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皮膚カロテノイド値が心血管イベントリスクと逆相関 日本人健診データの解析結果

非侵襲的に測定可能な皮膚カロテノイドレベルが、動脈硬化性心血管疾患のリスクと逆相関するという、日本人対象横断研究の結果が報告された。聖隷浜松病院眼科の尾花明氏らの研究によるもので、「Scientific Reports」に論文が掲載された。同氏は、この検査方法が非侵襲であることから、臨床や公衆衛生対策の現場で、カロテノイドの豊富な野菜や果物の摂取を奨励するためのツールとして利用可能ではないかと述べている。

皮膚カロテノイド値が心血管イベントリスクと逆相関 日本人健診データの解析結果

野菜や果物の摂取量の目安となり得るカロテノイドレベルを非侵襲で測定

カロテノイドは野菜や果物などの植物性食品に豊富に含まれている微量栄養素であり、フリーラジカルの除去による抗酸化機能、および抗炎症機能を有している。血液中のカロテノイド濃度が動脈硬化の進展や死亡リスクと逆相関するとする複数の報告が既にみられる。しかし、血液検査は侵襲を伴い、また測定にはコストが発生する。

一方、反射分光法を用いることで、体内のカロテノイド濃度を皮膚レベルで非侵襲的に測定する技術が確立されている。この手法は低コストで、かつ非侵襲であるために健診での利用や臨床での頻回の測定も可能。尾花氏らはこの特徴に着目し、聖隷健康診断センターの受診者を対象とする横断研究を実施。皮膚カロテノイド(skin carotenoid;SC)レベルと、動脈硬化性心血管疾患(atherosclerotic cardiovascular diseases;ASCVD)イベントリスクとの関連を検討した。

皮膚カロテノイド(SC)レベルが低いほどASCVDイベントリスクが高い

研究の対象は、2019年9月~2020年12月の同センターの健診受診者3,115人のうち、心筋梗塞、脳卒中、がんの既往がなく、皮膚カロテノイド(SC)の測定を受け、データ欠落のない1,130人(56.4±11.0歳、男性44.2%)。動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)イベントリスクは、日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」に採用されている、久山町研究に基づくリスクスコア(久山町スコア)により評価。向こう10年間でのイベントリスクが2~10%を中リスク、10%超を高リスクとした。本研究の対象において、4.6%が中リスク以上と判定された。

SCレベルは、0~1,200a.u.(任意単位)の間で評価され、高値であることが体内のカロテノイドが多いことを意味する。本研究におけるSCの平均は395.5±135.0であり、性別にみると男性は371.1±129.5、女性は414.7±136.2であった。本研究ではこのSC値の五分位数に基づき全体を5群に分類し、久山町スコアとの関連を検討している。

皮膚カロテノイド(SC)レベルが低い人、高い人の特徴

SC値の第1五分位群(カロテノイドレベルが最も低い下位20%)の平均SC値は236であり、第2五分位群は315、第3五分位群は376、第4五分位群は447、第5五分位群(カロテノイドレベルが最も高い上位20%)は606だった。

この5群を比較すると、下位五分位群には男性、若年者、現喫煙者が多く、習慣的に運動をしている人は少なかった。また健診データとの関連では、下位五分位群はBMI、拡張期血圧、トリグリセライドが高く、HDL-コレステロールは低かった。

SCレベル第5五分位群ではイベントリスク「中」以上のオッズ比が0.25

ロジスティック回帰分析により、SC値の第1五分位群を基準としてASCVDイベントリスクが「中」以上であることのオッズ比を検討すると、交絡因子未調整モデルでは第2~5五分位群のすべてでオッズ比の有意な低下が観察された。

年齢とBMIで調整するとこの関連は弱くなったが、SC値が高いほどASCVDイベントリスクが低いという関連は引き続き有意であり(傾向性p<0.01)、また第5五分位群のオッズ比は有意に低値だった(OR0.25〈95%CI;0.08~0.77〉)。欠損データを統計的な手法で補完する多重代入分析でも、有意な関連が認められ(傾向性p<0.01)、かつ第3~5五分位群のオッズ比は有意に低値だった。

スプラインモデルを用いた解析では、SC値とASCVDイベントリスクが「中」以上であることとの間に、非線形の負の用量反応関係が認められた。

疾患予防のための栄養介入における効果測定に利用できるのではないか

著者らは本研究が横断研究であり因果関係は不明であること、対象が健診受診者でありヘルスリテラシーの高い集団と考えられること、欠損データが比較的多かったことを研究の限界点として挙げたうえで、「皮膚カロテノイドレベルが低いことは、動脈硬化性心血管イベントリスクの高さと関連がある」と総括。また、「動脈硬化性疾患予防のため、野菜や果物の摂取を推奨するという栄養介入の際に、非侵襲で評価可能な皮膚カロテノイドレベルを利用することで、介入効果の判定が可能になり、実践的な指導に結びつけられるのではないか」との考察を付け加えている。

文献情報

原題のタイトルは、「Association between atherosclerotic cardiovascular disease score and skin carotenoid levels estimated via refraction spectroscopy in the Japanese population: a cross-sectional study」。〔Sci Rep. 2024 May 28;14(1):12173〕
原文はこちら(Springer Nature)

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