サイクリングは運動量に関わらず心血管疾患死亡率の低下と関連
健康志向の高まりともに、余暇にサイクリングを楽しんだり、通勤に自転車を用いたりする社会人が増えている。そんな一般市民に朗報と言えるリサーチ結果が報告された。コホート研究の系統的文献検索から、サイクリングは心血管疾患(CVD)による死亡率の低下と関連していることが明らかになったという。この結果は、Br J Sports Med の電子版に5月31日、先行掲載された。
本研究では、Web of Science、MEDLINE、SPORTDiscus、Scopus、以上4つのデータベースから、2017年8月までに発表されたサイクリング(交通手段として評価した報告も含む)とCVD 発生率、死亡率、および危険因子数に関する論文を検索。サイクリングにウォーキングを併用した研究は除外した。
抽出された21件の報告を基に、サイクリング実施群のCVD 発生率、死亡率、および危険因子数をサイクリング非実施群と比較すると、相対リスク比は0.78(95%CI:0.74-0.82,p<0.001,I2=58%)と有意に低値だった。CVDの発生率、死亡率それぞれの相対リスク(RR)は、以下の通り。CVD発生率RR 0.84(95%CI:0.80-0.88,p<0.001,I2=29%)、死亡率 0.83(95%CI:0.76-0.90,p<0.001,I2=0%)。また危険因子数のオッズ比は0.75(95%CI:0.69-0.82,p<0.001,I2=66%)だった。これの関連性に、用量反応関係や性差は認められなかった
著者らは、「身体的不活発はCVDの危険因子であり、身体活動としてのサイクリングは、CVDを予防する大きな可能性を秘めている。本検討から、どのような形態のサイクリングもCVDリスクの低下と関連しているとみられるため、健康増進のための身体活動としてサイクリングを勧める」と述べている。
原題のタイトルは「Cycling is associated with a lower incidence of cardiovascular diseases and death: Part 1-systematic review of cohort studies with meta-analysis」。〔Br J Sports Med. 2019 May 31 [Epub ahead of print]〕