余暇時間の身体活動に応じて死亡リスクがより低下する
余暇時間に行う適度な身体活動と健康増進との関連は豊富なエビデンスがあるが、どの程度の身体活動まで有益性が得られるのかは明らかになっておらず、弊害があるとする報告もある。こうした中、身体活動は多ければ多いほど好影響を及ぼす可能性が、米国の成人8万8,140人を対象とするコホート研究(追跡期間中央値9.0年)から示された。
週に10分から1時間未満のウォーキングや庭いじり等をするだけでも、それらをしない人に比べて全死亡リスクが有意に低下していた(ハザード比0.82)。身体活動時間が週に150~299分の場合は全死亡リスクのハザード比(HR)0.69、さらに1,500分以上というガイドイランが推奨する最小値の10倍以上の運動量でもHR0.54となり、身体活動量が多いほど全死亡のリスクがより低下する関係が認められた。
死因別にみた場合、がん特異的死亡率は、週あたりの身体活動時間が10~59分でHR0.86、60~149分で0.84、150~299分で0.76、300~449分で0.85、450~799分で0.71、800~1499分で0.65、1500分以上で0.53であり、段階的に低下していた。一方、心血管特異的死亡率は同順に0.88、0.76、0.63、0.64、0.64、0.74、0.67で、5時間より多い場合のさらなるリスク低下は認められなかった。
著者らは、本研究が観察研究であることから因果関係を述べることはできないという限界に触れつつ、「余暇時間により高い身体活動をすることが、さらなる健康上の利益につながる可能性がある」と結論している。
原題のタイトルは「Beneficial associations of low and large doses of leisure time physical activity with all-cause, cardiovascular disease and cancer mortality: a national cohort study of 88,140 US adults」。〔Br J Sports Med. 2019 Mar 19.〕
関連情報
British Journal of Sports Medicine