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成人期の骨粗鬆症を防ぐためには小児期の運動・栄養介入が効果的である可能性

子どものころに身についた生活習慣は成人後も変わらず、成人期の慢性疾患に関連する可能性がある。とくに骨粗鬆症の易発症性と強く関連する骨量については、青年期にほとんどの人がピークに達するため、思春期前の骨量蓄積が少ない場合、成人後の骨折や骨粗鬆症のリスクが上昇すると考えられる。

成人期の骨粗鬆症を防ぐためには小児期の運動・栄養介入が効果的である可能性

そのリスクを低下させる方法として、子どもの日常生活に対策をとり入れることが推奨されている。しかし小児期に行う介入が実際に効果をもたらすことを示した研究は少ない。本論文はこの点に着目して行われたBONES(beat osteoporosis-nourish and exercise skeletons)プロジェクトの報告。

小学生への直接介入群と、保護者への介入をプラスした群を、対照群と比較

BONESは米国における住民ベースのグループランダム化比較試験として行われた。小学生への直接的な介入(B群とする)効果と、それに保護者への介入を追加した場合(B+P群とする)を、対照群(C群とする)と比較検討するという研究デザイン。対象は6~9歳の小学生で、B群には25カ所(469人の子ども)、B+P群には33カ所(611人の子ども)、C群には25カ所(354人の子ども)が無作為に割り当てられた。

B群への介入は、次の3要素で構成された。

  1. 食事介入:1日あたり平均380mgのカルシウムをスナックで支給する
  2. 運動介入:体重の4~7倍に相当する地面反力での5分間のジャンプを用い、週に3日、20分間の活発なアクティブゲームを行う
  3. 教育介入:週に2日、楽しみながら実践的な方法で行われる栄養教育

これらは学校の放課後のプログラムとして適合するように組まれた。

B+P群に対しては前記のB群に対する加入に加え、保護者に対し健康的な食事や運動に関する情報提供を行った。

介入効果を検証するための主要アウトカムは、骨剛性指数(bone stiffness index;SI)と筋力(握力と垂直跳び)、二次アウトカムは、体組成(BMIと体脂肪率)と骨の健康に関する知識と行動(カルシウムが豊富な食品の摂取量や身体活動量など)とした。これらのテストを介入から1年後と2年後に行った。

保護者への介入をプラスした2年の介入で骨剛性指数が有意に上昇

テストに参加しなかった子どもを除き、B群409人、B+P群552人、C群314人を解析対象とした。結果について、まず主要エンドポイントの1つである骨剛性指数をみると、B+P群は2年の介入で0.5682増加したのに対し、C群では2.0669減少していた(p=0.05)。握力は同順に1.2406kg、1.1391kgそれぞれ上昇し、群間差に有意差はなかった。垂直跳びも同順に0.6154インチ(1.5631cm)、0.7233インチ(1.8372cm)それぞれ上昇し、群間に有意差はなかった。

二次エンドポイントのうち、BMIに関しては有意な群間差がなかったが、体脂肪率に関してはC群の男児以外はすべて介入期間中に増加したため、介入後に群間差が生じていた。

このほか、男女ともすべての群で、カルシウムが豊富な食品を識別する能力が大幅に増加した。B群の上昇が最大でありB+P群が続いたが、Cとの有意な群間差はなかった。骨強化に関する知識は、男女ともにB群およびB+P群がC群に比し有意に高かった。カルシウムが豊富な食品またはカルシウム摂取に対する嗜好は群間差がなかった。

これらの結果から著者らは、「小児とその保護者への栄養・運動・教育介入は、骨の健康を促進することを実証できた。学校の放課後に行われる住民ベースの介入は保護者の関与と相まって、子どもたちが成人した後の骨粗鬆症の発症予防につながる、骨形成行動を促進する可能性のあるアプローチである」と結論をまとめている。

今後の課題としては、「男児と女児の双方の骨と栄養、骨と身体活動の変化に影響を与え得るプログラムの強度、および期間はまだ不明。BONESプロジェクトで示された結果よりも影響は大きい可能性も秘めている。また将来の研究では、幅広いプログラムを提供するに際しての、費用対効果も考慮すべきだろう」と述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「Beat osteoporosis ? nourish and exercise skeletons (BONES): a group randomized controlled trial in children」。〔BMC Pediatr. 2020 Feb 21;20(1):83〕

原文はこちら(Springer Nature)

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