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筋トレ中の男性における5日間のクレアチン摂取で筋持久力が向上 ベンチプレスの反復回数と作業量が増加

筋力トレーニングを行っている男性が、高用量のクレアチンを5日間摂取することで、筋持久力が上昇したとする研究結果を紹介する。ブラジルで行われた研究で、昨年論文が発表された。

筋トレ中の男性における5日間のクレアチン摂取で筋持久力が向上 ベンチプレスの反復回数と作業量が増加

日常的に筋トレを行っている男性対象の研究

この研究は、日常的に筋力トレーニングを行っている18~30歳の健康な男性12人を対象に実施された。参加者全員が適格条件である、過去3年以上の筋トレ歴があり、過去3カ月以内にサプリメントや同化ステロイドを使用していないことを満たしていた。

主な特徴は、年齢25.2±3.4歳、体脂肪率14.8±6.0%、骨格筋量41.8±4.0kgで、筋トレ歴は5.9±3.1年でトレーニング頻度は5.0±0.6回/週、1回あたり64.2±17.8分であって、ベンチプレスでの1RM(1回だけ施行可能な最大負荷量〈one repetition maximum〉)は106.8±10.6kgだった。

20gのクレアチンまたはプラセボを5日間摂取して比較

研究デザインは無作為化プラセボ対照クロスオーバー二重盲検法で、研究参加者、および結果判定者以外の現場スタッフには、クレアチンかプラセボか分からないように盲検化したうえで、参加者の半数はクレアチン、他の半数はプラセボを5日間摂取。30日のウォッシュアウト期間をおいて、割り付けを変更したうえで5日間、プラセボまたはクレアチンを摂取してもらった。

クレアチン摂取条件では、クレアチン一水和物20gとマルトデキストリン10g、計30gを4分し7.5gとして、400mLの水とともに1日4回摂取。プラセボ摂取条件では、とうもろこしでんぷん20gとマルトデキストリン10g、計30gを4分し7.5gとして、400mLの水とともに1日4回摂取することとした。

参加者には試験期間中、食事・運動習慣を変更しないことを求めた。また、筋力への影響の評価日の前日に24時間の食事記録をつけてもらい、栄養士が栄養素摂取量を評価した。

評価項目は、最大筋力(ベンチプレスでの1RM)、筋持久力(70%1RMで施行不能に至るまでの反復回数)、総作業量(負荷強度×反復回数)、血中乳酸値、自覚的運動強度(rate of perceived exertion;RPE)、疲労指数(fatigue index;FI)、活力と疲労の状態(ブルネル気分尺度)などとした。

では、結果をみていこう。

短期間のクレアチン摂取で筋持久力は向上するが最大筋力は変わらない

クレアチン条件で筋持久力が有意に向上

総反復回数は、クレアチン条件では摂取前の23.8±7.9回に比べて摂取後は27.3±5.4回と+14.7%有意に増加していた(p=0.036、効果量〈g〉=0.52)。その一方、プラセボ条件では摂取前が25.1±6.9回、摂取後が25.4±7.1回で変化は+1.2%であり非有意だった(p=0.414、g=0.06)。変化量の絶対差については、クレアチン条件は3.4回でプラセボ条件は0.3回であり前者が高値だが、この比較では有意でなかった。

総作業量は、クレアチン条件では摂取前の1,791±592.4au(任意単位)に比べて摂取後は1,991±395.4auと+11.1%有意に増加していた(p=0.038、g=0.52)。その一方、プラセボ条件では摂取前が1,848±422.9au、摂取後が1,875±450.1auで変化は+1.4%であり非有意だった(p=0.402、g=0.07)。変化量の絶対差については、クレアチン条件は199.5auでプラセボ条件は26.7auであり前者が高値だが、この比較では有意でなかった。

最大筋力は有意な変化なし

次に、ベンチプレスでの1RMで評価した最大筋力への影響をみると、クレアチン条件では摂取前が106.8±11.7kg、摂取後が107.0±11.5kgであり、+0.2%の変化であって統計的に非有意だった(p=0.688)。同様にプラセボ条件も、摂取前が107.8±11.7kg、摂取後が105.3±10.2kgであり、-2.3%の変化であって統計的に非有意だった(p=0.219)。

このほかに評価した、血中乳酸値、自覚的運動強度(RPE)、疲労指数(FI)、活力と疲労の状態に関しては、いずれも条件間に有意差が認められなかった。なお、食事摂取量は、エネルギー量(p=0.263)、炭水化物(p=0.167)、タンパク質(p=0.466)、脂質(p=0.225)のいずれも条件間に有意差がなかった。

筋持久力が向上することでトレーニング量が増え、筋肉量が増えるのではないか

以上より論文は、日常的に筋トレを行っている男性においても、5日間にわたりクレアチンを1日あたり20gと高用量摂取することで、筋持久力が向上することが示されたが、最大筋力は有意な変化が認められなかったとまとめられている。ただ、考察において以下のように、介入をより長期とすることで筋力にも有意な変化が生じる可能性を記載している。

すなわち、本検討もそうであるように、研究においては1RMを評価したうえで負荷を調節するが、一般的な筋トレのシーンにおいて1RMテストに基づいて負荷を設定することはあまりなく、通常は負荷量が任意とされるため、筋トレ効果は反復回数と総作業量によって規定される。よって、クレアチン摂取により筋持久力が向上し反復回数と作業量が増加した状態で長期的に筋トレが行われれば、結果的に筋肥大につながると考えられるという。

文献情報

原題のタイトルは、「Short term creatine loading improves strength endurance even without changing maximal strength, RPE, fatigue index, blood lactate, and mode state」。〔An Acad Bras Cienc. 2024 May 10;96(2):e20230559〕
原文はこちら(Academia Brasileira de Ciências)/

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