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無酸素運動・有酸素運動のアスリート別にみた、筋肉量を増やすために必要な栄養素とは

エリートレベルの男性アスリートのふだんの栄養素摂取量と、筋肉量などの体組成との関連を横断的に調査した結果が報告された。有酸素運動とされる競技のアスリートでは、炭水化物食摂取量が少ないことが筋肉量の少なさと関連していること、タンパク質摂取は無酸素運動とされる競技のアスリートにおいてのみ筋肉量の増加と関連があること、無酸素運動アスリートの筋肉量はタンパク質摂取量のみでなく必須アミノ酸の摂取量が独立して関連することなどが示されている。

無酸素運動・有酸素運動のアスリート別にみた、筋肉量を増やすために必要な栄養素とは

リトアニアのオリンピック委員会認定男性アスリートの体組成と栄養素摂取量を調査

この研究はリトアニアで行われた。論文のイントロダクションに述べられているところによると、欧州およびリトアニアを含むバルト三国において、エリートレベルのアスリートを対象とするこのような手法での研究は過去に報告されていないという。

研究には、リトアニアのオリンピック委員会が認定しているエリートレベルのアスリートのリストから、336人の男性アスリートを選定し、欧州選手権または世界陸上競技選手権大会の参加者、またはオリンピック候補者であることなどの適格条件を満たし、研究参加の同意を得られた234人が参加した。

行っている競技により、無酸素運動群104人と有酸素運動群130人に二分。無酸素運動に該当する競技は、ボクシング、柔道、グレコローマンレスリング、テコンドー、重量挙げ、バスケットボール、体操、円盤投げ、やり投げ、走り高跳びとし、有酸素運動に該当する競技はボート競技、自転車、水泳、スキー、バイアスロン、長距離走、近代五種とした。

参加者全体の平均年齢は18.1±3.1歳で、トレーニング時間は176.9±62.6分/日だった。

栄養素摂取量

ふだんの栄養素摂取量は、連続していない3日間について24時間思い出し法により把握した。結果の一部を抜粋して紹介すると以下のとおり(いずれも1日あたりの摂取量)。

摂取エネルギー量は無酸素運動群が50±15.9kcal/kg、有酸素運動群は49.6±12.8kcal/kg、脂質の摂取エネルギー比は同順に39.6±6.9%、40.3±8.2%、炭水化物は5.6±1.9g/kg、5.7±0.6g/kg、タンパク質は1.8±0.7g/kg、1.8±0.6g/kg。24時間窒素バランスは2.0±1.6g、1.9±1.1g。

全体として、脂質摂取量は摂取エネルギー比40±7.6%であり、ガイドラインで推奨される35%を超過していた。また炭水化物摂取量は、有酸素運動群においてガイドラインの推奨(7~10g/kg)からのマイナス幅が大きかった(無酸素運動群でも効果量〈d〉=1.5、有酸素運動群ではd=4.7)。タンパク質に関しては両群ともに推奨の範囲内だった。

体重・身長と体組成

体組成の評価には生体インピーダンス法(bioelectrical impedance analysis;BIA)を用いた。体格や体組成の結果の一部を抜粋して紹介すると以下のとおり。

身長は無酸素運動群が1.8±0.2m、有酸素運動群は1.8±0.1m、体重は同順に77.5±17.4kg、75.1±11.6kg、筋肉量は59.3±10.5kg、57.9±7.0kg、体脂肪率は16.7±5.2%、16.7±4.2%。

無酸素運動群でのみ、タンパク質摂取量と筋肉量が有意に相関

以上の結果を基に、タンパク質摂取量と筋肉量との関連を解析した結果、無酸素運動群ではタンパク質摂取量が多いほど筋肉量が多いという有意な相関が認められた(r=0.23、p=0.009)。ただし有酸素運動群ではこの関連は非有意だった(r=0.12、p=0.099)。

続いて、無酸素運動群と有酸素運動群をそれぞれ筋肉量の中央値で各群を二分し、年齢とトレーニング年数を調整後、筋肉量の多いこと(無酸素運動群では61kg超、有酸素運動群では57kg超)を従属変数、摂取エネルギー量および栄養素摂取量(それぞれの中央値)を独立変数とする多変量解析を施行。その結果、筋肉量の多寡に独立した関連のある栄養素摂取量として、以下が特定された。

無酸素運動群のアスリートの筋肉量と関連のある栄養素

無酸素運動群では、タンパク質摂取量が1日あたり1.7g/kg超であること(調整オッズ比〈aOR〉2.2〈95%CI;1.3~3.7〉)のほかに、イソロイシンとヒスチジンという2種類の必須アミノ酸の摂取量も、筋肉量が多いことと独立した正相関が認められた。イソロイシンは44.7mg/kg超の場合にaOR2.9(1.1~4.7)、ヒスチジンは28.8mg/kg超の場合にaOR2.9(1.0~4.3)。

反対に、やはり必須アミノ酸であるバリンの摂取量が53.2mg/kg超であることが、筋肉量と独立した負の関連因子として抽出された(aOR0.1〈0.1~0.5〉)。

摂取エネルギー量の多寡(中央値は48.4kcal/kg)、および、炭水化物や前記3種類以外の必須アミノ酸の摂取量は、筋肉量と独立した関連が認められなかった。

有酸素運動群のアスリートの筋肉量と関連のある栄養素

一方、有酸素運動群では、筋肉量と独立した関連のみられたのは、炭水化物の摂取量のみであり、炭水化物摂取量が5.6g/kg未満であることは筋肉量と独立した負の関連因子として抽出された(aOR0.3〈0.1~0.7〉)。

この点について著者らは論文の考察において、「この結果は、炭水化物摂取量の少なさが筋原線維タンパク質の合成に潜在的な悪影響を及ぼすというリスクに関連したものと考えられ、運動直後にアミノ酸と炭水化物を摂取することが筋タンパク質の合成を促進するという事実によって説明できる」と述べている。

無酸素運動群で有意な関連が認められたタンパク摂取量は、有酸素運動群ではaOR1.3(0.4~2.2)と非有意であった。このほかにも、摂取エネルギー量の多寡、および、各種必須アミノ酸の摂取量も、筋肉量と独立した関連は認められなかった。

タンパク質量のみでなく、必須アミノ酸の摂取量の最適化も重要

論文の結論には、以下のポイントがまとめられている。

「エリート男子アスリートは、推奨レベルを超える脂質を摂取していた。有酸素運動を行うアスリートは、炭水化物摂取量が不足している傾向がある。タンパク質については無酸素運動群と有酸素運動群の双方で、同化に最適とされる範囲内の1.8g/kg/日が摂取されていた。それにもかかわらず、筋肉量との有意な関連は、無酸素運動のアスリートにおいてのみ認められた。有酸素運動を行うアスリートでは、炭水化物の不足と筋肉量の減少との関係が明らかにされた。

また、この研究は食事中のアミノ酸組成が総タンパク質摂取量と同じくらい重要であることを強調している。したがってスポーツ栄養士は、総タンパク質含有量を調整するだけでなく、食事のアミノ酸組成も最適化した、アスリート向けの食事計画を立てることが推奨される」。

文献情報

原題のタイトルは、「Dietary Intake of Protein and Essential Amino Acids for Sustainable Muscle Development in Elite Male Athletes」。〔Nutrients. 2023 Sep 15;15(18):4003〕
原文はこちら(MDPI)

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