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10年後は7億5千万人超? 小児肥満予防のための「最初の1,000日」戦略 欧州共同研究の提言

欧州連合(EU)がHorizon 2020研究・イノベーションプログラムの一環として資金提供している国際共同研究「EndObesity」コンソーシアムは、「小児肥満予防のための最初の1,000日の戦略」として、ナラティブレビューの結果と推奨事項を公表した。要旨を紹介する。

10年後は7億5千万人超? 小児肥満予防のための「最初の1,000日」戦略 欧州共同研究の提言

10年後には世界の7億5千万人以上の子どもが肥満・過体重になる

世界肥満連盟(World Obesity Federation)によると、今から10年後の2035年までに、世界の5~19歳の人口のうち7億5,000万人以上が肥満または過体重になると予測されている。小児肥満は成人肥満へと移行しやすく、成人後の心血管代謝疾患の増加と早期死亡、および社会的コストの増大につながることから、小児肥満の予防戦略の確立が急がれている。しかしそのための知見は十分でない。

これを背景に、欧州連合(EU)は、過去最大規模の研究開発支援プログラムであり、基礎研究から社会実装までを一貫して支援する枠組み「Horizon 2020研究・イノベーションプログラム」の一環として、「EndObesity」コンソーシアムという欧州共同研究体を設立。妊娠成立前から若年成人期を対象とする多数の観察研究や介入研究が続けられている。

小児肥満の予防研究、実践、そして政策提言という三つの領域のステートメント

今回取り上げる論文は、このEndObesityコンソーシアムで得られた知見を統合し、小児肥満を予防するための現時点でのステートメントを掲げたもの。全体として、研究のための推奨事項、実践のための推奨事項、政策提言という三つの領域にわたるステートメントがまとめられている。以下はその抜粋。

研究のための推奨事項

予測戦略

予測モデルの改善
オミックス駆動型データなどの高度なバイオマーカーや人工知能ベースのアプローチなどの高度なモデリング手法を使用して、小児肥満の早期予測モデルの予測精度を向上させることに重点を置く必要がある。
臨床応用のための予測ツールの開発とその評価
予防戦略とコミュニケーションのヒントを統合した予測ツールの開発と実装を目標とし、続いて有効性とプロセスの評価を行う必要がある。

介入戦略

父親のライフスタイル
現在の研究は主に母親の要因に焦点を当てているため、父親のライフスタイル要因とそれらが小児肥満に与える影響を具体的に調査する必要がある
複合的なライフスタイル要因と多行動介入の活用に関する包括的研究
生後1,000日間におけるさまざまな親のライフスタイル要因(BMI、喫煙、食事の質、身体活動など)が小児肥満に及ぼす複合的な影響を調査することに焦点を当てるべき。
因果関係の理解
観察研究で把握された関連性の因果関係を検証するランダム化比較対照ライフスタイル介入試験を行うべき。
ソーシャルネットワークの組み込み
ソーシャルネットワークを組み込むことで介入の成功率が向上する可能性があるため、研究ではその影響を調べる必要がある。
タンパク質摂取量とタンパク質含有量の少ない粉ミルクが小児肥満に与える影響の評価
成長と健康アウトカムに最適なタンパク質レベルと、幼児期の摂食戦略の改善による潜在的な長期的メリットの特定を目指す。

実装戦略

利害関係者の意見を取り入れる
介入の設計、実施、評価において研究者は、プログラムを家族のニーズに合わせて調整し、医療専門家、公衆衛生関係者、産業界などの利害関係者を関与させる必要がある。

実践のための推奨事項

予測戦略

予測ツールの導入
医療従事者は、生後間もなく過体重または肥満のリスクが高い乳児を特定するための、使いやすい予測ツールを活用することでメリットを享受できる。

介入戦略

包括的な家族ベースの介入
妊娠前から幼児期まで、家族ベースのライフスタイル要因を対象とした、複数セッションのグループ教育プログラムと多層的な介入の提供を促進する。
地域・家族支援プログラム
健康的なライフスタイルを実践し、維持できるよう家族を支援する地域密着型のプログラムが有益となる可能性がある。
健康介入における構造的障壁への対処
健康介入を設計および実施し、特定の家族や社会の状況に合わせて予防策を適応させる際に、失業、低所得、低教育レベル、恵まれない環境などの構造的障壁を考慮する。

実装戦略

医療従事者の研修
最初の1,000日間の重要性と小児肥満予防に関する継続的な研修は、医療従事者が、人生の初期から家族を効果的に支援し長期的な健康を促進するために必要な知識とスキルを身に付けるために不可欠。
あらゆる接触を予防に活用する
出産前および出産後のケア、健康に関する連絡、育児サービス、幼稚園、学校、子育てプログラムなど、生涯を通じて予防と介入の機会を統合する。

政策提言

予測戦略

定期的なスクリーニングとモニタリングをサポート
標準的な出生前ケアの一環として、最初の1,000日間に親の健康状態とライフスタイル要因を定期的にスクリーニングおよびモニタリングすることを奨励するポリシーを提唱する。

実装戦略

早期介入への資金提供
妊娠前または妊娠初期に開始される早期ライフスタイル介入を支援し、適切な追跡期間を確保するために十分な資金を割り当てるべきである。
リソースとサービスへのアクセスをサポート
ジムの会員費補助、栄養カウンセリング、禁煙プログラムなど、家族の健康的なライフスタイルの選択を促進するリソースとサービスへのアクセスをサポートするポリシーを推進する。
人口全体の予防イニシアチブを作成する
個人のアプローチを補完する人口全体の予防戦略とイニシアチブを作成することにより、焦点を個人の責任から社会的説明責任に移す。

文献情報

原題のタイトルは、「First 1000 Days Strategies to Prevent Childhood Obesity: A Narrative Review and Recommendations From the EndObesity Consortium」。〔Pediatr Obes. 2026 Jan;21(1):e70060〕
原文はこちら(John Wiley & Sons)

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