日と統一し、大会当日の朝食の炭水化物量は2g/kgとした。

腸管トレーニングを実施しなかった者や大会1週間前以降にパフォーマンスに影響を及ぼす可能性のあるサプリメントを使用した者を除き26名を、無作為に以下の3群に割り付けた。

  • 低用量群:炭水化物60g/時...8名、37.8±9.4歳。2名が怪我で棄権し、解析対象は6名
  • 中用量群:炭水化物90g/時...9名、37.2±5.4歳。1名が怪我、他の1名が消化器症状で棄権し、解析対象は7名
  • 高用量群:炭水化物120g/時...9名、38.0±6.8歳。2名が消化器症状で棄権し、解析対象は7名

炭水化物は、マルトデキストリンとフルクトースゲルを2:1で混ぜあわせ人工甘味料で味付けしたもの30gで統一し、これを低用量群は競技中30分ごと、中用量群は20分ごと、高用量群は15分ごとに摂取することとした。

運動強度はGPS機能付き心拍モニターで評価

競技中、GPS機能付き心拍モニターのデータを記録し、最大心拍数を平均心拍数で除した値を運動強度とした。競技全体の運動負荷は、自覚的運動強度(Rate of Perceived Exertion;RPE)と競技記録(レースタイム)の積で評価した。

競技は気温10℃、湿度60%、風速10km/時の条件で朝9時にスタートした。走行距離は42.195km、最高地点は638.2m、最低地点は3.80m、累積標高差は3,980.80mだった。

LDHやCK、RPEから求めた運動負荷などに有意差

レース記録には有意差なし

結果をまず、レースタイムからみると、低用量群は4時間38分33秒±43分13秒、中用量群は4時間44分27秒±40分11秒、高用量群は4時間31分36秒±41分35秒で有意差がなく、自覚的運動強度(RPE)も同順に16.2±1.3、16.6±1.6、15.4±1.7で有意差がなかった。その他、平均心拍数、最大心拍数、レース強度にも有意差はなかった。

運動誘発性筋損傷(EIMD)のマーカーの変化

一方、運動誘発性筋損傷のマーカーとして測定した指標のうち、乳酸脱水素酵素(lactate dehydrogenase;LDH)やクレアチンキナーゼ(creatine kinase;CK)、グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(glutamic oxaloacetic transaminase;GOT.アスパラギン酸トランスアミナーゼ〈Aspartate transaminase;AST〉)の競技前後の変化量は、高用量群で有意に抑制されていた。

具体的には、LDHは低用量群では競技前後で46.7±15.5%増、中用量群は36.7±16.6%増に対し、高用量群は8.5±8.5%増にとどまった。CKは同順に976.2±631.3%増、963.4±713.3%増、155.9±39.5%増、GOTは161.6±98.2%増、152.1±64.9%増、27.2±23.5%増。

クレアチニンや尿素、血糖の変化は、有意な群間差がみられなかった。

RPEによる運動負荷の比較

自覚的運動強度(RPE)とレースタイムの積により評価した運動負荷は、低用量群が4,688±705 AU(Arbitrary Unit)、中用量群が4,692±716AU、高用量群は3,805±281AUであり、高用量群は前二者に対して有意に低値だった(p=0.019)。

これらの結果から著者らは「山岳マラソンレース中の120g/時という高用量の炭水化物摂取は、現在推奨されている60gまたは90g/時の摂取に比較し、運動誘発性筋損傷や自覚的運動強度から求めた運動負荷を抑制する可能性がある」と結論をまとめている。

文献情報

原題のタイトルは、「Effects of 120 g/h of Carbohydrates Intake during a Mountain Marathon on Exercise-Induced Muscle Damage in Elite Runners」。〔Nutrients. 2020 May 11;12(5):E1367〕
原文はこちら(MDPI)

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