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保健指導では「栄養バランス」よりも「食べる順序」 有効性に有意差

従来、肥満や糖尿病等の患者・対象者に対して、栄養学に基づいた栄養素のバランスを重視する栄養指導が行われてきている。これに対して食べる順序を重視した栄養指導を行ったところ、減量効果が有意に大きく、遵守率も支障なかったとする研究結果が、関西電力医学研究所から報告された。「J Diabetes Complications」誌に論文発表されるとともに、同研究所のサイトにニュースリリースが掲載された。栄養バランスに基づく指導も、その手法を工夫することで減量効果は認められるが有意ではなく、遵守率に課題がみられたという。

保健指導では「栄養バランス」よりも「食べる順序」 有効性に有意差

研究の対象や方法

この研究の対象は、関西電力保険組合に加入し所定の事業所に勤務する従業員のうち、健診結果から糖尿病発症のリスクが高いと判定され、生活習慣改善に向けた保健指導(積極的支援)が必要とされた人たち。従来から行われている食事指導と比較し、「食べる順番」に重点をおいた食事指導や、「栄養バランス」に重点をおいた食事指導の有効性や遵守率を、無作為化比較試験で検証した。

なお、「食べる順番」や「栄養バランス」の指導の詳細は後述する。

被験者の人数は、従来群 11 名、食べる順番群 18 名、栄養バランス群 13 名。おのおの問診ならびに身体測定、採血、食事摂取量の評価を行い、生活習慣改善に向けた30分の保健指導を実施。それとともに食事と運動に関する行動計画をそれぞれ1つずつ決定し、保健指導終了後、被験者から月1回メールにて行動計画の遵守状況を報告させた。

保健指導の6カ月後に再度、問診ならびに身体測定、採血、食事摂取量の評価を行った。

保健指導では「栄養バランス」よりも「食べる順序」 有効性に有意差

(出典:関西電力医学研究所)

結果と展望

保健指導後 6カ月間の体重の変化量は、従来群は増加していたのに対して、食べる順番群と栄養バランス群は減少しており、約1.5kgの差が生じた。そして食べる順番群は従来群に比べ有意な減量効果が認められた。

食事摂取量も、食べる順番群と栄養バランス群はともに、従来群に比べて200kcal/日程度減少していた。

行動計画の遵守に関する点数は、食べる順番群と従来群は同等だったが、栄養バランス群は他の2群に比し有意に低く、栄養バランス主体の指導の遵守の困難さが浮き彫りになった。

なお、空腹時血糖値や HbA1cはいずれの群においても変化量がわずかで、有意な群間差はなかった。これは本研究の対象が糖尿病患者ではなく、保健指導レベルであり血糖異常が軽度であったためと考えられる。

保健指導では「栄養バランス」よりも「食べる順序」 有効性に有意差

(出典:関西電力医学研究所)

結論として著者らは、保健指導において「食べる順番」に重点をおいた食事指導が継続して実践可能かつ減量効果に優れた指導であることが明らかになったとまとめている。また、「今回の研究は比較的小集団を対象に6カ月間という短期間で行われた検討であり、より大きな集団を対象に長期介入研究を行うことで、「食べる順番」に重点をおいた食事指導の減量効果や遵守率に関する検証のみならず、糖尿病の発症予防や重症化抑制についても検討を進めていきたい」と述べている。加えて「栄養素バランス」に重点をおいた食事指導については「遵守率を向上させることで減量効果を発揮しうる可能性が示唆された。指導内容を理解し実践しやすくする工夫を行っていく」という。

「食べる順番」に重点をおいた食事指導の内容

近年、食後高血糖や体重増加を是正する方法として、「食べる順番」に配慮した食事療法が注目されている。本研究における食べる順番」に重点をおいた食事指導は、摂取エネルギー量や栄養バランスに関する一般的な内容に加えて、以下の方法で行った。

食事開始後、少なくとも5分間は食物繊維を含む食品(サラダ等)や、タンパク質、脂質を含む食品(魚料理など)を食べ、その後、炭水化物を含む食品(米飯など)を、食物繊維を含む食品やタンパク質、脂質を含む食品と一緒に食べる。日々の生活の中で食べる順番に配慮した食事を実践するためのランチョンマットと砂時計を貸与する。

保健指導では「栄養バランス」よりも「食べる順序」 有効性に有意差

(出典:関西電力医学研究所)

炭水化物より先に食物繊維を含む食品をとることは、消化管からの糖吸収を抑制し食後高血糖や体重増加を是正するとされている。また炭水化物より先にタンパク質や脂質を含む食品をとることは、GLP-1の分泌を促し食後高血糖を是正することが示されている。さらにGLP-1 には食欲抑制効果があるため、長期的な減量効果も期待できる。このような背景から、「食べる順番」を日々の生活で実践することで、食後血糖の是正のみならず、適正体重の維持が可能になり、さらには糖尿病の発症予防が期待可能とされている。

一方、「栄養バランス」に重点をおいた食事指導については、栄養に関する一定の知識を必要とするため継続に困難を伴う。今回の研究では「栄養バランス」に重点をおいた食事指導を簡便に行える方法として、チェック表(紙媒体)を配布するなどの工夫を行ったが、前述のように遵守率に課題が残った。

保健指導における「食べる順番」に重点をおいた食事指導の有効性を証明(関西電力医学研究所)

文献情報

論文のタイトルは「Dietary instructions focusing on meal-sequence and nutritional balance for prediabetes subjects: An exploratory, cluster-randomized, prospective, open-label, clinical trial」。〔J Diabetes Complications. 2019 Oct 19:107450〕

原文はこちら(Elsevier)

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