音楽を聴きながらトレーニングすると「やる気」が出てパフォーマンスが向上する!
音楽とともにトレーニングをすると、ピークパワーや心拍数がより向上することを証明した論文が発表された。さらに心理的にも有意な好影響を及ぼすことが確認されたという。発表された論文のタイトルからして、「Let's Go:Psychological,psychophysical,and physiological effects of music during sprint interval exercise(さあ始めよう。スプリントインターバルエクササイズ中の音楽の心理的、精神物理的、生理学的効果)」という何とも躍動感がみなぎるものだ。
スプリントインターバルトレーニング(SIT)はトレーニング効果の時間効率が良く、アスリートのみでなく、ふだん活動的でない人が実践した場合においても健康上のメリットを期待できる。ただし、ふだん活動的でない人が継続する上で大きな問題となりやすい欠点は、人々がそれを継続することに負担を感じることが多いという点だ。この点に着目した本論文の研究者らは、SITの最中に実践している人の'やる気'を高めるため、音楽を用いることを着想し検討を行った。
研究の対象は、SITの経験が少ない非活動的な24名の成人。男性・女性各12名で、平均年齢は24.08±4.61歳。やる気を起こさせる音楽、またはポッドキャストの制御による任意の音声、および音声なし状態という3つ条件をランダムに設定し、それぞれの条件下でSITトライアルを実施した。SITトライアルは、20秒間のオールアウトを3回で、間に2分間の回復時間を挟んだ。
結果をみると、まず運動後の心理的な喜びは、音楽条件のスコアがポッドキャスト条件や音声なし条件より有意に高かった(ともにp=0.04)。そしてSITトライアル中の心拍数も、音楽条件においてポッドキャスト条件(p=0.02)や音声なし条件(p=0.03)より有意に多く、さらにピークパワーについても同様に有意な結果が得られた(同順に、p=0.02、p=0.01)。
またSITトライアルに対する情動反応についても、音楽条件を音声なし条件と比較した場合、前者において有意にポジティブであり(p=0.03)、ポッドキャスト条件との比較においても有意には至らなかったが同様の傾向がみられた(p=0.11)。
以上の結果から著者らは、「音楽を聴きながらSITを行うことは、ふだんあまり活動的でない人の喜びを高め、楽しみを増加させ、SITのパフォーマンスを向上させる可能性がある。それらの影響の結果として、人々がこのタイプの運動を継続していくことにつながるのではないか」と結論をまとめている。
今回の検討は非活動的な成人を対象としたものであるが、アスリートを対象とした検討の場合にも同様の結果が報告されることが期待される。
文献情報
原題のタイトルは前述したとおり、「Let's Go: Psychological, psychophysical, and physiological effects of music during sprint interval exercise」。〔Psychology of Sport and Exercise 45, November 2019〕