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不適切な鉄剤注射の防止でガイドラインを策定、新規約も適用 日本陸上競技連盟

2019年05月31日

公益財団法人 日本陸上競技連盟(以下、陸連)は30日、「不適切な鉄剤注射の防止に関するガイドライン」を策定・公表した。また、鉄剤注射剤不適切使用を根絶するため、競技会出場選手の血液検査の結果報告を求めるなど、新規約の適用を開始する。

陸連 不適切な鉄剤注射の防止でガイドラインを策定、新規約も適用

ガイドラインでは、まず注射剤に生ずる鉄中毒の重篤性を強調している。具体的には急性毒性として頭痛、悪寒発熱、吐下血、肝機能・腎機能障害、血圧低下、昏睡、ショック状態などがあり、慢性毒性として心臓・内分泌障害、皮膚色素沈着、糖尿病、性機能低下、真菌症、不整脈などを挙げている。

続いて、鉄欠乏状態を招く一因として体重コントロールのための不適切な食事制限があること、鉄欠乏には血液検査が必須であること、治療の第一選択は経口鉄剤であること、注射剤の適応は限定的なことを述べ、「不適切な鉄剤注射の根絶を目指す」としている。また、不適切な鉄剤注射があとを絶たない背景に、鉄摂取量の不足を招く食事制限と、鉄損失を招く過度なトレーニングがあり、特に女性においてエネルギー摂取不足による無月経と骨粗鬆症が問題になっていることを強調している。

このような事態に対し陸連ではすでに2016年段階で「アスリートの貧血対処7か条」を公表し、陸上競技指導者と競技者に向けて安易な鉄剤注射に対する警告を発している。しかし最近、特に中学生や高校生の中・長距離走を専門とする競技者に鉄剤注射が安易に行われている事実が明らかとなった。この状況に対し、アスリートファーストの考え方や、若年期競技者の健康保持の観点から、改めてガイドラインを策定し公表した。

同時に陸連では、不適切な鉄剤注射の根絶のため新ルールの適用を開始した。新ルールは以下の4項目からなる。

  1. 2019年度の全国高等学校駅伝競走大会から、男女出場全チームに選手の身体計測データ及び血液検査の結果報告を求める
  2. 鉄剤注射を実施している場合、その理由等が書かれた申告書の提出を求める
  3. 虚偽申告や不申告、血液検査の結果で異常値が認められるチームがあれば、ヒアリングを実施する
  4. ヒアリングによる現状確認によって問題があると判断された場合、健康上、安全上の理由でチームの出場停止、順位の剥奪等を言い渡す可能性がある

これらのほか、必要な方策を随時検討し、追加・見直していくという。

なお、ガイドラインの策定にあわせ、陸連ではそのエッセンスを抽出しわかりやすくまとめた「不適切な鉄材注射の防止に関するリーフレット」も作成・公開している。

関連情報

日本陸上競技連盟公式サイト
不適切な鉄剤注射の防止に関するガイドライン(日本陸上競技連盟)
不適切な鉄材注射の防止に関するリーフレット(日本陸上競技連盟)

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