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「栄養」に「高さ」をプラスして、パフォーマンスを向上し健康を増進する

高地トレーニングは持久系スポーツアスリートにとって一般的。しかしそれをサポートする栄養戦略はあまり研究が進んでいない。高地ではエネルギー可用性が低くなり、鉄需要が増え、潜在的な栄養学的リスク管理の重要性が高い。このような状況において本論文は、これまでの報告をレビューし、高地トレーニングの効果と安全性に役立つ情報を整理している。以下はその抜粋。

「栄養」に「高さ」をプラスして、パフォーマンスを向上し健康を増進する

高地での主要栄養素と水分補給

高地トレーニングにおける栄養学的研究の多くは高高度で実施することを前提に行われてきた。それらの研究の結果、高高度では蛋白質合成の低下、エネルギーや炭水化物代謝回転が変わることが報告されている。一方、より一般的な中程度の高度におけるトレーニングでの栄養学的研究はあまり行われていない。現時点での推奨の多くは推測の範囲にとどまり、さらなる検討が必要。

高地での低酸素および低湿度は、安静時およびトレーニング中の水分消費を増大させると考えられる。気象条件は、各地域と標高、季節、時刻によって異なり、それらの影響を受け水分消費は変化する。よって高地トレーニングに際して水分補給を適切に管理する必要がある。尿量や日々の体重の変化をモニタリングし、トレーニング中およびトレーニング後には水分を積極的に摂取すべき。

エネルギー可用性と高度順応における栄養

エネルギー可用性の低下は、鉄代謝、傷害と疾病、トレーニング適応とパフォーマンスに影響するが、低酸素環境下でのトレーニングにおけるエネルギー可用性の変化や影響は明らかでない。しかしエネルギー可用性が低酸素適応において重要な役割を果たす可能性を示唆する報告がいくつか存在する。

標高7,000mという極端な高高度での動物実験で、ラットはわずか18時間の絶食により低酸素症によるEPO産生が85%低下した。また高所での総ヘモグロビン量の減少がアスリートの傷害や疾病に関連することが報告されている。

高地トレーニングと鉄

中程度の高度への順応に関して注目されている栄養介入法は、鉄である。現在のエビデンスは、高地トレーニングを行うとほとんどのアスリートが低酸素によって総ヘモグロビン量の増加が誘発される一方、毎日約100~200mgの鉄を消費することを示唆している。

低酸素状態において鉄の生物学的利用能を最大化するには、ペプチドホルモンであるヘプシジンの調節を考慮する必要がある。現在、ヘプシジンを標的として鉄剤の効率的な投与方法が模索されている。

一方、過剰な鉄貯蔵は健康への負の影響を及ぼすことから、これらの検討には医師の関与が勧められる。

酸化防止剤

高地トレーニングは抗酸化力の低下と活性酸素窒素種(reactive oxygen and nitrogen species;RONS)の増加により酸化ストレスをもたらす。内因性抗酸化防御システムを超えるRONSの過剰生産は、脂質、蛋白質、DNAに損傷を与え、細胞や免疫機能を損ない、運動後の回復を遅らせる可能性がある。ただし、チームスポーツアスリートを対象とした最近の研究では、断続的な低酸素症の酸化ストレスマーカーへの影響はみられなかった。高度に誘導される酸化ストレスの臨床的意義は明らかではない。

一方で、酸化ストレスに関連し炎症や疾病の増加も報告されている。またエリートアスリートを対象とした低~中等度の高度における免疫学的バイオマーカーへの影響の報告もみられる。よって酸化ストレスへ配慮することは重要であろう。

栄養学的な抗酸化介入について、血漿抗酸化能を上昇させ、高度に誘発された全身性炎症バイオマーカーの上昇を抑制するとの報告もあるが、エリートアスリート集団の高度誘発性酸化ストレスには効果がみられなかった。現状において、特に低〜中程度の高度における高度誘発性の酸化ストレスを抑制するために高用量の単一抗酸化物質の補充を推奨する十分な証拠はない。高高度での適応訓練における抗酸化サプリメントの効果には、さらなる研究が必要。

高地トレーニングへのサプリメントの適用

平地でのパフォーマンス向上のためエルゴジェニックサプリのエビデンスが増加しつつあるのにもかかわらず、高地・低酸素状態での研究はほとんどない。低酸素状態では体内での動態が変化することを考慮すると、エビデンスがより確立されるまでは、平地でのサプリメントのエビデンスの無分別な援用は控えたい。

結論と今後の方向性

高地トレーニングを行う一般的な標高程度での低酸素ストレスは、登山に比べて非常に小さいようにみえるかもしれない。しかし、エリート持久系アスリートの場合、1年の20~25%を高地で過ごすことになる。そのためエネルギー代謝率(RMR)は、標高2,000mで1日あたり約300kcalしか増加しない可能性があるにもかかわらず、年間2万5,000kcalに達する。高度順応を最適化するため、栄養介入を常に検討しパフォーマンス向上につなげていく必要があるだろう。

文献情報

原題のタイトルは、「Nutrition and Altitude: Strategies to Enhance Adaptation, Improve Performance and Maintain Health: A Narrative Review」。〔Sports Med. 2019 Nov 6〕

原文はこちら(Springer Nature)

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