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日本人2,232人の超加工食品の摂取量と、栄養知識や調理技術、価値観などとの関連を調査 東京大学

国内の成人を対象とした調査により、超加工食品の摂取量と関連のある因子が明らかになった。女性の場合、年齢が高く、栄養に関する知識が豊富で、食の安全性を重視するという因子が、超加工食品の摂取量の少なさと関連があり、男性では調理技術が高い人ほど超加工食品の摂取量が多いこと、また、男女ともに満腹感を感じやすい人ほど超加工食品の摂取量が多いことなどがわかった。東京大学の研究グループによる研究であり、「International Journal of Behavioral Nutrition and Physical Activity」に論文が掲載されるとともに、同大学のサイトにプレスリリースが掲載された。リリースによると、この研究は超加工食品の摂取量とそれに関連する可能性のある因子を包括的に評価した世界初の研究であり、公衆栄養政策の重要な資料になるという。

18〜19歳で超加工食品の摂取が多いと握力が弱く、未加工食品の摂取量が多いと強い

健康リスクの高い超加工食品の摂取にかかわる内的要因を探る

超加工食品とは、複数の食材を工業的に配合して製造された、加工の程度が非常に高い食品のことであり、市販の菓子パンや清涼飲料などがその代表例。超加工食品は、脂質やナトリウムを多く含む一方で、タンパク質や食物繊維、ビタミン、ミネラルの含有量が少ないため、多く食べると食事全体の質が低下する可能性がある。また、超加工食品の摂取は肥満や心血管疾患などと関連があることが報告されている。

一方、よりよい食行動への変容を人々に促すためには、食品の摂取に関わる個人の内的要因(価値観や知識など)を理解することが重要とされる。しかしながら、超加工食品の摂取に関連する内的要因に関する研究はほとんどなく、理解が進んでいない。そこで研究グループでは、日本人成人を対象とした全国規模の食事調査のデータを用いて、超加工食品の摂取量と食に関する知識や技術、価値観、行動特性との関連性を評価した。

女性と男性で関連する因子の違いが明らかに

この研究では、18~80歳の日本人成人2,232人を対象とする全国規模の質問票調査が実施され、その回答が分析された。質問票調査では、食の知識、調理技術、食品選択に関する価値観(入手しやすさ、利便性、健康・体重管理、伝統、感覚的魅力、オーガニック、快適さ、安全性)、食品に関する技術(食事の計画など)、食行動の特性(満腹感反応性、感情的過食など)を評価した。また、超加工食品の摂取重量を、簡易型自記式食事歴法質問票(brief diet history questionnaire;BDHQ)と、米国のノースカロライナ大学チャペルヒル校の研究者らが開発した食品分類の枠組みを用いて調べた。

それらのデータを用いて、超加工食品の摂取量と個人特性(年齢、BMI、食品選択の価値観、栄養知識、調理技術、食行動の特性)との間に関連があるかどうかを、重回帰分析を用いて調べた。結果として、女性では、年齢が高く、栄養に関する知識が多く、食の安全性を重視する人ほど、超加工食品の摂取量が少ないことがわかった()。一方、男性では、調理技術が高い人ほど、超加工商品の摂取量が多いことがわかった。また、男女ともに、満腹感を感じやすい人ほど、超加工商品の摂取量が多いことがわかった。

図 超加工食品の摂取量と食に関する知識・技術、価値観、行動特性との関連

超加工食品の摂取量と食に関する知識・技術、価値観、行動特性との関連

各変数のスコアが1標準偏差増加した場合の、超加工食品の摂取量の変化(1,000kcalあたり)。超加工食品との有意な関連が見られた変数のみを図示。
(出典:東京大学)

日本の公衆栄養政策の重要な資料

リリースによると、これまでの研究では、日本における超加工食品の摂取量は米国や英国よりは少ないものの、フランス、オーストラリア、メキシコなどの多くの国々と同程度であることがわかっているという。研究グループでは、「本研究は超加工食品の摂取量と食に関する知識や技術、価値観、行動特性との関連を包括的に評価した世界で初めての研究。この成果は、日本において超加工食品の摂取に関する公衆栄養政策を決定するうえでの重要な資料になると考えられる」と述べている。

プレスリリース

超加工食品の摂取量と 食に関する知識や技術、価値観、行動特性との関連―日本人成人を対象とした質問票調査―(東京大学)

文献情報

原題のタイトルは、「The association of highly processed food consumption with food choice values and food literacy in Japanese adults: a nationwide cross-sectional study」。〔Int J Behav Nutr Phys Act. 2023 Dec 5;20(1):143〕
原文はこちら(Springer Nature)

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