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推奨身体活動量の達成率は約半数で高齢者に多い傾向 身体活動量の大規模な実態調査

笹川スポーツ財団と明治安田厚生事業団はこのほど、2023年度に共同実施した「活動量計による身体活動・スポーツの実態把握調査」の報告書を発刊し、11月12日に報告書の全文およびプレスリリースをWebサイトで公開した。発表者らによると本調査は、国民の身体活動量を全国規模かつ客観的に評価した初の大規模調査だという。

推奨身体活動量の達成率は約半数で高齢者に多い傾向 身体活動量の大規模な実態調査

この調査について

2024年1月、厚生労働省が策定した「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023(以下、身体活動ガイド2023)」で「健康づくりのための新しい推奨身体活動量」が示されたが(詳細はこちら)、身体活動量に関する全国規模かつ客観的な指標データがなく、実際に国民がどの程度動いているかを明確に把握できていないという課題があった。本調査は2023年10月~11月にかけ、首都圏・中京圏・近畿圏の13都府県在住の成人650人を対象に行われた国内初の大規模調査。活動量計※1を用いて身体活動量※2を実測するとともに、質問票によるアンケートでスポーツ実施状況等を調べた。身体活動量を客観的に計測したデータに加えてアンケート調査のデータを複合的に分析することで、これまで十分に検証されてこなかった普段の生活習慣等との関連も明らかになった。

なお、本調査では、仕事や移動をはじめとした身体を動かすすべての活動を身体活動とし、余暇時間に行われるスポーツも含んでいる。

※1 活動量計:本調査では、三軸加速度センサーが入った活動量計を使用し、身体活動※2を客観的に測定する。腰に装着するだけで、身体活動データを1分ごとに記録し、個人の身体活動量や歩数が測定可能となる。日常生活で「どのくらい動いているのか」「どのくらい座っているのか」を本格的に測定・分析できる。対象者は休日を含めた1週間、就寝時や入浴時などを除き装着する。
※2 身体活動:身体活動とは「安静にしている状態より多くのエネルギーを消費するすべての動作」を指し、運動やスポーツだけではなく、日常生活における労働・家事・移動なども含む。身体活動ガイド2023では、3メッツ※3以上の身体活動(歩行、庭仕事、子どもと遊ぶ、水泳など)の基準が示されている。
※3 メッツ:「安静時を1としたときに、何倍のエネルギーを消費するか」を示す“活動強度”の単位。歩行は3メッツ、速歩は4.5メッツ、ランニングは10メッツ。週に3時間のランニングを行った場合、10メッツ×3時間=週30メッツ・時となる。

調査結果のポイント

  1. 厚生労働省の推奨身体活動量の達成率は49.5%、高齢者で達成率が高い(成人〈20~64歳〉は45.6%、高齢者〈65~79歳〉は61.7%)
  2. 推奨身体活動量の達成率は運動・スポーツ実施者で69.1%と、非実施者の41.8%より高い
  3. 推奨身体活動量の達成者と非達成者で、余暇時間(平日・休日)に差はみられなかった

主な調査結果

厚生労働省の推奨身体活動量の達成率は49.5%、高齢者で達成率が高い

厚労省は成人で1日60分以上、高齢者で1日40分以上の中高強度身体活動(庭仕事、子どもと遊ぶ、水泳など)を推奨している。全体では49.5%が達成していたが、男女ともに高齢者の達成率が高かった。性別でみると、男性より女性の達成率が低かった(図1)。

図1 1日の推奨身体活動量の達成率(全体、成人・高齢者別、性別)

1日の推奨身体活動量の達成率(全体、成人・高齢者別、性別)

(出典:笹川スポーツ財団)

運動・スポーツ実施者の推奨身体活動量達成率は69.1%で非実施者の41.8%より高値

活動量計装着中に運動・スポーツを実施したかをたずね、実施の有無による推奨身体活動量の達成率を分析した。運動・スポーツの実施者69.1%、非実施者41.8%がそれぞれ推奨身体活動量を達成しており、運動・スポーツの実施者のほうが達成率は高かった(図2)。

図2 活動量計装着中の運動・スポーツ実施有無による推奨身体活動量の達成率

活動量計装着中の運動・スポーツ実施有無による推奨身体活動量の達成率

(出典:笹川スポーツ財団)

推奨身体活動量の達成者と非達成者で余暇時間に差はない

余暇時間について、「家事や睡眠・食事など生活上必要な時間を除いて、あなたが自由に使える時間は何時間くらいありますか」とたずね、平日と休日についてそれぞれ回答を得た。

推奨身体活動量を達成した人(達成者)の余暇時間の平均は平日4.3時間、休日7.6時間であった。一方、達成しなかった人(非達成者)では平日4.2時間、休日7.5時間であった。達成者と非達成者ともに平日よりも休日の余暇時間のほうが長かったが、達成状況による差はみられなかった。

なお、研究グループによると、今年度の調査では対象をさらに全国200地点、5,400人へと拡大して実施したとのことで、「今後は、全国規模で成人の身体活動量を把握し、さらにスポーツ実施や健康指標との関係性を検証することで『スポーツによる健康寿命の延伸』を目指すための知見や政策形成に資する情報を発信する」と述べている。

関連情報:報告書全文ダウンロード

国内初!“国民の身体活動量の実態”を把握する大規模調査の報告書を発刊(笹川スポーツ財団)

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