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家庭環境や近隣の社会経済的地位が子どものスポーツ実施率や種類と関連 東京・京都の小学生546人と親を調査

国内の小学生における、家庭および近隣の社会経済的地位と、スポーツへの参加状況との関連を解析した結果が、「Sports」に掲載された。東京家政学院大学人間栄養学部の田中千晶氏らの研究によるもので、母親が専業主婦またはパートタイムの場合に子どもがスポーツに参加しているオッズ比が有意に高く、近隣の社会経済的地位が子どものサッカーや野球の参加状況と有意に関連していることなどが示されている。

家庭環境や近隣の社会経済的地位が子どものスポーツ実施率や種類と関連 東京・京都の小学生546人と親を調査

日本の子どもたちのスポーツ参加は、社会経済的地位(SES)と関係があるか?

所得や教育歴、就業状況などによって評価される社会経済的地位(socioeconomic status;SES)と健康状態との関連のエビデンスが蓄積され、健康格差の是正には社会的な不平等の是正が必要と考えられるようになった。さらに海外の高所得国に関するメタアナリシスからは、SESの高い世帯や地域に住む子どもはスポーツを実施している傾向があり、より低年齢の子どもではその関連が強いことも報告されている。

しかし、日本国内では、親の教育歴と子どもの運動時間との関連については報告があるものの、親の就業状況や居住環境のSESとの関連は、十分検討されていない。また、SESと子どもの継続したスポーツ参加や子どもが行っているスポーツの種類との関連については、ほとんど調査されていない。以上を背景として田中氏らは、国内の小学生のスポーツ実施状況と、家庭および近隣のSESとの関連を探る研究を行った。

東京と京都の小学生546人とその親を対象に調査

この研究の対象は、東京23区内と京都市内の公立小学校(それぞれ7校)の児童546人(女児280人、男児266人)と、その母親440人、父親266人。子どものスポーツ実施状況を調査。子どもが週に1回以上、組織化されたスポーツに参加している場合を、「スポーツを行っている」と定義した。参加しているスポーツの種類、および幼児期からの継続的なスポーツ参加の有無を調査した。

SESについては、母親と父親の就業状況、教育歴、および小学校から半径4km以内の平均世帯収入(国勢調査等に基づくデータ)によって評価した。

母親の就労状況が子どものスポーツ参加と有意に関連

スポーツに参加している割合は、女児が66.9%、男児は77.6%だった。スポーツの種類(競技)別にみると、水泳の実施率が37.4%と最も高く、次いでサッカーが10.5%であり、体操7.8%、野球6.9%などが続いた。

母親が専業主婦やパート勤務の家庭の子どもはスポーツ参加が多く、とくに男児で関連が有意

評価した社会経済的地位(SES)のうち、母親の就労状況については子どものスポーツ参加状況と有意な関連が認められた。具体的には、母親がフルタイム勤務の子どもを基準として、専業主婦ではオッズ比(OR)2.91(95%CI;1.49~5.68)、パートタイムではOR2.90(1.44~5.82)だった。それに対して自営業ではフルタイム勤務と有意差がなかった。

母親の教育歴、父親の就労状況と教育歴、および近隣の世帯収入に関しては、子どものスポーツ参加状況と有意な関連がみられなかった。

これらを子どもの性別で分けて解析すると、男児については全体解析と同様の傾向が認められた。それに対して女児については、この関連は見られなかった。しかし、継続的なスポーツ参加については、女子のみ、母親が大卒以上の子どもと比較して、短期大学・専門学校卒(OR0.27〈0.08~0.91〉)あるいは中学・高卒以下の子ども(OR 0.25〈0.06~0.99〉)で、スポーツの継続参加率が低かった。

スポーツの種類(競技)別の解析結果

次に、スポーツに参加している子どもにおいて、そのスポーツの種類(競技)別に解析が行われた。有意な関連が示された項目は以下のとおり。

水泳に関しては、母親の就労状況が専業主婦(OR2.43〈1.19~4.98〉)、パートタイム(OR2.36〈1.12~4.96〉)の場合に子どもの参加が多く、反対に母親の教育歴が中学・高校卒の場合に少なかった(大学卒を基準としてOR0.49〈0.26~0.96〉)。

サッカーに関しては、母親の就労状況がパートタイム(OR5.19〈1.05~25.70〉)の場合に子どもの参加が多く、近隣の世帯収入が低い場合に少なかった(3群に分類し最も世帯収入が高い地域を基準として、OR0.39〈0.18~0.86〉)。

体操に関しては、父親の教育歴が中学・高校卒の場合に子どもの参加が多かった(OR5.16〈1.03~25.88〉)。また、近隣の世帯収入が中レベルの場合に多かった(OR2.96〈1.24~7.06〉)。

バレエに関しては、母親の教育歴が短大・専門学校卒の場合に子どもの参加が少なかった(OR0.07〈0.01~0.56〉)。

野球に関しては、近隣の世帯収入が中レベルの場合に子どもの参加が多く(OR3.02〈1.12~8.14〉)、近隣の世帯収入が低い場合にも、有意ではなかったものの参加が多い傾向があった(OR2.77〈0.99~7.76〉)。

子どもたちが公平にスポーツへ参加できる環境づくりに向けて

著者らは、本研究の対象が都市部の公立小学校のみであること、親の収入を評価していないことなどを限界点として挙げたうえで、「母親の就労状況と教育歴が、子どものスポーツ参加と強く関連している。また、子どもの性別やスポーツの種類によって、これらの関連に差異が認められた」と総括し、「これらの関連を理解することが、スポーツ参加の格差を減らし、子どもたちがスポーツに参加する公平な機会を提供するための政策立案に役立つのではないか」と述べている。

なお、母親が専業主婦またはパートタイム勤務の家庭で、子どものスポーツ参加率が有意に高いという点について、「そのような就労状況では、フルタイム勤務や自営業の母親に比べ、子どもをスポーツ施設へ送り迎えする時間をとりやすいためではないか」との考察が加えられている。一方、近隣の世帯収入が低い場合に子どものサッカーへの参加が少なく、野球への参加が多いという結果については、「どちらも球技であるにもかかわらず、逆の傾向が観察された。その理由は、現状で入手可能な情報からの考察は困難」とのことだ。

文献情報

原題のタイトルは、「Relationship Between Socioeconomic Status and Organized Sports Among Primary School Children: A Gender-Based Analysis of Sports Participation」。〔Sports (Basel). 2025 May 28;13(6):165〕
原文はこちら(MDPI)

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