朝食を欠食すると摂取エネルギー量は少ないが肥満が増える。身体活動との関連は限定的
世界的に肥満が増加しており、その対策として肥満になってからの減量に加え、若年期からの一次予防の重要性が指摘されている。近年、若年層では朝食を欠かさずに食べる人はエネルギー摂取量が多いにもかかわらず、BMIが低いことが報告されている。
この理由として、恐らく朝食の摂取エネルギー量が制限されているからではなく、消費エネルギー量が亢進していることによる可能性が考えられる。実際に朝食の摂取と身体活動および体力との間に正の関連性を認めたとする複数の報告がある。ただし、消費エネルギー量を検討した研究は少ない。そこで本論文の著者らは、若年者を対象に、朝食の摂取と肥満対策、身体活動の関係を調査した。クロアチアからの報告。
クロアチアの思春期層を対象とした横断研究の登録者から無作為に抽出した学生のうち、調査に同意し参加した802名(15.2~16.0歳、男子52%)が被験者。食事摂取状況は訓練を受けたインタビュアーが面接し評価した。朝食については朝10時までに食べた250kcal以上の食事とした。これはクロアチアでは1日の総摂取エネルギー量の10%以上を占めるものがスナックではなく食事と定義され、青少年の摂取エネルギー量は推定2,500kcal/日であるため。また身体活動レベルは学校保健行動計画評価システムの調査票を用いて評価した。
さて結果だが、まず対象の39.5%が朝食を欠食していることがわかった。総摂取エネルギー量は、朝食を摂取している群のほうが多かった(男子:2,544 vs 1,915kcal/日,p<0.001、女子:1,726 vs 1,372,p<0.001)。一方、BMIは朝食を摂取する群のほうが低く(同順に、21.5±3.2 vs 22.4±4.2,=0.022、女子:20.8±3.1 vs 22.2±3.1,p<0.001)、体脂肪率も同様だった(16.1±7.7 vs 16.2 ±8.9%,p=0.011、23.0±4.1 vs 24.7±4.1,p<0.001)。
朝食を摂取している群のほうが有意に摂取エネルギー量が多いにもかかわらず、女子の肥満の有病率は朝食摂食群のほうが有意に低かった(9.7 vs 19.3%,p<0.001)。男子については朝食摂食群のほうが肥満有病率が低かったが有意水準にわずかに至らなかった(15.5 vs 18.6%,p=0.058)。
中等度以上の身体活動(moderate-to-vigorous physical activity; MVPA)、非活動時間、および睡眠時間は、女子において朝食欠食群のほうが睡眠時間が有意に少なかった(7.21±1.56 vs 7.55±1.65,p=0.041)以外は群間差はなかった。
朝食摂取の有無と肥満の関係への身体活動量の関与を分析するため、MVPAを三分位に分けて解析すると、男子のMVPA最高分位(最も活動的な群)でのみ、朝食の摂取と肥満有病率の低下に有意な関係が認められた(p=0.04)。このことについて著者らは、「朝食摂取は、活動量が多い男子のみで肥満抑制の調整効果を発揮することを意味する結果」と解説し、「対象者をより増やし、より客観的に身体活動を評価する将来的な研究が必要」とまとめている。
文献情報
原題のタイトルは、「Obesity in Adolescents Who Skip Breakfast Is Not Associated with Physical Activity」。〔Nutrients. 2019 Oct 18;11(10). pii: E2511〕