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ゲーム時間の長さで野菜・果物の摂取頻度、朝食欠食、甘味飲料の摂取率に有意差 フィンランドの調査

ゲームで遊ぶ時間が長い思春期の男性は、身体活動量が少ないばかりでなく、野菜や果物の摂取量が少ないこと、身体能力が低いことなどが報告された。フィンランドにおいて徴兵時に行われた調査から明らかになった。

ゲーム好き男性は野菜をあまり食べない フィンランドの徴兵時の調査から明らかに

徴兵時の生理学的検査とアンケート結果を用いて解析

一般的に、ゲームで遊ぶ時間が長い人は身体活動量が少ないと考えられる。しかし健康関連指標とゲームプレイ時間との関連を明確に示したデータは限られることから、本論文の著者らは、その実態を調査した。

フィンランドでは18歳になった男性に兵役が義務付けられている。本調査は、2013年にフィンランド中部に位置する都市、オウルでの徴兵のため検査に参加した1,265名のうち、アンケートに回答した1,023名(80.9%)を対象に行われた。生理学的検査を受けたのは578名(72.6%)だった。

アンケートで平日にゲームで遊ぶ時間をたずね、その結果を三分位に分けると、ゲーム時間が最も長い最高三分位群は平日3時間以上、ゲームで遊んでいた。このため、平日のゲーム時間3時間以上と未満で全体を二分し、他の調査項目との関連を検討した。

対象全体の平均年齢は17.9歳(17~22歳に分布)。ゲーム時間の長い群は、平日に5.5±2.0時間/日、週末や休日には7.3±3.9時間/日ゲームをしており、ゲーム時間の短い群は同順に1.3±1.1時間、2.4±2.2時間だった。

ゲーム時間の長い群は食習慣が不良で、筋肉量が少なく、VO2maxが低い

調査項目は、BMI、体組成、身体活動量、座位時間、握力、VO2max、食習慣、喫煙・飲酒習慣、健康感など多岐にわたる。結果をみてみよう。

BMIに差はないが体組成に有意差

BMIは、ゲーム時間の長い群23.8±5.5、短い群22.7±3.8で有意差はなかった(p=0.107)。以下、同順(ゲーム時間の長い群 vs 短い群の順)に記載する。

ウエスト周囲長は84.7±13.2 vs 81.1±9.1cm(p=0.011)。体脂肪率は19.3±10.0 vs 15.6±7.6%(p<0.001)、筋肉量は45.3±5.6 vs 47.6±4.4%(p<0.001)で、いずれも有意差があり、ゲーム時間が短い群のほうが優れていた。

身体活動量と身体能力に有意差

身体活動量が500MET-分/週未満の割合は47.3 vs 22.5%(p<0.001)、座位時間は5.8±2.4 vs 3.7±2.0時間/日(p<0.001)で、いずれも有意差があり、ゲーム時間が短い群のほうが活動的だった。

そして身体能力にも有意差が認められた。握力は43.8±7.8 vs 45.4±7.4kg(p<0.001)、VO2maxは50.4±6.6 vs 53.7±7.1mL/kg/分であり、いずれもゲーム時間が短い群のほうが有意に優れていた。

野菜や果物の摂取頻度、朝食欠食、甘味飲料の摂取率に有意差

果物や野菜の摂取頻度は1.6±1.5 vs 2.2±1.5回/週(p<0.001)、甘味飲料やエナジードリンクの摂取頻度は1.4±1.2 vs 1.0±0.9回/週(p<0.001)、朝食欠食率は37.2 vs 23.6%(p<0.001)で、いずれもゲーム時間が短い群のほうが、有意に良好だった。

喫煙率は27.4 vs 26.4%(p=0.85)、週に1回以上の飲酒習慣は23.1 vs 21.5%(p=0.685)で有意差はなかった。

自己評価の健康レベルも有意差

ゲーム時間が長いことに関連してみられる、以上のような不健康な生活習慣や身体能力の低さは、本人たちもそれを自覚しているようだ。健康感の自己評価に対する質問に「悪い」と回答した者の割合は、12.8 vs 5.4%(p=0.001)で、有意差があった。

著者らは本研究の結果から、「思春期の男性を対象とした健康への介入を進め、ゲームのやりすぎに伴うデメリットに関する意識を高めていく必要がある」とまとめている。

文献情報

原題のタイトルは、「Health behaviours associated with video gaming in adolescent men: a cross-sectional population-based MOPO study」。〔BMC Public Health. 2020 Mar 30;20(1):415〕
原文はこちら(Springer Nature)

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