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WHO『身体活動に関する世界行動計画2018-2030』日本語版公開 慶大スポーツ医学研究センター

世界保健機関(World Health Organization;WHO)が2018年に策定した、身体活動に関する世界行動計画(Global Action Plan on Physical Activity 2018-2030;GAPPA)の日本語版が公開された。慶應義塾大学スポーツ医学研究センターおよび同大大学院健康マネジメント研究科が、日本運動疫学会の協力により作成したもの。日本語で「健康的な世界に向けて一人一人よりアクティブに」という副題が付けられている。

WHO『身体活動に関する世界行動計画2018-2030』日本語版公開 慶大スポーツ医学研究センター

『身体活動に関する世界行動計画2018-2030』日本語版

WHOのGAPPAでは、身体不活動者を2025年までに10%削減、2030年までに15%削減することを目的に、4つの行動目標(アクティブな社会の創造、アクティブな環境の創造、アクティブな人々を育む、アクティブなシステムの創造)および、どの国でも適用可能なエビデンスのある20の政策措置を提案している。これらは国連が2030年までに達成すべき持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)のための17の領域のうち、13の領域と相互連携している。そして、健康やスポーツ分野だけでなく、都市計画・交通・アカデミアなどが協力し、社会システムとして実行していく必要があることを強調する内容。

全文を慶應義塾大学スポーツ医学研究センターのサイトで閲覧可能。以下に目次などを抜粋し紹介する。

国連が掲げる「SDGs17の目標」のアイコン。ダウンロードはこちらから
(出典:国際連合広報センター)

国連のSDGs17の目標と関連する13の領域

国連は2030年までのSDGs関連達成目標として、上記の17領域の課題を掲げている。このうちWHOのGAPPAは、1、6、7、14、17を除く13領域で関連している。

4つの行動目標と20の政策措置

1.アクティブな社会

行動変容のためのコミュニケーションキャンペーンを実施し、従事者の能力を強化して、社会規範を変える。

[ACTION]

  • 1.1 コミュニケーション:地域基盤のプログラムと結びついたソーシャルマーケティングキャンペーンを実施する。
  • 1.2.コベネフィット:知識の共有と情報キャンペーンを通して、身体活動(とくにウォーキングやサイクリング)によってもたらされる、複合的な社会、経済および環境上のコベネフィットに関する認識を高める。
  • 1.3. 大衆参加イベント:多くの人が参加できるイニチアチブを定期的に実施する。
  • 1.4. 能力強化:草の根コミュニティーグループや市民社会組織だけでなく、健康部門の内外での専門知識を強化する。

2.アクティブな環境

ウォーキング、サイクリングおよびその他の身体活動をするにあたり、公平なアクセスが可能な安全で適切な管理がされているインフラ、施設および公共空間を推進する。

[ACTION]

  • 2.1. 政策の統合:都市および交通計画政策を統合し、また近隣を強く結びつけるためにコンパクトな混合土地利用の原則を優先する。
  • 2.2. インフラ:ウォーキングやサイクリングのネットワークインフラを改善する。
  • 2.3. 安全性:歩行者、自転車利用者およびその他の交通弱者の安全を改善するために、交通安全および個人安全措置を実施し、強化する。
  • 2.4. 公共空間:良質な公共および緑地空間、グリーンネットワーク、レクリエーションエリア(河川や沿岸部を含む)、およびスポーツ施設へのアクセスを改善する。
  • 2.5. 設計:公共建築物の内外ですべての居住者と訪問者がアクティブになれるように政策、規制および設計のガイドラインを強化する。

3.アクティブな人々

あらゆる年齢・能力の人々が定期的な身体活動を実施できる機会、プログラムおよびサービスへのアクセスを、さまざまな状況にわたり確保する。

[ACTION]

  • 3.1. 学校:就学前教育から第三期教育(高等教育)環境まで、良質な体育教育と身体活動への前向きな機会を確実に提供する。
  • 3.2. 医療:身体活動に関する患者評価と診察のシステムを、医療と介護(社会)サービスに組み込む。
  • 3.3. その他、さまざまな状況:身体活動の機会を増やすため、職場、スポーツおよび宗教などの環境および公共空間とその他の地域社会の場にプログラムを組み込む。
  • 3.4. 高齢者:高齢者が定期的な身体活動を開始・維持できるよう適切に作られたプログラムとサービスを提供する。
  • 3.5. 最も不活動な人々:活動が最少のグループに身体活動の機会を増やすプログラムとサービスを組み込む。
  • 3.6. 地域社会全体:市、町または地方レベルで包括的な取り組みを実施するために地域社会と連動する。

4.アクティブなシステム

リーダーシップ、ガバナンス、多分野との連携、従事者の能力、研究、アドボカシーおよび情報システムを強化し、有効な協調政策の実現を支援する。

[ACTION]

  • 4.1. ガバナンス:国内と地方政策、勧告および行動計画を強化し、多分野との協調メカニズムを確立する。
  • 4.2. データシステム:観察と意思決定を強化するために、情報システムとデジタル技術を増強する。
  • 4.3. エビデンス:有効な政策解決の情報を与えるために、研究と評価力を強化する。
  • 4.4. アドボカシー:認知、知識および共同行動を高めるためのアドボカシーを拡大する。
  • 4.5. リソース:持続可能性を確実にするため、資金調達のメカニズムを強化する。

WHO『身体活動に関する世界行動計画2018-2030』日本語版の目次

  • はじめに
  • 背 景
  • 委 任
  • 開 発
  • 身体活動とは?
  • 現在の身体不活動のレベル
  • 医療と社会における身体不活動のコスト
  • アクティブになるための複合的な方法―複合的な政策機会、複合的なベネフィット
  • 身体活動と 2030 年の持続可能な開発目標(SDGs)
  • 前進―国別行動の拡大
  • 身体活動に関する世界行動計画 2018-2030
  • ビジョン
  • ミッション(使命)
  • 目 標
  • 基本理念
  • 行動のためのパートナーシップ
  • 行動のための枠組み
  • 実装
  • モニタリングと評価
  • 付 録
  • 身体活動と持続可能な開発目標
  • 推奨政策措置―ステークホルダーの役割
  • 用語集
  • 文 献

関連ページ

WHO『身体活動に関する世界行動計画2018-2030』の日本語版完成のお知らせ(慶應義塾大学スポーツ医学研究センター)

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