身体活動やスポーツを成長途中でやめてしまう子どもの特性とは? ブラジルの横断研究
子どもの頃はスポーツをしていたのに、成長とともにそれをしなくなってしまったという青少年は少なくない。そのような変化と関連する因子を解析した横断研究が、ブラジルから報告された。いくつかの因子のうち、友情への否定的な認識をもっていることも、身体活動・スポーツ継続からの脱落に関連しているという。
2011年にブラジルのロンドリーナ(日系人が多い都市として知られる)の複数の公立学校の生徒1,395名(10~17歳)を研究に登録。より幼少だった頃(7~10歳)に、監督の指導のもとでスポーツをした経験の有無を問い、経験がなかった者、および身体活動データが欠落していた者などを除き、803名(12.9±1.5歳、女性49.9%)を解析対象とした。
803名のうち、7~10歳の頃に行っていた身体活動をやらなくなった者が536名、継続していた者は267名だった。身体活動をやらなくなった者と継続していた者を比較した時、有意差のみられた関連因子として、性別(女子。60% vs 31%)、最大発育(peak height velocity;PHV)年齢(13±1.22歳 vs 14±1.14歳)、心肺持久力(cardiorespiratory fitness;CRF)低値(39.7±4.71 vs 42.1±4.85mL/kg/分)、母親が活動的でないこと(97% vs 92%)が挙がった。
7~10歳の頃に行っていたスポーツ活動をやらなくなった者が543名、継続していた者は260名だった。スポーツ活動をやらなくなった者と継続していた者を比較した時、有意差のみられた関連因子として、性別(女子。58% vs 33%)、PHV年齢(13±1.21歳 vs 14±1.17歳)、CRF低値(39.8±4.68 vs 42.1±4.96mL/kg/分)、友情への否定的な認識(11% vs 5%)が挙がった。
身体活動およびスポーツ活動継続からの脱落の双方に関し、BMIとは有意な関連がなかった。また、社会経済的地位(socio economic status;SES)が低いほうが、身体活動およびスポーツ活動の継続から脱落する確立が低い傾向があったが、有意には至らなかった。
次に、PHV年齢を含む検討したすべての変数で調整後に、身体活動やスポーツ活動からの脱落に関連する因子を抽出。するとまず身体活動の脱落に関しては、性別(女性)、CRF低値、母親が活動的でないこと、父親が活動的でないこと、および友情への否定的な認識が関連因子として残った。続いてスポーツ活動からの脱落に関しては、性別(女性)、CRF低値、および友情への否定的な認識が関連因子として残った。
以上より著者らは、「低いCRFを示した少女や青年は、積極的な行動から脱落する可能性が高かった。親の運動不足と生徒間の友情に対する否定的な認識は、小児期から青年期までの身体活動とスポーツ継続からの脱落率の増加に関連していた」と結論をまとめている。
文献情報
原題のタイトルは、「Identifying children who are susceptible to dropping out from physical activity and sport: a cross-sectional study」。〔Sao Paulo Med J. 2019 Oct 31;137(4):329-335〕
原文はこちら(Sao Paulo Medical Journal)