女子学生アスリートは食事の質が高い一方で睡眠の質が低い 学業との両立が影響か?
女子学生アスリートの食事・習慣、クロノタイプ、ボディーイメージへの不満を、スポーツを行っていない女子学生と比較検討した研究結果を紹介する。アスリート学生は食事の質は高い一方、睡眠の質は低いことなどが示されている。

女子学生アスリートの食事・睡眠習慣はスポーツを行っていない女子学生と異なるのか
学生アスリートは、学業とトレーニングの両立という二重の課題に直面している。さらに女子学生アスリートは男子学生アスリートに比べて、生理的および心理社会学的ストレス要因がより多い可能性が考えられ、これらの要求が食事や睡眠などの習慣にどのような影響を及ぼしているのかを理解することは、彼女たちの健康のトータルなサポートに不可欠と言える。
今回取り上げる論文の研究は、イタリアの女子大学生28人を対象とする横断研究として実施され、アスリートと非アスリートで、食事・睡眠習慣、クロノタイプ(朝型か夜型か)、ボディーイメージへの不満などが異なるのか否かが検討されている。28人のうち14人は大学の公式バレーボールチームのメンバーであり、他の14人はスポーツを行っていなかった。年齢はアスリート群が21.6±2.4歳、非アスリート群が24±3.2歳、BMIは同順に22.5±2.3、23.8±2.8だった。
食事・睡眠習慣、クロノタイプ、ボディーイメージへの不満の評価法について
食習慣については、地中海食遵守状況を評価するためのイタリア語版の質問票(PREvención con Dieta MEDiterránea;PREDIMED)で評価した。PREDIMEDは14項目からなり、スコアが高いほど、より地中海食らしい食習慣であることを意味する。
睡眠の質はピッツバーグ睡眠品質指数(Pittsburgh Sleep Quality Index;PSQI)で評価した。PSQIは、スコアが高いほど睡眠の質が低いことを意味する。クロノタイプは朝型・夜型質問票(Morningness–Eveningness Questionnaire;MEQ)で評価した。MEQはスコアが高いほど朝型であることを意味する。
このほかに、ボディーイメージの不満評価尺度(Body Image Dimensional Assessment;BIDA)を用いて、認識している自身のボディーイメージと理想的なボディーイメージの差、認識している自身のボディーイメージと異性が最も魅力的であると考えるボディーイメージの差、認識している自身のボディーイメージと同世代の典型的なボディーイメージとの差を把握した。
さらに、トレーニング以外の場面における身体活動は、アスリート学生のほうが好ましく、非アスリート学生は好ましくないと一概には言い切れないため、国際標準化身体活動質問票(International Physical Activity Questionnaire;IPAQ)を用いて健康増進身体活動(health-enhancing physical activity;HEPA)を評価した。
女子学生アスリートは地中海食を遵守しているが睡眠の質が良くない
国際標準化身体活動質問票(IPAQ)に基づき、アスリート群の大半(83.3%)が健康増進身体活動(HEPA)が活動的と分類された。一方で非アスリート群でのその割合は43.8%だった。
地中海食遵守質問票(PREDIMED)のスコアには有意な群間差が認められ、アスリート群は8.5±1.5点、非アスリート群は6.7±1.6点であり、アスリート群のほうが地中海食らしい食事スタイルだった(効果量〈d〉=1.16、p<0.01)。
ピッツバーグ睡眠品質指数(PSQI)にも有意な群間差が認められた。ただし、PREDIMEDとは反対に、非アスリート群のほうが好ましい結果だった。具体的には、アスリート群が6.8±3.0点、非アスリート群は4.6±2.3点だった(d=0.82、p=0.03)。臨床的なカットオフ値(PSQIが5点以上)を適用すると、アスリート群の75%が、睡眠の質が不良と判定された。
クロノタイプに関しては、両群間に有意差はみられなかった(アスリート群48.6±6.7点、非アスリート群51.3±9.8点〈d=-0.3〉)。大半の学生は、朝型でも夜型でもない中間型または、やや朝型/夜型に分類された。
女子学生アスリートは、同世代の典型的なイメージとの比較において自己評価が低い
ボディーイメージ不満評価尺度(BIDA)で比較検討した前述の三つの指標のうち、理想的なボディーイメージとの差、異性が最も魅力的であると考えるボディーイメージとの差という二つについては、アスリート群と非アスリート群とで有意差がなかった。
しかし、同世代の典型的なボディーイメージとの差については、アスリート群は5.6±10.5%のプラス評価であり、これは非アスリート群が19.4±24.5%にプラス評価していたことに比べて、有意に低かった(d=-0.67、p=0.04)。
睡眠が適切でなければ学生アスリートへの栄養戦略の効果が低下してしまう
女子学生アスリートは地中海食への遵守率が有意に高かったものの、非アスリート女子学生よりも睡眠の質が低いことが示された。著者らはこれを「パラドックス」とし、「学業とトレーニングという二重課題に直面している学生のライフスタイル行動の複雑さを浮き彫りにしている」と述べ、「学業とスポーツの両立という要求が、心理生理学的側面に悪影響を及ぼす可能性があることを浮き彫りにするもの」と総括している。
そして、「アスリートにおいて睡眠の質が低下している場合、栄養戦略の効果が十分に発揮されない可能性がある。よって睡眠障害の早期スクリーニング、クロノタイプに基づいたスケジュールの個別化、そして栄養士、コーチ、睡眠専門家が関与する学際的介入がなされることで、回復の最適化やストレス関連症状の軽減を介して、パフォーマンス低下や長期的な健康リスクの防止に役立つ可能性がある」と考察している。
文献情報
原題のタイトルは、「Eating Right, Sleeping Tight? A Cross-Sectional Study on the Student-Athlete Paradox for Diet and Sleep Behaviors」。〔Nutrients. 2025 Sep 12;17(18):2946〕
原文はこちら(MDPI)







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