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摂食障害に正しい理解を 若年女性は健康障害リスクの認識が低い

ダイエット経験者の3割が「体力の低下」「貧血・立ちくらみ」などのトラブルを経験したことがあることや、ダイエットに伴う健康障害についての理解度はダイエット未経験者、特に10代の若年層において低いことか明らかになった。美容サロン大手の(株)ミュゼプラチナム(東京都渋谷区)と一般社団法人摂食障害協会が、6月2日の世界摂食障害アクションデイにあわせて共同で行ったアンケート結果によるもの。

摂食障害に正しい理解を 若年女性は健康障害リスクの認識が低い

このアンケートは、2019年1月19日~2月28日に、ミュゼプラチナム会員の10〜50代の女性4,125名を対象に、インターネット上で行われた。主な結果は以下の通り。

ダイエット経験者の31.12%がトラブルを経験

ダイエット経験者の31.12%がトラブルを経験したことがあり、その内容の1位は「月経の乱れ・無月経(25%)」、2位は「体力の低下など(19%)」、3位は「貧血・立ちくらみなど(11%)」だった(図1)。

図1 ダイエットによるトラブル

ダイエットによるトラブル

ダイエットに伴う健康障害に対する認識を、回答者全体の平均点(83点)より高い人を「認識度が高い」と判定し、年層別に比較すると、10代は38.58%、20代50.79%、30代50.34%、40代44.51%、50代47.66%で、10代が最も低かった(図2)。また、ダイエット経験の有無での比較では、ダイエット経験ありでは健康障害の認識度が高い人の割合が51.37%であるの対し、ダイエット経験なしでは42.57%だった。

図2 ダイエットに伴う健康障害に対する認識が高い人の割合(年代別)

ダイエットに伴う健康障害に対する認識が高い人の割合(年代別)

このような、10代の若年者で健康障害の認識が乏しいという結果は、歯や月経に関する質問からも示された。

10代への健康啓発が必要

例えば、「骨密度が低い人は、通常の歯科用インプラントが施術できなくなることもある」という設問を「正しい」と正答したのが10代では45.32%、「やせすぎの人では、筋肉量が減り代謝が低下するのでかえって太りやすい体質になる」は47.57%、「意図的な嘔吐を繰り返すと歯が溶ける」は49.44%であり、いずれも10代では正答率が50%を下回った(前記の質問の回答はすべて「正しい」)。

さらに、「やせすぎで無月経になったとしても、体重さえ回復させれば月経もすぐに再開する」という問いに、20~40代は70%以上が「間違っている」と正答したのに対して、10代は60.30%と正答率が低かった(図3)。

図3 「やせすぎで無月経になったとしても、体重さえ回復させれば月経もすぐに再開する」の正答率(年代別)

「やせすぎで無月経になったとしても、体重さえ回復させれば月経もすぐに再開する」の正答率(年代別)

これらより、将来のQOLに大きな影響を及ぼしかねないダイエットに伴う健康障害のリスクを、10代の早い段階から情報提供していく必要性が示唆された。

関連情報

ミュゼ女性会員約4,000名を対象にした共同調査「やせやダイエットによる健康障害の認識度調査」発表(プレスリリース)

スポーツと摂食障害

スポーツと摂食障害も無縁でない。体型が細身であることや体重が軽いことが記録に結び付くと考えられやすい、陸上、体操、アイススケートなどの競技では、若い女性アスリートの間で「アスリートの3主徴」と呼ばれる、やせ、無月経、骨折が多く、摂食障害の有病率は一般女性の3倍に上るという。

さらに、軽量化や無理な体重制限の指導により、本来のパフォーマンスを発揮できずに若くして引退してしまうアスリートも多い。日本代表として国際大会で活躍したアスリートが摂食障害で苦悩した最近の事例も報道されている。

アスリート本人だけでなく、アスリートを支える指導者にも摂食障害に関する、一層の正しい理解が求められていると言える。

関連情報

スポーツにおける摂食障害 ハイパフォーマンスアスリートの援助をする方々のためのガイドラインフ レームワーク(PDF)
英国政府が援助するスポーツ競技者のための組織UK Sportが発行した『Eating Disorders in Sport』(スポーツにおける摂食障害) の日本語訳。

世界摂食障害アクションデイとは

「世界摂食障害アクションディ2019 -World Eating Disorders Action Day-」は、摂食障害で苦しむ人やその家族、研究者、支援者らが国境を越えて団結し、摂食障害の啓発と支援を世界中で同時に行う活動。本年6月2日には、国内においても講演会等のイベントが開催された。

現在、世界には約7,000万人の摂食障害患者がいると推計されており、国内でも急増していることが報告されている。軽症を含めると、若年女性の約1割が拒食症や過食症などの摂食障害の症状をもっているとも言われており、適切な検査や治療の機会が提供されない場合、身長が伸びない、骨粗鬆症、歯の喪失、妊娠や出産への影響等に止まらず、命に関わる合併症も起こり得る。

関連情報

世界摂食障害アクションデイ(一般社団法人日本摂食障害協会)

SNDJ特集「相対的エネルギー不足 REDs」

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